㉔ 謎かけ
「では、問おう。」
気を取り直したように、スフィンクスが謎かけに戻った。
「朝は 4 本の足、昼は 2 本の足、夕方は 3 本の足で歩くモノは何か? そして、この生き物こそが、すべての生き物の中で唯一、足の数が変化するのだ。」
「……それはニンゲンです。生まれてすぐは、ハイハイをするから4本脚。成長すると、2本の脚で立って歩くようになり、更に歳をとると腰が曲がり、杖を突くようになるから3本脚と言えるからです。」
「うむ。パーフェクトな解答だ。まるで問題の内容を知っていたような口ぶりだな?未来から来た者よ。」
(流石はスフィンクス。全てお見通しって訳ね?)香子は思った。そして(もしかしたらコイツも、時間の流れから自由になった者なのかしら?)とも思う。
「では、第2問だ。」
「えっ、まだ有るの?」少し焦る由理子。二問目が出るのは想定外だった。
「今お前たちを見て、思いついたぞ。お互いを生み合い、お互いによって消えていく、二人の姉妹とは何か?」
「ええっと……ソレはあ……?」ちょっと思いつかない由理子。
「昼と夜ね。」後ろから香子がそう言った。
「因みにギリシア語の昼も夜も、女性名詞なのよね?」
「物知りなお姉ちゃんが居て、助かったわ。」由理子が胸を撫で下ろす。
「うむ、見事、正解だ。なかなかヤルな、未来から来た姉妹よ。では、最後の問題だ。」
「まだ、やるつもりなの?」香子も呆れて来た。
「じゃあ、もしソレにも正解したら、貴女、何をしてくれるのかしら?」
「お前たちの望みを、何でも一つ叶えてやろう。」
「あ~あ、貴女、ソレを言っちゃったわね?後悔するわよ。」と強気な香子。
「生まれてすぐの頃は長く、元気な盛りの頃は短く、死ぬ間際に再び、長くなるモノは何だ?答えてみよ。」
「それは……太陽の光のもとで出来る影よ!」香子がピシャリとそう言った。
「よく出来たな。よし、約束通り、お前の望みを一つ叶えてやるぞ。」
「じゃあ、私の望みを言うわよ。」香子がニヤリと笑う。
由理子はちょっとイヤな予感がした。
「スフィンクス、貴女は今この時から、私の眷属になりなさい。」
「……何!?」
「約束通り、私の望みを一つだけ言ったわ。さあ、どうするの?」
「……よかろう。約束は約束だ。」
「では、眷属への最初の命令を与えるわよ。」
「何だ?」
「間もなくここに、オイディプスという青年がやって来るわ。貴女は謎かけでも、腕力でも負けるけど、例えプライドが傷つけられても死んではダメ。その後は潔くこの現場を放棄して、私とともに来なさい。」
「分かった。」
案外素直にスフィンクスは承諾した。契約は守る主義なのだろう。




