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【web版】八歳から始まる神々の使徒の転生生活  作者: えぞぎんぎつね
三章

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97 国境沿いの竜の群れ

前回のおはなし:レジーナには秘策があった。


「ここは俺に任せて先に行けと~」の3巻が発売になりました。

「最強の魔導士。ひざに矢をうけて~」の4巻とコミカライズ1巻が発売中です!

「何か秘策があるの?」

「突っ込んできた竜を投げ飛ばしながら山登りだよ!」

「えぇ……。力技すぎない?」


 俺は少しだけあきれてしまった。

 百年前もレジーナはこういうことを言う奴だった。

 レジーナは、本当に変わっていない。

 そのことが少し嬉しかった。


「策はシンプルな方がいいって、おれの師匠(・・)! が言っていたからね」


 レジーナはサリアの前だから俺の事を師匠と呼ばない。

 だが、師匠のところを強調していた。

 そのようなことを言った覚えは確かにある。


 とはいえ、

「シンプルな方がいいと思うけど、それは策ですらないんじゃないかな」


 レジーナは自信ありげに胸を張りながら言う。

「もちろんそれだけじゃないよ」

「とりあえず、聞かせて」

「ドラゴンを投げ飛ばしつつ山登りしながら、大声で叫ぶんだよ」

 レジーナはどや顔だ。


「何をあほなことを……」

「真面目に聞いて損した。そういうとこだぞ。レジーナ」

 ゼノビアとミルトが馬鹿を見る目でレジーナを見ている。


「あ、おれのことをバカにしてるな? ディオン、何とか言ってやってくれ」

「レジーナ、ディオンに無茶ぶりをするな」

 ミルトが呆れたようにため息をつく。

 その間、ディオンは真面目な顔で腕を組み瞑目していた。

 そして、突然目をカッと見開いた。


「ふむ。ありかもしれませんね」

「でしょー」


 レジーナは嬉しそうだ。

 興奮しているのか、鼻息が荒くなっている。

 それに触発されたのか、なぜかシロのミルクを飲むスピードが上がった。

 サリアもレジーナを見てふんふん鼻息を荒げながら、おやつを食べている。


「レジーナをかばわなくていいんだよ?」

「ゼノビア。安心してください。別にかばっているわけではありません」


 ディオンは冗談を言っているわけではない。真面目な様子だ。


「ディオン、どういうこと?」

「はい。投げ飛ばしながら大声で叫べば、幹部の耳にも届くでしょう」

「つまり、騒ぐことによって言葉の通じる竜がやってくるから交渉できるってことかな」

「そのとおりです」

「さすが、ディオン、わかってるねぇ」

 レジーナは嬉しそうにどや顔をする。


「策はわかったけど……可能なのかな?」


 俺は疑問を呈してみた。

 やって来た幹部と交渉するには、若い竜を傷つけていないことが前提となる。

 それがとても難しい。


 たとえ若い竜がほとんど無傷だったとしても幹部が話し合いに応じてくれるのか。

 やって来た幹部竜の性格と群れの気質次第なところがある。

 賭けだ。それもあまり分の良くない賭けである。 

 

「おれは可能だと思うよ」

 レジーナには自信があるようだが、俺は不安だ。


「ディオンはどう思う? どのくらい勝算はありそう?」

「そうですね。難しいですが勝算は高いかと」

 ディオンの答えは意外だった。

 俺の驚きに気付いたのか、ディオンは笑顔で続ける。


「例の群れの竜たちは戦いが好きなんですよ」

「好戦的ってこと?」

「それとはちょっと違いますね。力比べが好きというか」

「ああ、なるほど」

 殺し合いではなく、どちらが強いかの力比べが好きと言った感じだろう。


「まれに人族の腕自慢が挑みに行ったりもしますが、喜んで試合に応じてくれますよ」

「その人族は生きて帰ってきているのか?」

 ゼノビアが心配そうに尋ねる。


「当然ですが、事故はあります。ですが、基本的には帰ってきますよ」

「生還率は?」

 ゼノビアは具体的な数字が知りたいようだ。


「そうですね……。聞いた話だと七割とか」

「……低いな。いや、竜に挑んで七割生還なら高いのか」

「そうですね、高いと思いますよ」


 ディオンの話を聞いて俺には気になったことがあった。

「レジーナは挑んだりしたことあるの?」

「ないよ?」

「意外だね」


 俺の中ではレジーナはそう言う力比べが好きそうなイメージがある。


「竜とは沢山戦ったからね。百年前にさ」

 そういえば、そうだった。

 前世では弟子たちと一緒に沢山の竜と戦ったものだ。

 レジーナとしては、竜との力比べなど今更するまでもないといった感覚なのだろう。


「力比べを望むと叫べば、幹部連中も前に出てくるでしょう」

「あとは交渉次第ということ?」

「そうですね。そうなります」

「あっ、そうだ!」

 レジーナは前のめりになった。目が輝いている。


「弟子たちを連れていって、訓練しよう!」

「竜相手に? 危なくない?」

 俺はともかくロゼッタたちは危ない気がする。


「危なくないように、おれとディオンがついていくんだよ」

「私もついていくのですか?」

「ディオン。ここまで焚きつけといて、ついてこないってのはないでしょ?」

「焚きつけたつもりはなかったのですが」

「いまさらその言い分は通らないよ」

「私の弟子ティーナも参加するのならば、私も行かせてもらいましょう」

「ウィル、どうだい?」


 俺は少し考えた。

「ロゼッタたちも、パーティでなら竜と引き分けるぐらいの腕はあるよね」

 上位竜ならともかく下位の竜とはいい勝負できるはずだ。

 その戦闘経験はいい経験にはなるに違いない。


「ディオンがついてきてくれるならいいと思う」

「決まりだね!」

 そういって、レジーナは嬉しそうにうなずいた。

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