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魔王を殺して、人でなしになる。  作者: 日向ぼっこ


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06.セーフティエリアなんてどこにもなかった

 魔族領にはいってから半年もすぎると、俺たちの精神は研ぎ澄まされた刃のようになっていた。

それは、いつ心が折れてもおかしくない脆さを抱えていたということでもあった。

 

「……イグナート。

 少し休まないか?」


 ルカスが眼鏡の縁を直しながら、掠れた声で提案した。

彼の顔色は、もはや不健康を通り越して「死人のそれ」に近くなっていた。

魔術師である彼は魔素の変動に最も敏感だ。

彼の知識と知略を持ってしても、この地獄のような環境に適応することは不可能だった。

 

「……休む?

 どこでだ??

 ……ここはバケモノの包囲網の中、つまりやつらの胃袋の中も同然だぜ?」

 

俺の声に、ボルドスが苦笑いを浮かべながら斧を地面に突き立てた。


「ハハハ……、イグナート。

 ちょっと座るくらいならいいじゃねーか。

 ……俺も膝がガクガクいってやがる」

 

王国最強の戦士が、膝の震えを隠しきれないほど消耗している。

結局、俺たちは大きな岩の陰に身を寄せて、わずかな「休憩」を取ることにした。

 

だが、魔族領に安全地帯(セーフティエリア)なんてものは最初から存在しなかったんだ。

 

「……ん?

 何か、聞こえない?」


メルが聖印を握りしめ、周囲を見渡す。

すると、耳を劈く(つんざく)ような歪な「笑い声」が聞こえた。

 

 ――ケヒ、ケヒヒヒ……。

 

「……ジャッカル、か?」


 ルカスの顔が、さらに真っ青になる。

魔王軍の幹部である狂笑きょうしょうのジャッカル。

人間をなぶり殺すことを最上の愉悦とする、魔王軍随一の「拷問愛好家」だ。

ここに至るまで再三再四さいさんさいし俺たちに嫌がらせのようにちょっかいを出し続けてきたやつでもある。

そいつが俺たちの背後に、いつの間にか音もなく潜んでいた。

 

俺たちが立ち上がろうとしたその瞬間、周囲の空気が一変した。

霧が黒く淀み、重力が増したかのような圧迫感が俺たちの身体を地面に縫い付ける。

 

「……来やがったな。

 野郎……、ずっと俺たちの『疲弊』が限界を超えるのを待ってやがったのか」

 

 岩陰から伸びる影。

それが俺たちの生命線を壊す凶器になるとは、その時の俺にはまだわからなかった。

俺は謁見の間の豪華な天井を見上げながら、その時の「笑い声」を思い出していた。

今でも、耳の奥にこびりついて離れない。

 

「……安全地帯なんて、最初からなかった。

 俺たちが『休もう』としたその瞬間、その場は奴らにとっての絶好の『狩り場』になったんだ」

 

 俺の言葉に、シルフィーが震える声を上げた。

 

「……そんな。

 ……休息すら許されないなんて」

 

「それが許されるのは、死ぬ時だけだ」

 

絶望の始まりの音が、今も鳴り止まない。


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