第2話
「すぐに警察が来てしばらくは事情聴取で時間を取られると思うがそれが終わったらすぐに君の家に帰って少しでもゆっくりと休んだ方が良い」
そう銀髪の男性に言われ「この世界に存在していて存在していないノンオリジナルが死んでも、それでその存在が元々いなかった事になったり人々の記憶から消えたりとかはしないんですね」とよくアニメなどで見られる現象をそう訊く。
「当然だ。この世界はそんなにこの世界で生きている者たちに対しての都合の良い救済措置は用意されていない。それがたとえタイプノンオリジナルであってもだ」表情を変えずにそう説明をされる。
僕は頭の中が混乱し「もう意味が分からないです。オリジナルとノンオリジナルの違いって・・・」
少し表情を緩めてこちらを気遣うように「今はまだ分からなくていい。物事にはそれを知るタイミングと順序がある。それを測りかねると精神的にも物凄い負担が掛かって精神を病む事になる。特に君は今精神的ショックを強く受けすぎている。まずは休んで落ち着いてからの方が先だ」と本気で僕の事を心配してくれているのが分かる。
「ありがとうございます。そうですよね。今はまだ知る段階ではないのかもしれませんし、教えていただいても理解出来ないと思います。もう精神的余裕が無いですし休む事が今の僕のするべき事なんだと思います」先ほどから見たら大分僕は精神的に落ち着いてきた。もう嗚咽を漏らす事が無いくらいには。それでも精神状態が完全に落ち着いたかと言えば落ち着いていない。それは大切な初めての友達が死んでクラスメイトも大勢死んだのだから当たり前のことだ。むしろ、今少しでも落ち着いている方が異常とも言える。
「君にこれを渡しておく。ジャミングされる事の無い通信装置だ」ポケットから出されたそれは一見普通のスマホに見えるデザインの端末だった。
「良いんですか?」いくら僕がオリジナルでこの人と同じ側の存在とはいえまだ会って数十分の存在である僕に専用の端末を渡してくれる事に僕は驚く。それと同時にこの人達の組織に入る事を強制させられるのだろうか、と深読みをしてしまう。あの時この人は、他の所にいた奴らは“俺達”が全員殺した、と言った。つまり仲間がいて、これだけの犯罪者集団を殺す事が出来るほどの人達の集まり、組織があると見た方が自然だ。
「何でも良い。何か話したい事があったらいつでも連絡をしてくれてかまわない。可能な範囲で話せる事も話すし力にもなる。今は君の精神状態が心配だ」優しい表情で言われて僕はこの男性の事を信用して良い存在と思えた。
ただ、それと組織に入るかどうかはイコールではない。入るか入らないかは正直もの凄く悩む。
「あの、僕はあなたのいる組織に入る事を強制させられるんでしょうか?」と不安の混じった弱い口調でそう訊く。
銀髪の男性は「いや。それとこれとは話が別だ。俺のいる組織に入るか入らないかを決めるのは君自身だ。誰に強制される事でもなければ無理強いもしたりしない」と言い「お節介かもしれないが君が心配なだけだ。気に障ったらすまない」
それを聴き「い・・・いえ!全然気に障ったりなんてしません・・・!僕の事を本気で心配してくれる人に対して不快に思う訳ないですから!」少し驚きつつも僕の事を本気で心配してくれるこの人に自分の思っている事を強い口調で気持ちを示す。
「ありがとう。君は優しいんだな。こんな状態になっても人を気遣える。君にその端末を渡して良かったと本心から思える」柔らかい表情でそう言われる。
その後警察が来て予測通りに長時間事情聴取を受けさせられて外はもう暗くなっていた。僕はまだ中学生だけどこのくらいの暗さなら塾に行って帰って来る時にも1人だけで外を歩いているくらいなので特に親を呼ばずに1人だけで帰る事になる。警察は一応生徒の親にも話を訊くみたいだけどそれはまた後日となった。
僕は家に帰り、親からもの凄く心配されていろいろ聴かれ「こんな事を言うべきではない事だけど、あんたが死ななかった事にはホッとしている」と言われた。
不快に思うべき所なのかもしれないけど親としての正直な本音だと理解する。もし僕に子供がいたら多分同じ心境になっていたと思う。
それから自室のベットに倒れ込んで顔に右手を乗せて天井を見ながら今日あった事を頭の中で整理する。
