25 【相談】
この日、悠依は柚子とともに街に出ていた。せっかくの連休だというのに悠依が誰かと遊ぶのはこれが初めてだった。
芹とはあの出来事以来一度も会っていない。柚子も芹とは会っていないらしい。
「それで悠依~? 遥季くんとはどうなのよ~」
「え? どうって?」
「どうって? じゃないよ! めっちゃ良い雰囲気じゃん?」
「えー。そんなことないよ? 遥季はただの幼馴染だし。今はちょっと色々お世話になってるけど……」
「色々? 色々って何~」
「い、色々は色々だよ!」
「ふ~ん。 でも好きなんでしょ?」
「……う、うん」
「いいなー青春だね~」
「柚子は? 誰かいないの?」
「いないんだよね~、今はまだ、芹のことがね……」
「そうだよね……柚子は知ってたの?」
「そりゃあね。姉弟だもん。知ってた。でも最近、悠依に危害を加えたころから、何か……何かが違うの」
「何か?」
「うん。――何が? ってきかれたら困るけど、態度っていうか、纏っているオーラが……」
「オーラ……」
「うん。今までは諜報とかの仕事のときだけ冷たい感じのオーラだったのが、最近は仕事とかがないときでもそんな感じで。芹って感じのオーラがなくなってきたように思えて」
「そっか……」
「まぁ。そんなことを言ってもどうにもならないから今はもう帰ってきたら迎えるだけだよ。無事でいるならそれで良いし」
そんな柚子の話を聞きこの日は別れた。悠依が帰宅するとちょうど呼び鈴が鳴った。
「はーい? あ、陽翔さん!」
「やあ、悠依ちゃん。連休に入ったんだって? 遥季に聞いたよ」
「はい! 陽翔さんはいつ帰ってきたんですか?」
「ついさっきだよ、最終の便でね」
「そうなんですか。今回はどこに行って来たんですか?」
「今回は天織にね。 はい、これお土産。」
「あ、ありがとうございます!」
天織とは星霜とは違う大陸に位置する国のことである。
遥季の兄、陽翔は学園の要請で度々他国に行く。何をしているのかは悠依も知らないが、“学園の偉い人の助手”をしているらしい。
「僕が向こうにいる間、色々大変だったんだって? 遥季にきいたよ」
「はい。でも、何で狙われるのか分かったので、父も生きていることが分かりましたし」
「そうだね。亡くなったって聞かされてたんだっけ」
「はい」
「――そうだ! 悠依ちゃん。温泉に行かない?」
「温泉ですか?」
「そう、温泉。今回の仕事上手くいったからってお礼に宿泊券貰ったんだ。だから遥季と悠依ちゃん、それと式神の2人連れて。どうかな?」
「いいですね! 行きたいです!」
「良かった、じゃあ詳しいことはまた明日、朝10時に遥季の家で説明するから」
「はい」
「それじゃあまた明日ね」
「はい、また明日!」




