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8話 パーティーをするパーティー?

 私は法衣にベルトを着けて、杖を差しているいつものスタイルでパーティーに向かいます。キリエさんとルルーさんは制服のような服を着られていました。部屋を出てすぐの場所には馬車が用意されていました。今日向かう先は少し距離があるのかもしれないです。キリエさんが先に馬車に乗り込んで、私をエスコートしてくれます。キリエさんはルルーさんのことも手助けしてくれて、3人が馬車に乗り込めば馬車の出発準備は完了です。キリエさんが馬車の運転手さんに声をかけると、馬車はゆっくり進み始めました。


 私はよい機会だと思い、今回の旅に参加される人のことをお2人に聞いてみました。キリエさんが1人1人について教えてくれます。まず、旅のパーティーのリーダーを務めるのがハーデンさん、王国軍所属で王国最強剣士の1人。今夜のパーティーはハーデンさんのお屋敷に招かれているそうです。続いて王国軍所属で守護剣士を務めるガリスさん。守護剣士は敵前で盾を構えて立ち向かう役目の人で、ガリスさんが敵の攻撃を受けている間にハーデンさんが攻撃をするのが前衛の戦闘のスタイルのようです。本来はここにキリエさんも参加するそうですが、キリエさんは私の護衛が第1の役目なので、攻撃は余裕のなる場合だけになるそうです。黒魔法士のランツさんは魔法士には珍しく前衛よりの魔法士さん。積極的な攻撃魔法と剣も使われるとのことです。キリエさんが私の護衛の分、ランツさんが攻撃的な動きをするのかな?白魔法士のラミアさんは私と並んで後方支援を担当する人。戦闘の開始前に白魔法をかけて皆さんに守護の効果を与えるようです。その後は皆さんに癒しによる回復を与えるのが役目とのこと。ルルーさんも白魔法が使えるので、回復などの手助けをするようです。ちなみに白魔法士が2名も参加するのは、とても豪華なパーティーのようです。バンバン回復してくれたら、前衛の人は安心ですものね。ランツさんとラミアさんは宝物庫で護衛をしてくれたので面識があります。


 ここでルルーさんが面白い話しを聞かせてくれました。ラミアさんのお父様であるラミルス魔法士長が私の召喚を取り仕切った責任者。王国の魔法士を束ねる王国最強の魔法士さん。私を召喚するために多くの魔法士さんが参加して、あのコロシアムのような建物の床に書かれていた魔法陣に大量の魔力を流したのだそうです。大勢の人が苦しそうにしていたり、意識を失って倒れていたのは、魔力を使い果たしてしまったから。それだけ聖女を召喚する行為は王国の大イベントのようです。現れたのは若い娘でがっかりされてないかしらね。




 広いお庭のあるお屋敷の敷地内に馬車が入っていきます。きれいに整備されたお庭を通り玄関前に馬車が停められて、係りの人が馬車の扉を開けてくれます。係りの人がエスコートしてくれて、キリエさんとルルーさんが先に馬車を降りていかれた。残る私のエスコートはこのお屋敷の主のハーデンさん。私の手を取りながらゆっくり馬車を降ろしてくれました。私が馬車を降りたところで、ハーデンさんも後ろに下がりかしずくような姿勢を取られます。見渡すと皆さんがかしずくような最大級の礼で出迎えてくれました。もちろんキリエさんもルルーさんもです。



「皆さん、かしこまらずに立ち上がってください。これから皆さんと旅を始めるのです、お互いに立場に囚われていては続きません」



 私の言葉を受けてハーデンさんが立ち上がってくれました。ハーデンさんが立ち上がったのを見て、皆さんも立ち上がってくれます。皆さんが立ち上がられたのを確認して、私は挨拶を始めました。



「聖女として召喚されたアリスと申します。見ての通りの15歳の小娘です。皆さんのお助けがないければ、穢れを払うことができません。どうか私にお力を貸してください。そして王国から穢れを取り払い、元の穏やかな王国を取り戻すお手伝いをお願いします」



 私がペコリと頭を下げると、皆さんもかしこまりましたと言って頭を下げられました。これで挨拶は無事に終わりです。ハーデンさんに案内されてお屋敷の中に招き入れられました。


