やっぱり迷走中
歌って、という声に、俺の胸がツーンと痛くなる。
こんな俺の歌を、聞きたいと言ってくれる人がいる。
その事がうれしくて、なんだか申し訳ないくらいうれしくて。
目の前の夏空がぼやけた。
俺は腕でぐいっと涙をぬぐって、大きく息を吸い込んだ。
歌うのは、俺がpieceに言いたかった事を歌詞にした、俺のオリジナル曲。
『 君に会いたいと思う
僕のこの想い、伝えたくて
でも君はもういない
君の面影思い出して
今日も歌うよ
届かない言葉
君のためだけに
あの日、嘘で始まった僕たち
ひとつになった瞬間のきらめき
まぶしすぎて
失いたくないと心から願った
思うようにならない心と体かかえ
君を傷つけたくなくて
嘘を重ね 君を失った
もしあの日に帰れるなら
僕は君を失わない
君の手を離さない
きっと…… 』
日を追うごとに、ビルの下に集まる人数は増え続けた。
俺はpieceたちに許された。
けど、ひとつだけ、心配な事がある。
それは、あの日歌った俺のオリジナル曲のワンフレーズ。
『思うようにならない心と体かかえ』という部分なんだけど。
もしかして、アキって、体は女の子だけど、心は男の子なのではないか、という噂がpieceの間で飛び交っているらしい。
あくまでも噂で、面と向かって聞かれてはいないんだけど。
聞かれない以上、俺は心も一応女だと言う訳にもいかないし。
そんな事をPuzzleのメンバーに話したら、ヨウタが首をかしげて言った。
「アキってさ、本当に心も女の子なの?」
「え?」
どういう意味?
「だって、これだけ一緒にいるけど、女の子の片隣、ひとかけらも感じたことないし」
「……」
「アキってさ、男と女、どっちが好きなの?」
ヨウタに続き、ツヨシが聞きにくい事をズバリ口にした。
「どっちって……」
そりゃ、男だろって言いたかったけど、残念ながら言えない。
だって俺、まだそういう意味で人を好きになったことはないから。
「初恋、まだなの!?」
「じゃあ、まだ不明ってこと?」
「何がだよ!?俺は女だって!!」
「言い切れるのか?」
「……」
俺って、男なの?女なの?
急に不安になる俺の頭を、ショウヤがポンポンと叩いた。
「どっちでもいいよ。アキはアキだ」
「!!」
たまにはいい事言うよな、ショウヤ!!




