⑤ 新しい仲間
白澤はゆっくりと香子に近づいて行き、彼女に寄り添うように隣でお座りした。他の皆は、ただ唖然としてソレを見ていた。
彼の能力は、万物(特に鬼神や妖怪)の知識と、それらに対処する方法を、主として選んだ者に授ける事だったはず。元々勉強熱心な彼女だから、鬼に金棒だな。シバ神となった鷹志も、ちょっと羨ましく思えた。
「主よ。ワシを眷属として認めるか?」
「い、いいわよ、喜んで。」
香子はまるで居酒屋のスタッフのような返事をした。
彼女自身、白澤が何なのかを、知らない訳ではなかったからだ。
「では今後、用が有る時は、いつでも心の声で召喚してくれ。ワシは戸隠神社で待機しておるからな。」
白澤はそう言うと、満足したように消えてしまった。
「いいなあ、お姉ちゃん。これでメジェドに続いて、二体目の眷属じゃない?」
由理子が、羨ましそうにそう言った。
「いやいや、メジェドは今や、人類みんなの眷属になったのでしょう?」
香子はそう返した。
「それに貴女には、あの大きなお友だち、怪鳥ケツアルコアトルスが居るじゃない。私のチカラは、せいぜい植物を操るくらいだし……まあ霊獣の乱用は、しないように気をつけるわ。」
「流石はお姉ちゃんね。」
そんなこんなで、その場はお開きとなった。
皆それぞれ解散し、帰路に就いた。
最後にその場に残って居たのは、サン・ジェルマン伯爵、村田京子、真田雪子の三人だけだった。
「動物の神様を探し始めたら、ついに向こうからやって来たわね。」と雪子。
「少しばかり、出来過ぎている気がするわよねえ?」と京子。
「まるで我々の動きを、どこかで誰かが見ているようですね。」と伯爵。
「どうせまた、フルカネルリ卿のウアジェト女王の差し金でしょう?」と京子。
「あと1年半後に何が起きるのか、何だか楽しみになって来たわ。」と雪子。
「私たちはもう、伯爵のチームの一員なんだからね。くれぐれもスタンドプレーは慎んでよね?」
と見た目は永遠の23歳の、京子が言った。
「大丈夫ですよ。雪子さんの見た目は永遠の17歳ですが、中身はもう立派なオトナだ。昔のような無茶な事はしませんよねえ?」と見た目は永遠の35歳イケオジの、伯爵がそう言った。
するとその場の三人は、一瞬の沈黙の後、まるでお笑い芸人"オードリー"の若林と春日のように、「えへへへへ」と笑い合った。因みに彼らが、M-1グランプリで、敗者復活から準優勝まで行くのは、この時点から11年後の事である……未来のお笑いの情報も、こっそり仕入れている三人なのであった。




