暴露
「やられちゃったよ~。アキ。掲載予告来ちゃった」
兄貴と再会してから数日後の事だった。
歌番組の仕事から帰った俺たちを、社長が待ち構えていた。
「なになに。何やらかしたの、アキ」
リクが楽しそうに俺の肩に肘を乗せる。
「知らねえよ。ってか重いんだけど」
社長は相変わらず表情の読めない顔で、一冊の雑誌を俺に見せた。
それは某写真週刊誌というやつだった。
俺、熱愛とかないと思うけど。
白黒の紙面に書かれた文字を目で追う。
「……」
人間って、本当に驚くと血がサーって引く音が聞こえるんだな。
どこか人ごとのように考えている自分がいた。
「え~?なにこれ。ミチル発見!?え!?あいつ、大学に行ってるの!?すげー」
そう。
それはミチルが大学で目撃されたという記事だった。
けど、俺が驚いたのはそこではない。
「よかったじゃん。アキ。ミチル元気だって」
「ああ、うん」
「あれ?でもこれなに?あれ?アキ?」
能天気に笑うリクから雑誌を奪い、ヨウタがそれをまじまじと見つめた。
「この写真。アキ、ミチルに会ってたの?」
そこにはファミレスで向かい合って座る、俺と兄貴の写真が載っていた。
俺は店内でも帽子をかぶったままだったけど、見る人が見たら、俺だって分かる。
そんな写真だった。
「それはいいけど。なにこれ。ミチルに妹がいるって」と、ヨウタが言った。
「それ、俺」
もう隠しようがない。
そう観念して言ってるのに。
「妹じゃなくて弟じゃん。訂正しなきゃ」と、ツヨシ。
「だから、妹なんだって」と、俺。
「ちょっと待って。この記者、ミチルの戸籍を調べたって書いてる」と、ヨウタ。
「え?アキってお姉さんか妹いるの?」と、リク。
「だ~か~ら~。なんで俺がその妹だって分かんないの!?」
とうとう俺は叫んでいた。
「はあ!?誰が妹って!?」と、ツヨシ。
「アキ~。男の子は妹にはなれないんだよ?」と、ヨウタ。
やめろよ。
優しくいい聞かされても、うなづけないんだから。
正直にカミングアウトしてるのに、なんで諭されなきゃなんないの?
ガックリ肩を落とす俺の後ろから、突然ショウヤの冷静な声がした。
「妹だよ。アキはミチルの」
「ショウヤ!」
分かってくれたの!?
俺の隠された女子力!?
「なに言ってんの!?ショウヤ、夢でも見た!?」と、リクが叫ぶ。
この野郎。
あくまで信じないつもりだな。
「見たのは夢じゃねえ。現実だ」
「へ?現実?」
俺は目を瞬く。
現実って、どういう意味?
「なになになに!?なに見たの!?」
「初めてアキがライブに立った夜。寝ちまったアキを俺の部屋に運んで」
「「「「!!!!!!!!!!!!!!!?」」」」
「服が苦しそうだから」
「「「「!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」
「俺も寝る時は裸だし」
「やめ~~~~~~~~~~~!!!!!!!!」
「脱がしてやろうとしたら、こいつブラしてたから」
「「「「……」」」」
「ちらっと見ただけだからな。ってか、こいつ色気なさすぎ。白のスポブラって、今巻いてるさらしと何がちがうんだって感じ?」
ショウヤの言葉に全員がは~~~と息を吐いた。
俺に至ってはその場にへなへなと膝をついてしまった。
知ってたのかよ、ショウヤ。
俺は泣きそうな気分でショウヤを見上げた。
「ま、お前も俺の見てるから、あいこだろ?」
「俺が見たのは事故じゃん。大体まっぱで立ってるショウヤが悪い」
「それを言うなら、俺のも事故だ。大体お前、ブラする必要ないだろ」
くそう。
それを言うか!?
「ま、アキの男らしさは、尋常じゃないからねえ」
しみじみ言うなよな、ツヨシ。