「勇気、麗さん」初めて出来た友達の事を思い出して目に涙が浮かぶ。それでも吐き気に襲われない僕は薄情な人間なのかもしれない、そう思えて自分は最低な人間なのかな、と自己嫌悪してしまう。
気分を変えたくなって家から外に出て夜の時間帯に近所のスーパーに向かって炭酸飲料を買いに行く。
そこで会計を済ませるためにレジに商品を持って行くが、そこで対応してくれた店員さんを見てこの人もノンオリジナルで存在していて存在しない偽物なのだろうか、と疑問を抱いてしまう。考えれば考えるほど訳が分からないし、理解が追い付かない。
自室に戻り今買ってきた炭酸飲料を飲んで勉強を始める。学校はしばらく休みになるみたいだがやらなければいけない事をやらなくて良い事にはならない。中学校で人が大勢死んだから勉強が出来なくてしてきませんでした、では進学にもその先の就職活動の場でも誰もハンデを与えてくれたり免除してもらえる訳ではないからだ。
勉強をし終えて今日はもう寝る事にする。
沢山気持ちがぐちゃぐちゃになって酷く疲れていた僕は深く眠り珍しく寝坊をした。親は気を遣って起こさなかったみたいだ。
朝食にパンを食べてその後に学校が休みの分自室で勉強をする。
勉強が一通り終わると銀髪の男性から渡された通信用の端末に触れてスクリーンをタップする。機能は連絡が出来る他に検索機能が付いていて調べ事をする事が出来るみたいだ。
オリジナルとノンオリジナルの事を考えれば考えるほど訳が分からなくなり勉強にも支障をきたすので銀髪の男性に連絡を取ってみようと思い切って連絡をする。
すぐに繋がり、
「おはよう。昨日はよく眠れたみたいだな」と通話が始まる。
「はい。自分でも信じられないくらいよく眠れました」
「正常な証拠だ。気にする事は無い」
「ずっと僕を気遣ってくれるんですね。あなたは僕に優しいと言いましたけど、僕からしたらあなたの方がよっぽど優しいと思います。僕は自分は最低な人間なんじゃないかって思ってしまいます」
「・・・。少し会って話そう。君の家を訪ねても良いが親御さんに迷惑が掛かる。待ち合わせを決めてそこで会おう」
「僕の住んでいる家の場所を知っているんですか?!」少し驚く。
「君があの学校に通っているという事が分かっているのだからそこから住所を割り出すのはそんなに難しい事じゃない」
「たしかに、言われてみればそうですよね・・・はは・・・」
支度をして家から近くの公園を待ち合わせ場所にしてそこへ向かい銀髪の男性と会う事にした。
待ち合わせの時間というモノはよく早ければ早いほど良いみたいに思われているが、実際は早く着きすぎても相手の方に、自分は待ちました、と受け取れてしまう行為に当たるため、遅れるのは論外だけど早く着きすぎてしまっても失礼な事だったりする。なので待ち合わせ場所に着くのは10分前に着くのが1番常識的で礼儀の通った行動だ。
そして自分が10分前に待ち合わせ場所に着くと銀髪の男性も同じタイミングで待ち合わせ場所に着き、待ちましたか?というやり取りをせずに済んでそのままスムーズに会話が始まる。
「あの、いろいろ聴かせていただきたい事、教えていただきたい事が沢山あります…」
「安心してくれ。俺もそれを話すために君をここに呼んだ」
それを聴いて「?!外でこんな話をするのは危険ではないですか?」と驚く。
「問題ない。タイプオリジナルに聞かれなければ何の問題も無いし、タイプノンオリジナルには理解出来ない内容だ」
「そのオリジナルに聞かれてしまうリスクは?」疑問をぶつける。
銀髪の男性は表情を変えず問題無いと言い「タイプオリジナルかタイプノンオリジナルかは気配で分かる。タイプオリジナルは気配を消す事も出来るがちゃんと周りに気を配って注意して見ているから君は心配しなくていい」優しい表情で気を遣ってくれる。
「僕が気配に敏感だったのもオリジナルだったからなんですね」あの時の謎が解ける。
そして「オリジナルはノンオリジナルと敵対関係かなんかにあって戦っているんですか?」と尋ねる。
「いや。君の通う学校に現れて君の友達を殺した奴らはただ単に過激派なだけだ。タイプノンオリジナルは存在していて存在していない、偽物の命だからタイプオリジナルが殺しても良い、タイプノンオリジナルの命に価値なんて無い、だから殺す、という酷く短絡的な考え方をして遊び感覚で殺しを行う連中だっただけだ」
