表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
10/13

010 指揮官要請

 壱与との出会いから数週間が過ぎたある日、僕達は局長室へと呼び出されていた。


「おお! 壱与ちゃん! 元気か?」


「はい! 私はいつもオールグリーンです!」


「そいつは良かった! おお、暁彦、悪かったな忙しいところ来てもらって」


 壱与と猿島局長はウマが合うらしい。そして僕へと言葉を振ってきた。


「いえ。それで、話というのは?」


「おう、来月に開かれる各防衛局合同演習の事だ。お前にウチの指揮官をやってもらおうと思ってな」


 年に一度、模擬戦をメインとした大規模な合同演習。統制管理局からは、主に都市保安隊が参加している。


「僕が指揮官ですか……。 例年通り武上隊長では?」


「マザーからの強い意向です、壱臣代行官。 そして壱与補佐官の参加も促されていました」


 雨宮副局長が補足を入れてきた。 若い頃からキャリアを積んで副局長まで登りつめた才媛だ。しかし、生真面目で非常に規則に厳しい。 僕のようなゆるい人間だと、何かと目をつけられ小言を言われる……少し苦手な人だ。


 まあ、この流れはマザーだよな。しかし、壱与も参加か……。


「武上もお前の指揮を見てみたいとよ。 遠慮しねーで、披露してやれや、暁彦」


「披露出来るほどの腕では無いですけど……」


 武上隊長は普段から都市保安隊の隊長として部隊を指揮している。僕など及びもつかないだろう。


「おお、演習に参加ですね! 遂に私の真に眠れる力を解放する時が来ましたか!」


 壱与は最近、僕の持っているレトロコミックにハマっているようだ。その影響だろう……。


「ヒューマノイドも参加させて大丈夫なんですか? 戦力バランスが取れるか心配ですけど」


「一チーム、一体の制限をかけて参加を認めると改定したみたいです」


「ヒューマノイドを運用してない機関もあるんだがな……。ちと強引な決定だと思うが、マザーが決めたなら仕方ねえな」


 なるほど、壱与の演習中のデータ収集も兼ねているのかも知れないな。 局長も少し思うところがありそうな言いぶりだが、まあ、受けるしかないだろう……。


「合同演習指揮官の件、承知しました」


「おう、頑張れや! メンバーは保安隊の連中が中心になるだろうから武上にでも相談しろ。 他にも何か困ったら雨宮副局長にでも聞いてくれや」


「はい、武上隊長のところには、この後、挨拶に寄らせて頂きます」


 局長室を後にして、武上隊長の予定の確認を取り、保安隊のいる捜査課へと向かった。


「実は僕の古巣なんだ」


「マスターの古巣ですか?」



「ああ、入局した直後に配属されたんだ」

 昔をふと懐かしみ、ドアを開ける。 捜査課の大半は保安隊で構成されている。統制管理局の実戦部隊だ。他の部署とは違う異質さがあるんだよな。 入室すると、武上隊長が出迎えてくれた。


「よお、壱臣。久しぶりだな、たまには顔出せよ」


「ご無沙汰してます。すいません、隊長とは入れ違いになる事が多くて……」


 ニカッと笑いながら肩を叩いてくる。いわゆる体育会系のノリの人だ。


「まあいい、演習の件だな? よろしく頼むぞ」


「はい。メンバーは保安隊の方を中心に考えています。 それ以外では僕と壱与、後は後方支援で情報分析課から2名ですかね」


「やっぱりそっちのお嬢ちゃんも出るのか? ヒューマノイドも当たり前の時代になったか……」


「むぅ、お嬢ちゃんではありません。 壱与と申します」


 壱与のレディ力が発揮されてしまった。 例年だとドローンの使用は出来ても、ヒューマノイドの参加は認められていなかったからな、隊長が戸惑うのも無理はない。


「ああ……悪いな、壱与ちゃん。 武上だ。都市保安隊の隊長を務めている。 よろしくな」


「ええ、よろしくお願いします」


 二人のやり取りに他の保安隊のメンバーが意識を向けていたが、穏便に落ち着いた。 壱与の事は通達されているとはいえ、まだ見たことのない局員も多い。場違いな少女型ということもあり異質に映るのだろう。


「まあ、保安隊のメンバーは俺の方でリストアップしておく。基本、スリーマンセルでチームを組んでるから、6名プラス予備要員か……。俺のチームと、後は熱田あたりのチームが妥当かな」


 演習に直接参加する人員は10人となるので、保安隊からは二チームの参戦になる。 熱田さんは僕もよく指導してもらった先輩だ。


「入管局はいいとして、プラントとアンテナはガチだからな、期待してるぜ、壱臣!」


 ドンと背中を叩かれ発破をかけられる。 それぞれの防衛機関ごとに戦術も違うので、指揮官には極めて高度な柔軟性が求められるのだ。


「後は、演習までの間にチームの連携や作戦の立案と共有を詰めていくようだな」


「そうですね、時間を調整してスケジュールを組んでおきます」


「ああ、分かった。楽しみにしてるぞ」


「はい、よろしくお願いします」


 一通りのやり取りを終え、捜査課を後にした。


 その後は来栖に参加の要請を打診して(なんとか)了承をもらい、来たる合同演習の日に備えるのだった……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