35 【秘密】
「学園の上の方っていうのも間違いではないんだけど、正確に言うと僕は“学園とは別の”学園長直属の部下。仕事は守秘義務があるから言えないんだけど……まあ、神様と学園長の仲介役とかそんな感じと考えてもらえれば良いよ」
笑顔で軽く言った陽翔とは対照的に、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしている遥季と悠依。
そんな2人を見た陽翔は苦笑いしながら困った顔で言った。
「あーあ、だから言いたくなかったのに……言っても分からないでしょ?」
悠依はハッとして言った。
「で、でもすごいですね! 学園長の直属の部下なんて!」
陽翔は困った顔をして答えた。
「そんなにすごいことじゃないよ、学園に勤務していれば誰でもなるチャンスはある。たまたま僕の力が学園長の目に留まっただけだからね」
少しの静寂のあと、遥季が言った。
「じゃあ、この後に何が起こるかとか。昔何が起こったとか。色々知ってんの? 兄貴は」
「そりゃあそういうのが仕事だからね」
「頼む、俺にも関わらせてくれ」
陽翔は驚いた。
「え? 遥季。お前……」
「頼む兄貴、無茶なこと言ってるのは分かってる。自分でも何言ってんだって思ってる。だけど! 悠依のこと、少しでも支えたいんだ」
遥季の言葉に悠依は驚いた。
「遥季?」
「俺はずっと前から悠依が好きだった。世界の危機がこいつにしか救えないというのなら、俺が悠依の負担を少しでも軽くしたいんだ。何が出来るかなんてわからない……けど。 お前のためならなんでもしたいんだ」
突然の告白に悠依だけでなく、陽翔までもが固まっていた。
咳払いをして陽翔は言った。
「遥季、告白するのはとても良いことだと思うんだけど……。ちゃんと悠依ちゃんの方を向いて言った方が良いんじゃない?」
そう遥季は悠依に背を向けていたのである。
「まあそこはいいんだよ。また言うから。それで、答えは?」
「それは僕だけじゃ決められないからね。学園長に聞いてみるよ」
「わかった」
「それじゃあ遥季、僕は自分の部屋に戻るとするよ」
「ああ」
陽翔は“上手くやれよ”と遥季に耳打ちして自室に戻って行った。
悠依は真っ赤な顔で遥季を呼んだ。
「あ、あの、遥季……?」
「……」
遥季は悠依の方を見ようともせず、ただ黙っていた。
「ねぇ、遥季」
「……」
「何で何も言わないの?」
「……」
悠依が諦めて席を立った瞬間、後ろから遥季に抱きしめられた。
「は、遥……」
悠依の言葉は遥季に遮られる。
「好きだ」
「遥季……」
「ずっと、ずっと前から好きだった。離れてからもずっと、一度も忘れたことはなかった。高校で会ってから昔より可愛くなってたし、何か危なっかしいし、でも相変わらず男嫌いだし、“俺が告白したら、怖がるだろうな”って何回も思ったけど、もう限界だ」
そこまで言うと遥季は悠依を振り向かせ、続けた。
「好きだよ悠依。誰にも渡したくないくらい」
間近に迫った、いつもとは違う真面目な目に悠依は視線を逸らせなくなっていた。