「そのノンオリジナルって本当に偽物の存在なんですか?!」ずっと引っかかっていた疑問をぶつける。
銀髪の男性は表情を柔らかくし「少し歩こう。君の疑問にもいろいろ答えたい」
「そういえば、まだあなたの名前を聴いていませんでした。もし差支えが無かったら教えていただけませんか?」と今更ながら男性に名前を尋ねる。今までずっと男性という認識だったが正確には青年と表現したほうが相応しい。年齢も20歳より下に見える。
「俺の名前を訊く位には精神的に余裕が出てきたみたいだな。まだ少し心配をしていたのだが君の精神状態の回復を見て安心したよ」
そこまで気を遣っていただいていた事に嬉しく思うのと同時に申し訳なくも思ってしまう。
「俺の名前は流千奏。もし良ければ俺にも君の名前を教えていただけないか?」
!?。そう言われ僕は自分の名前を言っていなかった事に気付き申し訳なく思う。だけどすぐに、僕の通っている学校から僕の住所を知っていて当然僕の名前も既に知っているのでは?という疑問が頭をよぎる。
「あの、もう既に僕の名前を知っているんじゃ・・・」何故だか少し緊張をする。
「そうじゃない。ちゃんと君の口から君の名前を聴きたい」と言われ、「!!。失礼しましたっ!そうですよねっ!それが礼儀であり筋ですもんねっ!」
姿勢を正し真っ直ぐに立って「僕は息吹選人っていいます!」と自己紹介をする。
「息吹選人。良い名前だな」表情を柔らかくしてそう言ってくれる。
「ありがとうございますっ…!」緊張して姿勢をまた正す。上がり症でコミュ障で今までほとんど人と関われた事が無いためこんな時にも人付き合いや人と接する時に緊張してしまって声が大きくなってしまったりテンパってしまう。
銀髪の男性(見た目的には銀髪の青年)から改め流千奏は「行こう」と言い、近くの街を歩きながらいろいろ話してくれる。
「まず、君の言うタイプノンオリジナルは存在していて存在していない偽物、の事だがみんな確かに生きている。心もある。だけど、決してタイプノンオリジナルはタイプオリジナルにはなれないし、タイプノンオリジナルはこの世界を機能させるために存在する世界の一部として見る方が正しい認識だ」
「それって、人間として見るのが正しいんですか?世界の一部として見るのが正しいんですか?ノンオリジナルにも心や感情があるのに存在していて存在していないって言うのがよく分からないんです。友達になってくれた芦谷勇気や月夜野麗さんは間違いなく心がありましたし気持ちも感情もありました。僕はあの2人が存在しない存在で世界の一部としての存在として見る事がどうしても出来ません」
「本当に君は優しいな。その気持ちをどうか忘れずにずっと持っていてほしい。感情論なのかもしれないし、俺自身もそう思いたいからなのかもしれない、だけど、タイプノンオリジナルも間違いなくこの世界で生きている。その事を間違った解釈をしてしまうと君の友達を殺した過激派の奴らがタイプノンオリジナルの命を何とも思わず殺人をゲーム感覚で始めようとする者も現れる」表情に少し嫌悪感が表れる。
それを聴いて僕はこの人が本当に優しい人なんだなという事がよく分かった。
「あと、奏さんや僕の学校を襲ったオリジナルの人が持っていた武器の事なんですが、あれは一体何なんですか?」少し疑問の内容を変えて訊いてしまう。これも僕が知りたかった事なので予め訊こうとは思っていた事ではあるのだけど。
「それはまだ話さない方が良い。この前言ったように物事にはそれを知るタイミングと順序がある。それはまだ知るべき時ではないと俺は思っている」
「すみません。たしかに段階をすっ飛ばしてしまいましたよね…」申し訳なく思い謝罪する。
「今日はこの辺にしよう」
「はい。今日は本当にありがとうございました」頭を下げる。
「もし、俺たちの組織に入りたくなった時はまた連絡をしてくれ。もちろん、何か悩み事があっても連絡してもらって構わない」
流千奏さんと別れて僕は自分の家に着く。
少しして食事の時間となり親が作ってくれた料理を食べて午後からも勉強を頑張る。
翌朝、僕と僕の母は再び警察の方々に事情聴取に参加させられ学校に向かう。
