24 【連休】
今日は連休前の最後の日。明日から学園は開校記念日とゴールデンウィークが重なった14連休に入る。
悠依は早起きして制服に着替え、朝ごはんを食べていた。そして片付けをしているとき、当たり前のように呼び鈴が鳴る。
「おはよ。遥季」
「はよ、もう大丈夫か?」
「うん。もう全然違和感ないよ!」
「そっか、よかった」
「おはよう、悠依ちゃん」
「おはようございます、薙癒さん」
「はよ。悠依。――今度は狐の耳と尻尾が生えたんだって? 忙しいな、お前」
架威は嘲るように笑った。
「架威! もう、好きで生やしてるわけじゃないのに!」
「まぁまぁ、落ち着いて、悠依ちゃん。狐でも鎌鼬でも悠依ちゃんは可愛いからいいの」
「――そういうものか?」
「そうよ!」
「……あの、2人とも、そろそろ行かなきゃ遅刻……? 遥季?」
「しー……こいつらはいいから先行こうぜ?」
「え!? でも……きゃ!?」
遥季は悠依の言うことを聞かず手をとって走り出した。
「は、遥季、手離して?」
「は? いいじゃん。このまま行こうぜ?」
「い、いや。このままはちょっと……」
「何で? ……わかった。悠依お前、昔より男の事怖がってるだろ」
「え! いや、別に……」
「なら、なんでこっち見ない?」
「いや特に意味はないけど……」
悠依が答えると遥季はすっと顔を近づけてきた。
「ほら、覗き込んだら顔背けるし」
「……だって怖いものは怖いもん」
「俺も怖いのか?」
「――す、少し」
「そっか。じゃあ慣れないと……ってことでこのままな!」
「え!?」
そんな話をしながら学園につき、遥季と悠依は各自教室に向かった。
(酷い目にあった……)
悠依が階段を上っていると後ろから「悠依!」と呼ぶ声が聞こえた。
「架威?」
架威は息を切らし走ってきた。
「おまえなぁ、なぜ俺と薙癒を放っていくんだ?」
「ごめんね? 遥季が無理やり……」
「あいつか。まぁ今回は遥季だからいいが、攫われたとかなったら困るから1人ではあまり出歩くなよ?」
「はーい」
「なんだよその返事」
架威は珍しく優しい笑みを浮かべた。
「あー! 架威、今笑った!」
「なんだよ」
「だって架威なかなか笑わないんだもん!」
架威は照れたように逸らした。
「いいから、教室行くぞ!」
「あれ? 架威照れてる?」
「うるさい!」




