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7話 森の散策も大丈夫です!

 昼食を済ませると、すぐに森に向かいます。私は森に馬で入っていけるのかと尋ねると、キリエさんは獣道でもあれば馬も歩けると教えてくれました。あれ、獣道もない場所ではどうするのでしょう?答えは簡単で、馬も歩けないような森は人が歩いて行くようです。その時は村や町で馬を預かってくれる人を雇って森までは馬で移動して、その後は馬は連れ帰ってもらい、次の村や町で別の馬を調達するそうです。私たちの行動予定は逐一王国や領主に報告されているので、馬の準備は前もって行われているそうです。


 森に入るとエリアスに声をかけられた。



『アリス、魔眼を使ってみて。歴代の聖女はこの魔法を駆使して旅をしていたの』



 私はエリアスに言われるままに魔眼を使ってみました。すると、森の風景がカラフルな景色に着色されました。食料はオレンジ色、薬草は黄色、毒を含むものは紫色。危害を加えてきそうな動物や穢れは赤、食料にできる動物は白で表現されていました。かなり広い範囲を見渡すことができるようです。これはきっと歴代の聖女様たちが育ててきた魔法よね、旅には欠かせない魔法だもの。それにこの魔法が使えると、私1人になったとしても食べるのに困ることはなくなると思うのです。余った食料は村や町で必要な物と交換してもらってもいいし、薬を調合してお金を得ることもできるかも。何せ昔の聖女様のお1人は余生を薬の研究に費やした人もいたの。もちろんその研究結果はしっかり残されていて、私もその知識を使わせてもらうことも可能。1人で生きていける確信が持てたのは大きいわね。ただ、危害を加えられそうなものがひとくくりに赤なのが気に入らないです。だって、遠隔から魔法で攻撃するにしても、獣と魔獣や穢れでは使う魔法が異なるでしょ。その辺のことをエリアスに伝えると、エリアスの方で魔法の調整をしてくれました。温度の違いを利用したと教えられたけど、そうなのねとしか言えませんでした。だって穢れも魔獣も実際に自分の目で見たことがないのですもの。


 森の開けたところで休憩をとることになりました。私が何やらニコニコしているのに気づかれたようで、キリエさんとルルーさんにどうされました?と質問されました。私は失礼だけど質問で返してしまいます。



「キリエさん、ルルーさん、例えば私が森で薬草を採取して薬を調合します。その薬を売ってお金を得るには、何か必要なことはありますか?えーと、調合のための道具が必要とかではなく、そもそも薬を作るのに許可がいるとか、薬を販売するのに許可がいるのか、とかです」



 お2人はうーんと考え込まれて、1つの結論にたどり着く。キリエさんが説明してくれた。



「そもそもアリス様は王国民証をお持ちでないので、お1人で何かをするのも不便かもしれません」



 私はその説明では理解できないでいれると、ルルーさんが補足をしてくれた。



「王国民証とは名前のとおり王国民である証明書です。王国の1人1人に渡されています。例えば私が薬を調合して村の薬屋に販売したとします。私の王国民証には薬を販売し代金を得たことが記録されます。また、薬屋の店主から私にお金が支払われた記録が残ります。そして、私の王国民証にはお金が追加されます」


「なるほどです。でも、市場では現金で売買が行われていると聞いたのですが……」


「はい、庶民生活の取引では現金を用いることもあります。少額の取引でも王国民証で支払うこともあります。ただ、高額な取引になるとほぼ確実に王国民証での取引になります」


「そうなると、今の私は買い物すらできない存在なのですね。王国民でもない私は王国民証を手に入れることはできないでしょうし」



 私が困っていると、さすがのお2人もこの件についてはイレギュラー過ぎて対応に苦慮されてました。キリエさんが王宮に戻ったら王宮に確認してくれるということで話しを終えました。


