表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「神獣と妖怪とサン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第29巻)  作者: サナダムシオ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
6/29

⑥ 鵺(ヌエ)

 明けて1998年1月20日の火曜日。時刻は午前8時頃。

 忘年会の時に申し出た、本人たちからの、たっての希望により、カグヤ・イシュタルと成雪で、平安時代の怪異、ヌエを探しに行く事になった。もしかしたら神獣として、今後有効に、使役できるかもしれないからだ。


 ちょうど、杉浦鷹志が研究で手が離せないので、彼の緑色のワーゲンビートルを、貸してもらえることになった。そんな訳で、いつものようにサン・ジェルマン伯爵によって、"照和"から"昭和"の時間軸へ送ってもらった二人は、名護屋テレビ塔の地下駐車場で、黒いクルマから緑色の同型のクルマに乗り換えたのだ。


 今日はハンドルをカグヤが握り、助手席に成雪が収まった。

「じゃあ、私はこれで。くれぐれも気をつけていってらしゃい。」

 伯爵がそう言って、見送ってくれるのに対して手を振りつつ、成雪は目的地の座標を、センターコンソールパネルに以下のように入力した。


 西暦1155年3月27日

 時刻0時00分

 北緯35度00分

 東経135度46分


「入力OK!カグヤ、発進どうぞ!」

 成雪が元気に合図するのを待って、カグヤはクルマを駐車場から出した。


 平安時代の末期。近衛天皇の住む清涼殿に、深夜になると黒雲と共に「ヒューイ、ヒューイ」という、不気味な鳴き声が聞こえるようになった。毎晩のように聞こえる不気味な声に、天皇は恐怖し、ついには体調を崩すまでになってしまった。


 しかし、どんな薬や祈祷を施しても、病は治らない。そこで天皇の側近たちは、弓の達人である源頼政に、鳴き声の主の怪物の退治を命じたのである。まあ、コレといって、具体的な悪さを働いていないのに、気の弱い天皇のせいで、すっかり悪者にされてしまった鵺にとって見れば、随分気の毒な話ではある。


 依頼を受けた頼政は、夜になると家来を連れて、先祖の源頼光より受け継いだ弓、"雷上動"(らいしょうどう)を手にして、怪物退治に向かった。すると見る見るうちに、御殿の屋根の上に、不気味な黒雲が現れ始めた。


 そしてその中から、怪物が不気味な姿を現したのだ。ソイツの顔は猿、胴体は狸、四肢は虎、そして尻尾は蛇だった。頼政が山鳥の尾で作った矢を、そのバケモノに対して射ると、悲鳴と共にソレは二条城の北に落ちて行った。


 そこへ駆けつけた、家来の猪早太が取り押さえて、刀でトドメを刺した。やがて御殿に静けさが戻ってきて、天皇の体調もたちまち回復し、頼政は天皇から褒美に「獅子王」という刀をもらったのだと言う。


挿絵(By みてみん)

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