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「神獣と妖怪とサン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第29巻)  作者: サナダムシオ


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㉕ オイディプスの伝説

  その後、由理子と二人で岩かげに隠れて少し待っていると、先程の香子の予言どおり、やがてその現場に一人の青年がやって来た。それが伝説の青年オイディプスだった。


 彼の伝説は以下のようなものだ。

 彼の父、ラーイオスは、子供を作るべきではないとの神託を受けた。もし子供を作れば、その子供がラーイオスを殺すというのである。しかしラーイオスは酔った時に妻イオカステーと交わり、男児をもうけた。


 神託を恐れたラーイオスは男児を殺そうと考えたが、殺すには忍びなく、男児の踵をブローチで刺し、従者に男児を渡してキタイローンの山中に置き去りにするよう命じた。しかし従者もまた殺すには忍びないと考えたため、男児をキタイローンの山中にいた羊飼いに渡し、遠くへ連れ去るように頼んだ。


 一方、コリントス王ポリュボスとその妻メロペーには、子供が生まれなくて困っていたため、羊飼いは男児を2人に渡した。ブローチで刺された男児の踵が腫れていたため、ポリュボスとメロペーは男児をオイディプス(腫れた足)と名づけた。


 成長したオイディプスは他の者よりも能力が勝っていたため、これを嫉んだ者たちが酒の席で、オイディプスはポリュボスとメロペーの実子ではないと中傷した。疑いながらも不安に思ったオイディプスは、ポリュボスとメロペーを詰問したが、満足のいく答えが得られなかった。


 そこで神々に真実を聞こうと、デルポイでアポロンの神託を受けたが、アポロンは彼の問いに答えず、「故郷に近寄るな、両親を殺すであろうから」と教えた。ポリュボスとメロペーとを実の両親と信じるオイディプスは、コリントスを離れて旅に出た。


 戦車に乗って旅をしている最中、ポーキスの三叉路に差しかかったところで、戦車に乗った実の父ラーイオスが前方から現れた。ラーイオスの従者ポリュポンテースが、オイディプスに道を譲るよう命令し、これに従わぬのをみると、彼の馬を殺した。


 これに怒ったオイディプスは、ポリュポンテースとラーイオスを殺した。ラーイオスが名乗らなかったため、オイディプスは自分が殺した相手が誰であるかを知らなかった。プライタイアイ王ダマシストラトスがラーイオスを埋葬し、彼亡き後のテーバイは、メノイケオスの子クレオーンが摂政として治めた。


 オイディプスは、ポーキスの三叉路から逃げてテーバイへと向かった。この頃テーバイは、ゼウスの妻ヘーラーにより送られたスフィンクスという怪物に悩まされていた。スフィンクスはピーキオン山頂に座し、そこを通るものに謎かけを出して、解けぬ者を喰らっていた。


 テーバイ人たちは、「この謎が解かれた時、スフィンクスの災いから解放されるであろう」という神託を得ていたため、謎を解くべく知恵を絞ったが、誰も解くことは出来ず、多くの者がスフィンクスに殺された。このためクレオーンは、「この謎を解いた者にテーバイの街とイオカステーを与える」という布告を出した。


 テーバイに来たオイディプースはこの謎を解き、面目を失ったスフィンクスは、自ら城山より身を投じて死んだ……事になっている。だが、香子の眷属としての約束が優先され、実際にはその場から姿を消しただけにとどまった。






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