 案内されたお部屋は食堂のような広いお部屋。中央にテーブルが置かれ、お料理や飲み物も置かれていました。今回は立食形式のパーティーのようです。皆さんにグラスが配られ、いよいよ乾杯です。乾杯はもちろん主催者のハーデンさん。ハーデンさんは自己紹介の後、乾杯とグラスを高らかに掲げます。私も軽くグラスを掲げ乾杯しました。一口いただくとシュワシュワのシャンパン。豪華です♪


 その後はお1人お1人が壇上に上がって、自己紹介をしてくれました。私のための自己紹介なので、私は壇上下の正面に立ち、よろしくお願いしますと挨拶をしました。自己紹介が終われば、皆さんが食事やお酒を取に行かれます。ただ戻ってくるのは皆さんのいるところ。何せ少人数の立食パーティーなので、料理やお酒をいただきながら、皆で円を描くように立っていました。でもそのおかげで皆さんが話し、皆さんが聞き、皆さんが笑ういい雰囲気です。


 ある程度お食事もお酒もいただいたところで、ハーデンさんが真剣な顔をされました。



「聖女様、出発はいつにされますか?」


「まず、今からは私のことはアリスとお呼びください。皆さんと同じ目的で旅をするのです。私1人だけ特別扱いは困ります」



 私がそう発言すると、キリエさんがハーデンさんに耳打ちしていました。



「分かりました、アリス様。キリエと同じようにお話しをします。キリエからここ2日の森での様子を聞いています。アリス様が旅をすることに問題はないとキリエは判断しています。アリス様はいかがですか?」


「私も今のところ問題はないと考えています。少なくとも移動で皆さんの足を引っ張ることはないと思っています。ですので、私の出発準備は完了しているとお考えください。出発の判断はリーダーのハーデンさんにお任せします」


「了解しました。皆の準備はどうだ?」



 そう言ってハーデンさんは皆さんを1人1人確認します。皆さんはそろって準備万端ですって顔をされていました。



「では、国王陛下に準備完了をお伝えします。いつでも出発できるよう準備を頼んだぞ!」


「了解です!」



 これで堅苦しいお話しは終わりです。私も料理を取に向かいます。隣にラミアさんもいて、そんなにお料理を取るとデザートが入らなくなりますよと笑われました。もちろんデザートは別腹ですと反撃したらさらに笑われました(汗)お料理のお皿を手に、2人でおしゃべりしながら皆さんのいるところに戻りました。




 楽しい時間はあっという間に過ぎてしまい。そろそろお開きとなりました。私は1人1人と握手をさせてもらい、これからよろしくお願いしますと伝えると皆さんが恐縮していました。でも私からしたら、何も知らないのは私だけなの。皆さんによろしくお願いしたくなるのは当然でしょ。だからいっぱいのお願いしますの気持ちを込めての握手とご挨拶だったのです。


 馬車に乗り込んで、窓越しに皆さんに手を振ってお別れの挨拶。皆さんも手を振り返してくれました。馬車がゆっくり帰り道を進み始めます。キリエさんのお話しでは皆でそろっての訓練は行わず、もう旅の一環として最初は手ごろな穢れを払って進む感じになると言われました。私もそれで問題ないお伝えしました。


 そうなると、いよいよ旅の始まりとなります。お部屋でお世話になった皆さんともお別れになってしまいます。何か感謝の品を送りたいなー、私はそう考えてルルーさんに相談してみました。



「ルルーさん、お部屋の皆さんとお別れするときに、何かお礼の品をプレゼントしたいのです。協力していただけますか?」


「ええ、喜んで。そうなると、王都の街でお買い物をしましょうか。私の知り合いの商会にお連れしましょう」


「はい、よろしくお願いします」



 お部屋に着けば、すぐにお風呂に入らせてもらってそのまま就寝です。明日は王都の街でお買い物ができるかな?楽しみです。




 朝、目覚めてからお風呂にはいる。そのまま着替えて居間でのんびり。朝食まで少し時間があるので、エリアスと話しをして過ごします。



『ねぇ、エリアス。お部屋でお世話になった人たちに感謝の品をプレゼントしたいの。聖女らしいプレゼントってあるかしら?』


『特にこれが聖女様ってものはないの。でも、昔の聖女様の中には白いバラをトレードマークにしている人がいたわ。皆さんは聖女様は白いイメージを持っているから、白いバラはイメージピッタリかもしれないわね』


