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「神獣と妖怪とサン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第29巻)  作者: サナダムシオ


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⑦ その後

 退治されたという、鵺の死体の行方だが、諸説ある。コレは恐らく、その内で一番信憑性の高いもの……どうやら京の都の人々は、鵺の祟りを恐れて、死体を船に乗せて淀川に流したらしい。


 淀川を下った船は、大阪東成郡に一旦漂着した後、海を漂って芦屋川と住吉川の間の浜に打ち上げられた。芦屋の人々は、この屍骸を秘密裏に手厚く葬り、最終的には、京都府の清水寺の、舞台下に埋めたという。


 さて、このエピソードへの、カグヤと成雪の介入である。実は二条城の北に鵺が落下した際に、猪早太より先に、ビートルで現場に駆けつけていたのだ。そして、いち早く鵺を助け出し、変わりに伯爵お手製の、合成タンパク質で出来たニセの死体を、その場に転がしておいたのだった。


 そして後部座席に鵺を詰め込んだビートルは、取り敢えず、光学迷彩を透明モードにして、上空へ舞い上がったのである。


「さて……どうしようかしらね?」

 ハンドルを握るカグヤは思案する。

「やっぱり詳しい人に見てもらうのが、一番イイよね?」

 成雪はそう言った。

「そうよね……そうしましょう。」

 迷いが無くなったカグヤは、クルマのリセットボタンを押して元の時空へ戻る道を選択した。


 名護屋テレビ塔の、地下駐車場に戻って来た二人は、取り敢えず、左腕のデバイスで、亜空間レストランの由理子に連絡をとった。


「お待たせ!」

 二人で後部座席の鵺を見張っていると、すぐに由理子がエレベーターから現れ、元気な声を掛けて来た。今日も当たり前のように、赤い髪にメイド服だ。


「この子ね?」

 彼女はビートルの左ドアを開けて、後部座席を覗き込む。矢の傷の応急処置をしておいたので、鵺は随分元気になっていた。


 暫くの間、由理子と鵺は、まるでにらめっこのように、黙り込んで見つめ合って居た。

そして「大体分かったわ。」と由理子が呟いた。


「結論から言うと、この子は、妖怪でも、神獣でもないわ。」

 と由理子。

「ええっ?」とユニゾンで驚くカグヤと成雪。


「この子はただの……可哀想なキメラ。あの時代にこんな合成生物を作る技術を持っているのは、未来人か、異星人か、鳥族か……後は爬虫類族ね?私は爬虫類族説に一票だわ。」


「そうなんですね?」とションボリする成雪。大物だと思って釣り上げた魚が、大きな長靴だったような気分なのだろう。

「もう、どこでもイイから、逃がしてあげたら?」

「いや、そんな、捨て猫みたいに……。」

 カグヤも困ってしまった。



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