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2代目天狐と鬼天狗  作者: 涼井 菜千
新たな問題
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34 【帰り道】

 そのあとの4人は雑貨や服、本、などを見て回り、旅館へと向かっていた。

 しばらく歩き、くたくたになった4人の間に会話はなかった。


 するとそんな4人の背後からクラクションを鳴らしながら一台の車が走ってきた。

 その車は悠依たちの横に着くと“キュッ”という音を立て止まり、窓が開いた。


「やぁ、遥季。今帰り?」

「あぁ、なんだ。兄貴か……」


 陽翔は苦笑いしながら言った。


「なに?僕じゃダメだった?」


 遥季は首を横に振りながら言った。


「いや、兄貴でよかったって意味! この夜道にクラクション鳴らしながら来られたら誰でも怖がるって……」

「それはごめん、でもこんな遅くなるまで出歩いてるとは思わなかったから……つい、ね?」

 

 陽翔の言うとおり、辺りは真っ暗になっていた。


 街灯はあるが数メートル間隔に設置されているため、街灯と街灯の間は誰がどこにいるか見るのも怪しいほどの暗闇だ。


「色々買い物してたんです! 服とか、アクセサリーとか……」


 そう言った悠依の手には紙袋やらなにやら様々な袋があった。


「そう、楽しそうでよかった。 とりあえず、戻ろうか。みんな車に乗って? あ、遥季は前に乗って」

「はぁ!? 何で俺が前なんだよ!」

「あ、そんなこと言うんだー、じゃあ遥季は置いていこうかなぁ?」


 遥季は慌てて「悪かったよ!」と言いながら車に乗った。


「それじゃ、戻りますか」 


 旅館に着いた悠依たちが部屋の襖を開けると、そこには5人分の夜ご飯が既に用意されてあった。


「早いな」

「あぁ、僕が連絡しておいたんだ」

「さすが兄貴! ん? 5つってことは兄貴も食べるのか?」

「うん、なに? なんか文句ある?」


 遥季は陽翔の出す何とも言いがたい威圧感に苦笑いして応えた。


「い、いや、久々だなーって思っただけ」

「じゃあ早速食べようか」




 食事を終え寛いだあと、架威と薙癒を紙に戻し、遥季と陽翔、そして悠依の3人による“あのこと”についての話し合い……

のようなものが始まった。


「それで、藜のところはどうだった?」

「あぁ、藜さんは置いといて、黎羽様は優しかった。特に悠依にな」


 そして遥季は黎羽に教えられた昔のこと、これから起こるであろうこと、それを止めるのは悠依だということ、などを話した。


「そうか…… 黎羽様に気に入られたなら大丈夫だね」

「そうなんですか?」


 悠依の言葉に陽翔は苦笑して答えた。


「うん。 地元の社から話しかけてくれ、って言われたんでしょ? なら大丈夫だよ、面倒くさがりの黎羽様は気に入った人のためにしか動かないからね」


 遥季と悠依は驚いた。


「黎羽様って面倒くさがりなのか!?」

「全然見えなかったんですけど!」

「幽羽様があっちに行ってからは少しマシになったけど……。まだ面倒くさがりだよ? いっつも苦労してるんだから……」

「なあ、結局兄貴って何の仕事してんだ?」

「だから、学園の上のほうの仕事だって……」


 その答えを聞いた遥季は“ちっ”と舌打ちしてから言った。


「それは知ってんだよ! 詳しく教えろって言ってんの!!」


 遥季の剣幕に陽翔は驚いた。

 遥季がこんなに強く陽翔に言ったのはこれが初めてだったのだ。


「まあ、落ち着け遥季。悠依ちゃん怖がってるだろ」

「……悪い、つい」 


 3人の間に重い沈黙が流れた。

 しばらく経ったとき、ボソボソと陽翔が話し出した。


「――そろそろ言わなければ、とは思っていたんだ」

「え?」

「いい? 2人とも。 これから話すことは誰にも言っちゃダメだよ。今までどおり、“学園の上のほう”ってことにしておいて」


 その言葉に2人は黙って頷いた。


「じゃあこれから説明するよ、僕の、本当の仕事について……」

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