『私は物を変形させる魔法も使えるのよね?バラなら花びらを重ねていけば、それらしく見えるのではないかな?』


『ガラス細工のバラ飾りなら箱の中に入っていたと思う。探してみて』


『うん、ありがとうエリアス』



 私は早速箱を出して中身を確認。大きさが様々な白いガラス細工のバラがの花が入っていました。私はいくつものバラの中から1つのバラを取り出しました。花弁は薄く作られていて軽くてアクセサリーにちょうどいい。でもこれ、ガラス細工ではないわよね。エリアスに聞いてみると、ムーンストーンと呼ばれる石でできているそうです。ちなみにとても貴重な石で、この形には魔法でなければ絶対に加工できないので、実質聖女だけが作り出せるものみたいです。それなら聖女からの贈り物らしくていいかもね。私は人に見せるなとエリアスに言われている金属性の魔法でバラの飾りの複製を作ります。10個も作っておけば十分でしょう。お礼のプレゼント作りは順調です。


 お食事ですと声をかけられてテーブルへ。キリエさんとルルーさんはもう席についていました。ルルーさんが申し訳なさそうに話しを始めました。



「アリス様、出発までの予定が決まりました。本日は各自が支度を整え、明日は王宮主催の壮行会が開かれます。ただ、明後日が出発となりますので、壮行会は昼間に開かれます。ですので、お買い物は急ですが本日になってしまいます」


「私はその予定で問題ないですが、キリエさんとルルーさんは大丈夫ですか?特に本日がお買い物に行くとなると、お2人の準備に影響しませんか?」



 それにはお2人とも準備は終わっているとのことです。かえって最後にお買い物に行けて嬉しいとまで言われました。ここはお言葉に甘えてしまいましょう。


 私はもう1つ、ルルーさんにこっそりお願いをします。



「ルルーさん、今夜お部屋のメイドさんたちを、私の主催のお別れパーティにご招待したいのですが、パーティーの開催は可能ですか?」


「こちらのお部屋で開催であれば問題ないです。王宮にお料理と給仕の手配をしておけば、少人数のパーティーであれば今夜開催できますよ」


「ルルーさんとキリエさんも参加で大丈夫ですか?」


「はい、大丈夫です。私たちもお世話になったので、お礼は伝えたかったですし」



 パーティー開催ができそうで安心しました。では、お買い物に出発しましょう!




 馬車が到着したのはもう玄関とも呼べないほどの広い入り口の建物。馬車が何台も止まっても問題ないような作りなのでしょう。私たちの乗った馬車は、玄関中央にでんと横付けされて停められました。いつものようにキリエさんが先に降りてくれて、ルルーさんと私が降りるのをエスコートしてくれます。大勢の人がかしずくような礼をしてくれていました。その中心に年配の男性と私より少し年上の女性がいました。お2人が挨拶をしてくれて、ここのお店、ラザニー商会の会長のラービさんと娘さんのララーさんと自己紹介をしてくれました。私もご挨拶をすると、お2人がようやく顔をあげられます。ルルーさんがララーさんに小さく手を振ると、ララーさんも小さく手を振り返していました。ルルーさんに聞いたところ、お2人は学生時代の同級生だったそうです。今でも仲良しのようですね。


 私はどんな物が売られているのかまったく知らないので、ラービ会長に店内の一通りの案内をお願いしました。キリエさんかルルーさんのどちらかは私のそばを離れられないようですが、お1人がいれば問題ないとのことで、お2人には交代でご自分の買い物をしてもらうことにしました。まずはキリエさんがララーさんと別行動でお買い物されるようです。


