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「神獣と妖怪とサン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第29巻)  作者: サナダムシオ


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② 二人の前世

「ようこそ。お父さん、お母さん。」 

 二人が、よく出来た作り物に見惚れていると、突然そんな風に、後ろから声を掛けられた。いや、正しくは、心の中に気持ちが伝えられたと言うべきか。何故ならソレは、テレパシーだったからだ。


 振り返るとそこには、生々しいガネーシャが立っていた。いや、コレも正しくは、ガネーシャのイメージが見えていた、と言うべきだろう。それは実体ではなかったからだ。


「何故、私たちに向かって、そんな呼び方をするの?」

 由理子が答える。

「言葉通りの意味だよ。だって貴方たちは、僕の父と母の生まれ変わりなのだから。」

 ガネーシャが当然のように、そう言って笑った。

 ウソをついているようには見えない。第一、神がそんなウソをついても、何の得にもならない。


(すると、ユリちゃんの身体の垢を集めて、こねて作った息子の首を、この僕が切り落として、ゾウの頭に挿げ替えた事になるな。)

 鷹志は思わずそんな事を想像して、気温は高いのに、少し寒気がした。


「ああ、残念だなあ。前世の記憶を失っているんですね?」

 尚もそんな事を言うガネーシャ。

(ユリちゃんはただでさえ、古代エジプトの神が憑いているのに、また属性が増えるのか、大変だなあ……いや、ちょっと待てよ?そうすると僕の前世は、古代インドのシバ神てことにならないか?)

 大変な事に思い当たり、にわかに愕然とする鷹志。


「わざわざ二人揃って、年に一度のお祭りに訪れてくれたのは、いよいよ僕が、二人のお役に立てる日が来たって事だね?」

 嬉しそうに言うガネーシャ。


「そうなのよ。でも、後2年待てるかしら?」

 由理子はさり気なく、話を合わせる。

「お安い御用だよ。必要になったら、心の中で呼び掛けて。僕は何時でも、何処へでも、母さんの元へ飛んで行くよ。」

 ガネーシャは、満面の笑みを浮かべてそう言った。


「ありがとう。頼りにしているわ。」

 由理子がそう言いながら手を振ると、満足したように、ガネーシャのイメージは、煙のように消えて行った。今のは、夢だったのだろうか?

「夢なんかじゃないわよ。」

 鷹志の心の中を見た由理子が、すかさずそう言った。そうだった。何でも考えた事は、彼女に丸見えなのだ。


「さあ、とても効率良く用事が済んだわね。長居は無用だから、帰ろうか、鷹志?」

「ああ、うん。」

 二人でビートルに戻り、光学迷彩を掛けて、上空へと飛んだ。


挿絵(By みてみん)


 

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― 新着の感想 ―
第一話、第二話を読ませていただきました。 まず印象的だったのは、「神獣や妖怪を仲間にしていく」という発想です。1999年の危機に備えて世界中を巡るという設定もワクワク感があり、これからどんな神獣や妖…
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