6.スマホ
未優のスマホを契約し、界館に帰る。
事実上親権は未優の親にあるらしいが、その親が誰なのかが不明なので後継人の日蔓が契約した。
入班したら持たせようと思っていたので昨日の今日で。
未優に何も言わず出てきたので探してるかなーと思いながら連絡が来たスマホを見ると、大扇から丁字が未優に懐いたので牽制に来いと。忘れてた。
急いで界館に帰り、門で待っていた線蓮を無視して技術棟の昨日の部屋に向かった。
「未優、ごめん忘れてた」
「遅いよ」
「これでも慌てて来たんだよ」
日蔓は未優に状況を聞く。
今は足の型を取り終わり、丁字が石膏を入れに行っている最中らしい。
「ちょうど一段落ついたんだね。じゃ、先に渡しとこうか」
「何?」
「はい」
未優にスマホを渡すと、未優は不可解そうに眉を寄せた。
「なんでスマホ。ケーキ我慢しないよ。頭真っ白になるもん」
「働いてもらうから大丈夫。班になると仕事が増えたりこう言う一人移動も増えるからね。なるべく一緒にいるけど、たまにはこういう日もあるからさ」
「ふーん……」
「パスワードはたぶん忘れるから指紋認証ね。僕のも登録してある。後で顔認証もやっとこう」
未優の顔認証を登録しておけば、まぁ解かれることはないだろう。だってこんな美人他にいないし。
「帰ってから色々設定しようね」
「うん」
少しすると丁字が戻ってきて、日蔓に手を振った。
「やっほー。遅かったね」
「未優のスマホ買いに行ってたからね。足の型取れた?」
「完璧! 未優さん今度写真撮らせてね」
「セクハラだよ」
「福利厚生を!」
どこかの誰かと同じようなこと言ってると呆れていると、未優は日蔓にスマホを渡して立ち上がった。
「型取ったからもういいんでしょ」
「あ、身長だけ測らせて!」
どこからかメジャーを出した丁字は未優を壁に立たせ、頭の高さにスマホを添わせるとその高さを日蔓に計ってもらった。
「百二十八! ちっちゃ〜」
「平均より結構低いね」
「元々小柄な体型してるからねー。ずっと一学年下に間違われるし」
「パーカーのサイズは? 超オーバーだけど」
「XMだよ。大きい方が安心するみたい」
「なるほどね」
未優は日蔓と手を繋ぎ、また袖で口を隠した。
もう癖になりつつあるので日蔓も何も言っていない。
「……よし! それじゃあ靴の試作品できたらまた呼ぶよ。足見せてね」
「完成したらね」
「見せてね未優さん」
「気が向いたら」
日蔓より不確かな答えに丁字は目を丸くし、日蔓は未優の手を引く。未優は丁字に手を振り、日蔓とともに部屋に帰った。