本当は別の場所で事情聴取をした方が良いのだけど親にも現場を見てもらった上でいろいろ聴きたいそうだ。
そこでまずは親からいろいろ聴きたいとの事なので僕は外で待つ事になる。
そこへクラスメイトの誰かの親に会う。その親はもの凄い目付きで僕を睨んできた。
「なんであんた達が生きていて家の子が死んだのよっっ!!不公平じゃないっっ!!私の雄矢を返してよぉぉぉっっっ!!!」と叫び泣き崩れる。
「・・・!」僕はそれを聴いてズキリ、と心が痛む。八つ当たりである事は間違いないのだけど、やり場のない悲しみと理不尽さからくる怒りを誰かにぶつけないと耐えられない、気持ちを保っていられないのだという事は理解が出来てしまう。実際に僕もあの時流千奏さんに八つ当たりをしてしまったからそれが痛いほど分かるし理解も出来る。それと同時に自分がしてしまった事がいかに人を傷つけてしまう行いだったかを思い知る。
あの時流千奏さんは僕達を助けようとして行動し動いてくれていた。なのに僕はその自分達を助けようとしてくれていた人にやり場のない怒りと辛さと苦しさと悲しみをぶつけて当たってしまった。流千奏さんはどう思っただろう。間違いなく傷つけてしまったしやりきれない気持にさせてしまったはずだ。
僕にそんな事をされたのに流千奏さんは僕を心配して気遣ってくれる。
僕に八つ当たりをしてその場で叫び泣き崩れた親のそれを見ていた周りの人達は殺されてしまったクラスメイトの親は全員ではないけど共感しているような目で見ていて、殺されなかったクラスメイトの親と殺されてしまったクラスメイトの一部の親はその親に軽蔑の眼差しを向ける。
僕と僕の母は警察からの事情聴取を終えて家へと帰る時に「選人、あまり気にしちゃだめよ」と言われる。あの時の殺されてしまったクラスメイトの親の叫びを聞いていたのだろう。そしてそれが僕を見て叫んでいた事も察しているのだと思う。親はそういう事を子供が思っている以上に敏感に察する事が出来る。
よく親は子供の成長速度に驚き、見ていないようで子供は自分たち大人が思っている以上に周りをよく見ていて驚く、と言うが、親も子供が思っている以上に子供の事をよく見ていてどこで知ったのか分からない事まで知っていて把握していたりする。
親の子供をよく見ているという話から戻るが、正直クラスメイトの親のあの時の目は僕の精神を簡単に辛くしてしまうほどの威力があった。
家に帰ってからもあの時の目は忘れられなかった。
それでも毎日勉強はしなくてはいけないし、やるべき事は沢山ある。ハッキリと言って精神的に余裕は全く無いけどやらなければいけない事はやらなければならない。
本当にこの世界って何なんだろう?そんな疑問が思い浮かぶ。流千奏さんはこの世界は地獄だ、と言った。そしてその事は僕も幼少の頃から薄々思っていた。
この世界はこの世界に生きているモノを殺さないと生きていけない仕組みで出来ている。弱いモノは自分達より強いモノに狩られて命を落とし食われる。そして、仮に強かったとしても怪我をしていたり年齢から弱っていって狩られる事もある。そして弱いモノ、弱ったモノから殺されて最後はもの凄く辛い思いをして終わりを迎える。人間はこれほどの文明を築いて繫栄していったから最後は愛する家族に看取られて死ぬ事が出来るけど本来そっちの方が異常とも言える事で、その家族に看取られて死ぬ時も最後はやっぱりもの凄く辛く苦しい思いをして死ぬ。そしてそれはこの世界に生きているモノは必ず最後に迎える事であり、絶対だ。また、こうして繫栄したその人間でさえ一生で出来る事はやりたい事よりやらなければいけない事に使う時間が大半であり、ほとんどで、好きな事に使える時間は実際のところ凄く少ない。
この世界を作った神はこの世界に生まれて生きている存在達を救う気が無い、もっと言えば本当に流千奏さんの言った通り辛く苦しい思いをする為にこの世界に生んだ、と言っても納得が出来てしまう。
ただし、この世界に生きているほとんどがノンオリジナルでオリジナルは凄く少ない。
こうして見るとオリジナルもノンオリジナルも等しく辛くて苦しい思いをしてこの世界で生きていると思う。そこに本当の存在であるオリジナルと存在していて存在していない存在の偽物であるノンオリジナルに差が無いように思えてしまう。
