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「神獣と妖怪とサン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第29巻)  作者: サナダムシオ


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③ 夫婦の神

 そう言えば、ガネーシャの母親も、中々のツワモノだったハズだ。鷹志は伝説を思い返していた。確か普段は心優しく美しい女神パールヴァティだが、怒ると"ドゥルガー"や"カーリー"といった、恐ろしい戦闘の女神に変身するはず……。ソレを思い出した鷹志は、思わずブルブル震えてしまった。ひょっとしてユリちゃんも、完全覚醒したら、そうなっちゃうのかな?


 シバ神はソレが恐ろしくて、慌てて息子を生き返らせた結果、あんな事に……。いやシバ神自身も大概強い武闘派の神だったハズだ……自分の中に一切そんな要素を感じないが。ソレでも敵わないくらいカカア天下だったんだな……何だか分かる気もするな。帰りの道すがら、助手席でそんな事をツラツラ考えてしまう鷹志だった。


 やがて赤いビートルは、無事に名護屋テレビ塔の地下駐車場に戻って来た。

 亜空間レストランで待っていたサン・ジェルマン伯爵は、いつものように暖かく二人を出迎えた。

「お疲れ様。お二人の昔の息子、ガネーシャはいかがでしたか?」

「伯爵、知ってたんだ。」驚く由理子。

「まあ私も一応、ベテラン・タイムトラベラーなので……。」そう言って笑う伯爵。


「おかげさまでまた、ユリちゃんに属性が増えちゃいましたよ。ソレも結構強烈なヤツが。」

 鷹志がそう言って苦笑した。

「ああでも、鷹志君もちゃんと覚醒すれば、相当なチカラを発揮できるはずなのですよ?」

「ええ~、そうなの~?見てみたいなあ。それならもう、後方支援じゃなくてもイイのにぃ。」由理子がジト目で言う。


「額に第三の眼が開くんですよ。」

「うわあ、凄い!なんかチートっぽいじゃない?確か厨二病って言うんだっけ?」

「ヤメテくださいよ。僕はそんな、バケモノになったりしません。」

「鷹志君は、特別理性のチカラが強いですからねえ。心のどこかで、荒唐無稽な話は信じないように、自分自身に縛りを掛けている。そのガードが外れるきっかけが、覚醒の時でしょうね。」

 伯爵がニコニコ笑いながら、そんな恐ろしい事を言った。


「以前、ヤマタノオロチを退治した時に、少しだけチカラを使ったはずですよ?多分、無意識だったでしょうけど。」

「……あっ。」何か思い当たる鷹志。

「だからその時に、長じたカグヤ・イシュタルさんから、スサノオの名を貰ったのは、決して偶然では無く、妥当な事だったんですよ。」


「そう……なんですね。」

 それでも鷹志は、額に第三の眼が開くのは、まるで昔読んだ手塚治虫先生の漫画、"三つ目がとおる"みたいで、カッコ悪い気がした。

「因みに由理子さんは、覚醒すると、肌が金色に輝くんですよ。」

「キャー、素敵じゃない!」

「ええ~?なんかイヤだなあ。まるで昭和の"金粉ショー"みたい。」

「……何、ソレ?」

「……何でもありません。」気まずそうな鷹志。


「……そして彼女が戦闘モードに入ると肌が真っ黒に!」

「わーい!ソレもカッコよさげ……でもガングロギャルみたいかしら?」

「ユリちゃんは、いつもどおりでカワイイから、変身しないでよね!」

「ありがとう、鷹志!」

 由理子は鷹志に抱き着いて頬にキスした。

「ごちそうさまです。」

 伯爵はそう言って笑った。

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