 それよりも、私が薬の調合ができることに、お2人は興味を持たれた様子。今回のパーティーで薬の調合に知識があるのはルルーさんと白魔法士のラミアさん。ただ、薬の調合は素材の膨大な組み合わせがあり、個人ですべてを覚えておくのは無理なようです。なのでよく使う薬は皆が覚えて、特殊な薬は誰が知っているみたいに得手不得手が出てくるみたいです。ちなみにエリアスにこっそり確認してみると、エリアスはすべての調合を知っているとのこと。もちろん聖女様が研究された薬も含めてみたいです。あら、私はエリアスの知恵を貸してもらえば、薬師として王国どころか大陸1の薬師になれるわね!薬草を集めて薬を調合することを、旅の中の私の日課にしましょう。




 その後もキリエさんの先導で森の中を歩き回っては、休憩をとるを繰り返しました。1度だけ獣を見つけて戦闘にもなりました。獣はイノシシで私たちに気付いて駆け寄ってきたの。エリアスに土の魔法と言われて、土の塊をイノシシの頭めがけて飛ばしました。イノシシは脳震盪を起こしたのか、その場で倒れてくれました。キリエさんがとどめを刺して無事に討伐完了です。イノシシの肉はおいしいらしく、肉の処理をするために休憩となりました。キリエさんもルルーさんも肉の処理に手慣れているようです。この王国では学校と呼ばれるところでは森を歩く訓練があるため、食料となる肉の処理の訓練も授業としてあるみたいです。私の場合は森の加護によって肉の処理をして、箱の中にしまっておくのがいいみたい。でも、多くの聖女様がそうされてきたから、箱の中にはあらゆる食料があふれているのよね。まぁ、私も過去の聖女様の物にはなるべく手を付けず、自分の食べる分くらいは自分で調達するつもりですけど。


 キリエさんがお肉の処理を終えたところで、本日は帰りましょうとなりました。帰り道は来た道を戻るのではなく、最短で森を抜ける道を通って、馬を歩かせやすい草原まで出てしまった。背の低い草原は見晴らしもいいので気分もいい。キリエさんの馬の背中には、何かの布でくるまれたお土産のお肉が乗せられていた。明日にでもお料理に使われるのかしら?


 大きな道まで出てしまうと、もう来た道を戻るだけになる。橋を渡ってそのまま進めば、王都の壁が見えてくる。やっぱり家に帰ってきた気分でホッとします。




 初めて王都を出た翌日の朝、王宮のお部屋で食事を済ませて食後のお茶をいただいていると、部屋を訪問してきた人がいました。女性の事務官さん。にこにこ笑顔の初老のおばあちゃんと言った雰囲気です。要件は私の王国民証もどきを届けにきてくれ、説明をしてくれることでした。私はそもそもの王国民証を詳しく知らないので、そのままキリエさんとルルーさんにも同席してもらいました。


 事務官さんにもお茶が振舞われたところで、王国民証もどきの説明が始まります。何ということもなく、王国の大切なお客様ですという身分証なのだそうです。皆さんと同じように身分を証明し、お金の管理もされているようです。特別なのは本来は試験や免許を取ることで許可を得られる茂野の生産や販売行為が、すべて許可されているということです。例えば本来は薬の調合は試験を受けて合格した後、申請して初めて自分が調合した薬を他人に与えることができるのです。それが私はその辺も許可がすでに出ているのです。自分で作った物を売ることも、自分で買った物を自分の物ですと登録することもできるみたい。ちなみにお金については、最初からいくらかのお金が入金されているみたい。私にはその価値は分からないけど、キリエさんとルルーさんはぽかんとされていたので大金なのでしょうね。お店に行ったこともない私に、大金を持たされても猫に小判と言ったところでしょう。ニャー(笑)


 事務官さんにお礼を言ってお見送りをしました。その後は私たち3人も各々が荷物を背負い部屋の外へ出ます。そうです、今日は私もリュックを背負っているの!昨日は石馬に乗って移動がメインだったから恨めしい目で見送っていたけど、今日は森を実際に歩く訓練なので、薬草や食料は自分のリュックに入れて持ち帰れるのです。もちろんこのリュック、先代の聖女様が作られたお手製の特別品。箱と同じ原理です。いくらでも荷物が入れられて、物も腐ったり劣化したりもしないのです。氷なんて入れたらどうなるのかしら?ちょっと試してみたいけど、リュックの中が水浸しになるのは嫌かな……やめておきましょう!