 店内を案内されると、確かにきれいな物やかわいらしい物、お洋服もたくさんあるしで目移りしてしまいます。ただ、これから旅に出る私にはあまり必要がない物なのよね。私が目をキラキラさせながら見ていた品を手にすることもなく通り過ぎていくことを気にされたルルーさん。どうされましたと声をかけてくれたのだけど、旅には必要なさそうなのでと返事をしました。ルルーさんは王都でしか買えない物がたくさんあると教えてくれたけど、それでも手を出すことは控えていました。


 そんな私が爆買いしたのは調合関連の道具や薬を入れるための瓶。瓶は大小さまざまな物を大量に購入しました。店内に置かれている物はごく一部のようで、倉庫にあるものもいただくことにしました。その次の爆買いは香辛料や調味料。自分で作る知識はあるのだけど、欲しい時に欲しい材料が手に入ることはないでしょう。だから前もって大量購入をしておくことにしたのです。これで味変も完璧です!


 やはり店内の奥に行くほど高価な商品が置かれているのは、防犯の意味もなるのかな?私の今日の目的の髪留めは金属製品なので一番奥の一画にありました。もちろん値段はピンキリ。金属の値段と石の値段、それにデザインや加工の代金も含まれているのでしょう。私が欲しいのはシンプルな金属製の髪留め。どう伝えていいか分からないので、私は1つ白い石のバラを取り出して、これを取り付けて髪留めを作りたいと相談しました。皆さんが唖然とした表情。どうも私が取り出した石のバラは、もう高価とかってレベルではなく、お貴族様が自慢の一品として持っていても恥ずかしくないほどの高級品になるそうです。うーん、そうなると、あまり髪留めがお安い物では釣り合わないかな?私はお渡しした人には日常的に使って欲しいと思っていたのだけど、この分ではお祝い事とかパーティーのお呼ばれのときに着けるものになりそうね。でも、日ごろも使ってもらえるだけのしっかりしたものを作りたい。私がラービさんにお願いしたのは、銀色で錆びなくてある程度固く、この石を付けても不釣り合いにならないような金属の髪留めとお願いしました。ラービさんはありません!ときっぱりお返事されて私は涙目です。


 ラービさんの話しでは、まず、私の希望の金属はプラチナと呼ばれる金属がよいでしょうとお勧めされました。ただ、ここにある物はすでに石も取り付けられた加工済みの商品なので、プラチナだけの髪留めはないとのことです。なので石を取り付ける前の髪留めならご希望にそうでしょうと教えてくれました。ラービさんが指示を出して、店員さんが職人さんのところに取りに行ってくれるようです。私は同じものを10個お願いしたいと頼みました。


 店員さんが戻られるまで、応接室で休憩することになりました。もうキリエさんもルルーさんもお買い物が終わっているようです。私は迷っていた大きなふかふかタオルも購入することにして、ララーさんに店内に取りに戻ってもらいました。やはりあのふかふかには勝てませんでした(汗)ララーさんも店員さんも戻ってこられて、私は髪留めを見せてもらいます。光沢のないシンプルな髪留め。白い石と合いそうで私は気に入りました。10個の髪留めと10個の髪留めを収めるための小箱をお願いしてお買い物はすべて終了です。


 お支払いのタイミングでラービさんが私に耳打ちしてきました。あの石を譲って欲しいとのことです。大商人のラービさんがそこまで欲しいと思われるなら、人に安心してプレゼントできる品なのでしょう。この石の加工品は聖女として私がお世話になった人にだけお渡ししようと心に決めました。なのでラービさんには丁重にお断りしました。


 合計金額を聞いて、キリエさんもルルーさんもあららって顔をされるほど高額のようです。私は王国民証でお支払いを済ませます。請求された金額はここに入っているお金の桁が2つしたの金額だったわよね。あれ、そんなに入金されていたってこと?旅が終わったら残金はお返ししないといけませんね(汗)


新年明けましておめでとうございます。

旧年中は『聖女として召喚された私が、いつのまにか森の魔女と恐れられている!』を読んでいただき、誠にありがとうございました。

皆さまにお礼の気持ちをいっぱい込めて、予定外の次話を掲載させていただきます。

本年も引き続きよろしくお願いいたします。


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