33 【お揃い】
黎羽の言ったとおり悠依の姿は鳥居をくぐった瞬間、普通の姿に戻った。
神社を出た遥季は歩きながら後ろにいる悠依に向け話し出した。
「はー、緊張したな。よく考えたら俺達、神様と会話したんだよな!」
「そうだね。なんか世界の危機とか言われてびっくりしたけど、お父さんが止めたことなら私にもやれるはず……」
遥季は笑顔で振り返った。
「そうだ、俺も兄貴も、黎羽様の言い方では学園も、お前を支えてくれる! 一人じゃないから、大丈夫だ。それに、いつかはまだわからないんだ、今は天曳を楽しもうぜ?」
その笑顔につられ笑顔になった悠依は携帯を取り出し言った。
「そうだね、どこ行こうか?」
そうして行くところを探していた悠依だったが、突然思い出したように振り返り
「まず架威たちだしてあげよ?」
と言った。
「別に2人でもいいだろ? 俺と2人は嫌なのか?」
「そういうわけじゃないけど......人数は多いほうが楽しいよ?」
“ダメ?”と悠依が聞くと遥季は“しょうがないな”と言いながら架威と薙癒を出した。
「話は終わったんですね、遥季」
「あ、狐じゃなくなってる」
「悠依ちゃん、どうだった? 何か情報は得られた?」
「はい、いろいろ!」
答えた悠依だったが、なぜか薙癒の顔は晴れなかった。
その顔は街に出ても変わることはなかった。
見かねた遥季が薙癒に尋ねた。
「どうした薙癒?」
「遥季、なんで悠依ちゃん、敬語なんでしょう?」
「はぁ? そんなこと、本人にタメ口で話して、って言えば良いじゃねぇか」
「それが言えたらこんなに悩んでないです! 架威にはタメ口なのに、どうしてでしょう?」
「それはあれだろ? お前が年上に見えるんだよ」
「え!?」
架威は見た目17歳くらいに見られるが、薙癒は少なくとも架威より上に見られる。
老けているとかではなく、大人っぽいのだ。(老けているとも言うのだが……)
「そんな……」
思いのほかショックを受けている薙癒を前に遥季は何も言えなくなっていた。
「で、でも一応それとなく言ってみるから、あんま気にすんなよ?」
「うん……」
そうこうしている間に架威と悠依が戻ってきた。
街を歩いていた4人は“これからどうするか”という話になり、“興味のある店に片っ端から入っていく”、ということになったのだ。
そして悠依が
「私ここ行きたい!」
とアクセサリーショップを指差し、
「お、ここいいな。俺も行ってくる」
と言って架威も行ってしまったのだ。
(ちなみにこの旅行の買い物代は毎日陽翔から1人1万円が与えられている)
「おかえり、2人とも! どうだった?」
「いい感じでしたよ! 女性用とか男性用とかなくて、かわいいのとかかっこいいのとかいろいろありました!」
「そうなんだ、何買ってきたの?」
薙癒が聞くとハッとした顔をして言った。
「あ、そうでした! これ、遥季と薙癒さんに」
そう言って見せたのはペンダントとブレスレット、イヤリングだった。
「どうしたんだ? これ」
「みんな同じデザイン?」
キョトンとしている遥季と薙癒に悠依が話し出した。
「うん! 翼の生えた狐の面のデザインが可愛くて。架威も気に入ったみたいで指輪買ってたの! だから、4人でお揃いにしようかと思って…… ダメ、かな?」
「いいな、それ。選んで良いのか?」
「うん!」
そう答えると遥季はペンダントを手に取り、早速つけはじめた。
悠依は薙癒の方を向き、改まって言った。
「薙癒さんは……あの、これからは“薙癒”って呼んじゃダメですか? あと敬語もはずしたいな、なんて……」
その言葉を聞いた薙癒はとても嬉しそうな表情で間髪いれずに答えた。
「もちろん! 私も“悠依”って呼んでいい?」
「うん! それじゃあ薙癒、どれにする?」
「じゃあ私はこっちにしようかな」
そう言って手に取ったのはイヤリング、早速つけた薙癒。
それは薙癒の長い髪にとても似合っていた。




