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俺とPuzzle

 毎日が新しい事の連続だった。

 新曲『スタートライン』に続き、三ヶ月後に出した『夏の光』がシングルヒットチャートの一位に輝いた。

 その後出したアルバムも売れ行き好調だ。

 テレビへの出演も増え、俺以外のメンバーはバラエティや俳優の仕事もこなすようになった。

 残念ながら俺は歌とダンスの才能以外には恵まれていなかったから、他のメンバーがいない時は、曲作りの勉強をしたり、ダンスの練習をしたりしていた。

 あっという間に年末が来て、年が明けると同時に初の全国ツアーが始まった。

 あんな大きな会場で、あんな沢山のファンに囲まれて。

 準備は大変だったけど、滅茶苦茶楽しかった。




 気が付いたら春になっていた。

 俺がPuzzleに加入して一年が経とうとしていた。


「や~め~て~。俺パスだから~」


 逃げようとする俺の左腕をヨウタが、右腕をリクががっしりと掴んだ。

 そのままずるずるとソファーに連れて行かれる。

 やめろ~!俺は捕えられた宇宙人じゃねえ!!


「まあまあ。アキってさ、ライブ映像って見たことないよね?」

「そうそう。たまにはさ、自分自身を客観的に見て勉強する事も大事だよ~」


 なんでこいつら、こういう時には息ぴったりなの!?

 三人ぴったりと体をくっつけたまま、ソファーに座らされ、地獄の時間が始まった。


『pieceのみんな~~~~!!ちゃんとついてきてる~~~!?』


 ああもう。

 ライブってさ、ある意味酔っ払ってるんだよね~。

 だから正気に戻って見るもんじゃないと思う。

 ちなみにpieceとはPuzzleのファンの通称だ。

 たくさんのピースを集めてパズルを完成させるように、俺たちPuzzleもファンというピースが揃って初めて完成するのだ。

 

「アキって結構MC上手いよね」と、リクが言った。

「普段は口数少ないのに、ライブでははっちゃけるよね~」と、ヨウタが答える。


 うるせえ、冷静に分析するんじゃねえ。

 っていうか近すぎない!?

 なんで男同士でぴったりくっついてDVD鑑賞しなきゃダメなの!?

 

 Puzzleのメンバーは、本当に仲が良い。

 仕事でもプライベートでも仲が良い。

 仲が良すぎて、しょっちゅうハグしあったり、たまには酔っ払ってキスしてたりする。

 男同士で何考えてんだろう。

 俺には理解できない世界だ。

 ライブでもMCでメンバー同士がじゃれあう事が度々ある。

 なのでメンバーがいちゃいちゃするのも、piece公認行事だ。

 

 正直、俺は男であろうが女であろうが必要以上に触れられるのが苦手だ。

 生まれ持った性格か、育ち方のせいか、今となっては分からないけど。

 中学入学と同時に施設から出て、ミチルとアパート暮らしを始めた時、本当に心底ほっとした。

 ミチルは忙しくて、ほぼ一人暮らし状態だったけど、全然淋しくなんかなかった。

 だからPuzzleに加入してびっくりしたのは、みんなの距離感だった。

 あったかいと言えば聞こえはいいが、時にそれは暑苦しかったりして。

 色々あったが、今はメンバーもそれなりの距離感を把握してくれている。

 俺自身、少しずつだけど、人の温もりに慣れてきたっていうのもあるんだろうけど。



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