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この体、男子ですけど何か?  作者: 蒼狐


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第17章 男の愚痴

金曜の夜、仕事終わりに佐々木に誘われた。


「山田、飲もうぜ。溜まってるだろ?」


結局、会社の近くの居酒屋で二人で飲むことになった。


ジョッキを傾けながら、佐々木がニヤニヤと聞いてきた。


「最近、美咲ちゃんがやたら山田の周りをウロウロしてるよな。

どうなってんだ?」


「……バレてたか」


私は苦笑いしながらビールを飲んだ。


佐々木は笑いながら肩を叩く。


「いいんじゃねえか。あの子、真面目でお前を本気で慕ってるぞ。

お前もそろそろ彼女作れよ。事故の後、人生観変わったって言うし」


男同士の飲み会は、なんだか気楽だった。


遥香のことも、少しだけ話した。

もちろん全部は言えないけど、「元カノが再接近してきてる」という事実だけ伝える。


佐々木は真剣な顔になった。


「遥香ちゃんか……昔、お前ら結構真剣だったよな。

でもよ、山田。今のお前、どっちがいいんだ?」


その質問に、言葉に詰まった。


「わからん……

美咲は優しくて一生懸命で、そばにいてくれる。

遥香は過去を共有していて、綺麗で……でもなんか違うんだ」


佐々木はため息をついた。


「難しいな。でも、結局は『今のお前』が誰と一緒にいたいかだろ。

山田悠真として生きてるんだから、過去に縛られすぎるなよ」


その言葉が、意外と胸に響いた。


飲み会の終わり頃、佐々木がぽつりと言った。


「正直、お前、事故の後から少し変わったよな。

前はもっと尖ってて、完璧主義で近寄りがたかったのに……

今は人間味が出てきて、なんかいい感じだぜ」


「そうか……」


「まあ、焦るなよ。

仕事も恋愛も、全部背負い込む必要はないんだから」


家に帰るタクシーの中で、窓の外を眺めながら考えた。


佐々木の言う通りだ。

私はまだ「山田悠真」として完全に生ききれていない。


マンションに戻り、ベッドに横になりながら呟いた。


「この体、男子ですけど何か?

今日は、男の友達に愚痴を聞いてもらって、少し楽になりました……」


心が、少し軽くなった気がした。


でも、まだ答えは出ていない。

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