 今日も王宮の庭に兵士さんが2頭の馬の手綱を持って待っていてくれました。キリエさんが手綱を受け取ると、私とルルーさんに会釈だけして帰っていかれた。やっぱりよそよそしいわね。私も石馬を出して石馬に乗ります。キリエさんが馬上から私とルルーさんを確認して、馬をゆっくり歩かせ始めました。昨日と同様に門を通り、道を進んで橋を渡ります。


 昨日同様に歩き進めば無事に森の手前の休憩場所まで到着です。昼食を兼ねた小休止を取り、いよいよ森に向かって徒歩で出発です。あれ、でも馬はどうするの?私は素朴な疑問をキリエさんにぶつけてみ無事にた。



「馬はこちらに置いていきますよ」


「盗まれたりしないのですか?」


「王国所有の馬を盗むなど、牢に入れてくれと頼むようなものです。そもそも王国所有の馬は鞍に細工が施されているようで、探そうと思えば馬の位置を特定できるようです」



 ちゃんと考えられているのですね。私の心配などお子ちゃま並みのようです(笑)




 森を歩きはじめると、私はちょっと不思議な感覚を覚えます。どうしたのかなと思いエリアスに聞いてみると、これは私の着ている法衣の影響みたい。俗に言うパワーアシストのようなもので、体の負荷を軽減してくれる魔法の作用が利いて、極端な肉体的負荷は自動軽減されるそう。聖女様っていろいろずるいわよね。


 キリエさんは森を歩くのが初めてな私を、気にして歩いてくれました。時々私をちらちら見て、様子を確認してくれている。ただ、私は法衣のおかげで、てくてく元気に歩けています。ときどきあれあれと言って小走りで薬草のところへ向かい、薬草を採取してリュックへ。再び小走りでお2人のそばへ戻るを繰り返しました。最初はヒヤッとされたキリエさんも、何度も繰り返す私に何も言わなくなりました。でもそれもそうなのよ、ちゃんと危なそうな獣や穢れについては、きっちりキリエさんに事前に報告しているもの。あそこの薬草を採りたいから、隣にいる獣を何とかして!なんておねだりをしたりもしたからね。私には見えていることは、キリエさんにもルルーさんにも理解はされたようです。


 結局、キリエさんは私の体力的にも問題ない、索敵能力にも問題ない、危なそうなものには声をかけてくれる。これらを加味して私が旅をするのは問題ないと判断をしてくれたみたいです。なのでその後は、訓練よりも薬草探しがメインになっていました。ルルーさんもご自分用の薬草を探し始めたみたいです。私が根こそぎ採ってしまうのはお気の毒ね、適当に採取しましょう。


 今日は少し早いけど、もう帰りましょうとなりました。馬を繋いでおいたところまで戻り、馬に揺られて王都へ帰還です。お部屋に戻ると伝言が残されていました。食事会のお誘いでした。ええと招待をしてくれた人は……ハーデン様?私は知らない人です。ルルーさんにどなたか尋ねると、今回の遠征のパーティーのリーダーさん。キリエさんが出発準備が順調なので、出発前の顔合わせではないかと教えてくれました。私はキリエさんもルルーさんも参加に問題がないことを確認して、メイドさんにお受けしますとのお返事をお願いしました。


 3人は各々が明日の食事会の準備を始めるのでした。


いつも読んでいただき、ありがとうございます。

毎週月曜日掲載の予定が、急用で1日遅れてしまいました。申し訳ございません。

クリスマスの週末だったということで、お許しいただけると幸いです。

いよいよ今年最後の週となりました。皆さまも年末ラストスパートとお正月準備を頑張って乗り切ってください。

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