だけど、それと同時に僕は生まれてから今現在に至るまでオリジナルだったために周りと少し違っていて物事に対する視点や価値観、考え方が特殊で皆と馴染めなかった。自分では普通にしているつもりでも、どんなに人と同じようにしようとしてもどこかが違っていて違和感を感じた。周りから白い目で見られた事も何度もある。
オリジナルもノンオリジナルもお互い心も感情もあってそれぞれが考えて生きている。そこに何が違っていて何が違わないのか、よく分からなくなってくる。もしかしたらそういった事も含めてこの世界を作ったとされる神はそれで悩む人達を見て楽しんでいるのかもしれない。
気づいたら朝になっていた。
どうやら僕は椅子に座ったまま寝落ちをしてしまっていたみたいだ。何気に寝落ちをしたのは初めてかもしれない。
渇いた身体に冷蔵庫に入っている冷たい麦茶を流し込んで喉と身体を潤わせる。
本当は人肌ほどの温度が体に良いのだけどどうしても冷たいモノの方が喉が潤って気持ちが良い。
朝食も済ませて、また考え事をしてしまう。どうも僕は分からない事を分からないままにしておけない人間みたいだ。
僕の親もたぶんノンオリジナルだ。気配ではないけどオーラみたいなモノが違うように見える。僕が周りから浮いていたのに対して僕の親は周りから浮いていない。むしろ、親からも僕はどこか異常、そこまでいかなかったとしても変わっている子供だと思われている。
思考を切り替えるためにテレビを観る。パソコンでネットをしても良いのだけど、ネットはこちらから検索をかけたり何かアクションをして自分から情報を得ていくのに対してテレビは点けさえすれば勝手に情報が流れてくる。気持ちを切り替えるのに1番向いていると思う。特に考え込んでしまう事から切り替えるのには。
その観ているニュースで人を殺して捕まった犯罪者が映るのを見てノンオリジナル同士でも殺したり殺されたりもするんだな、と思い胸がズキリとする。
それと同時にあの時の僕に向けられたクラスメイトの親の目を思い出し、僕の中で何かが変わり動いたような気がした。
心の痛みや傷もあるけど、僕はオリジナルとしてこの世界をよく見て知らない事を知っていきたいと強く思った。
流千奏さんに渡された通信装置を自室に取りに行ってそこで呼び出しを掛ける。
すぐに流千奏さんが出る。
「どうした?何か訊きたい事でも出来たか?話せる範囲でしか話せないが出来る限り答えよう」
「いえ、今日連絡をさせていただいた理由は別にあります」深く一呼吸し、
「僕を流千奏さんのいる組織に入れてもらえないでしょうかっ!」と大声でハッキリとそう主張する。断られる事が怖くて若干声が裏返ってもいる。
「・・・気持ちに決心がついた、と受け取って良いみたいだな。俺達は君の決心を尊重する。ただし、それは君の本心からの答えであり決心か?迷うなとは言わない。迷わない方がおかしい。何かを始める時に迷ったりしない人間なんていない。だけど、だからこそその気持ち、その決心は自分で考えた末の選択とハッキリと言えるか?」
「ハッキリと言えますっ!きっとこれが“正しい選択”なんだと思いますっ!僕は僕の知らない事、この世界の事を知りたいと本心から強く思いましたっ!」決心して掛けたのに声が震えて裏返る。
「そうか。君がそこまで言うのなら自分でよく考えた上で本気で決心したのだろう。俺達はそれを尊重し、受け入れよう。ただ、お節介かもしれないがこれだけは言わせて欲しい。よく人は正しい選択なんて無い、と言う人がいる。だが俺はそうは思わない。間違った選択があるのならその反対の正しい選択も存在するはずだ。だけど俺は君に“正しい選択”をするより“後悔しない選択”をして欲しいと思っている。何故なら、“正しい選択”が必ずしも良い結果になってその選択をした人が幸せになるとは限らない。だから“正しい選択”ではなくて“後悔しない選択”をして欲しいと思う」
「・・・!!。たしかに今言ったばかりですけど本当は正直、何が正しい選択なのかなんて分かっていません・・・!それでも後悔しない選択だとはハッキリと思えていますっ!」
「これが、“僕の選択”です―――!!」
第2話 僕の選択




