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【web版】八歳から始まる神々の使徒の転生生活  作者: えぞぎんぎつね
三章

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93 弓の弦の素材

前話のおはなし:サリアと弟子たちが出会い、レジーナには弓の素材に心当たりがあるようだった。


「ここは俺に任せて先に行けと~」の3巻が発売になりました。

「最強の魔導士。ひざに矢をうけて~」の4巻とコミカライズ1巻が発売中です!

 俺はレジーナに尋ねる。

「いい素材ってなに?」

「これだよ!」


 レジーナが魔法の鞄から取り出したのは、俺の人差し指ぐらいの筒状の物体だ。

 それは竜のひげの一部だったものだ。

 恐らくそれなりに立派な竜のひげに違いない。

 だが、短すぎる。とてもじゃないが弓の弦にすることは出来ないだろう。


「えっと、これって?」

「竜のひげだよ」

「きゅる? おひげ?」


 俺のひざの上に乗っていたルーベウムが竜という言葉に反応した。

 フルフルとルンルンは静かだ。俺の横で大人しくしている。

 フルフルは俺に寄り掛かるようにしていた。

 ルンルンは目をつぶって、俺のひざの上に顎を乗せている。


「そうだよ。竜のおひげだね」

「ルーベウムもひげ生えてる?」

「うーん」


 俺はルーベウムのあごの下あたりを撫でる。つるつるしていた。


「大きくなったら生えてくると思うよ」

 人間の男も大人にならないとひげは生えてこない。

 それは竜も同じなのだ。


「きゅるー」

 と鳴いて、ルーベウムはルンルンの頭に寄り掛かるようにして大人しくなった。

 ルンルンは一瞬だけ目を開けて、またつぶる。


 俺はレジーナに尋ねる。

「高品質な竜のひげだとは思うけど、弓の弦にするには短すぎない?」

「前におれが弓を作ってもらったときのあまりだからね! 当然短いよ」

「なるほど?」


 レジーナは素材を提供しようとしてくれたわけではないらしい。

 弓の弦には竜のひげが最適だ。そのことを教えてくれたのだろう。


 俺とレジーナのやり取りを見て、ミルトがあきれたようにため息をつく。


「レジーナ、ウィルは弓の弦に適した素材が余っていたら分けて欲しいって言っているんだ」

「あ、そうだったのか。ごめん」

「いや、アドバイスありがとう。助かる」


 俺は基本弓は使わない。

 だが、レジーナはあらゆる武器を使う。当然それには弓も含まれる。

 実際に弓を使って戦うこともあるレジーナの意見は参考になる。


「レジーナ、俺は弓の弦に巨大蜘蛛ジャイアントスパイダーの糸を使おうかと思っていたんだけど」

「巨大蜘蛛の糸かー。悪くはないんだけどー」

「やっぱり竜のひげの方がいい?」

「そうだね。巨大蜘蛛の糸も耐久度とかしなやかさはいいんだけど……」

「ほうほう?」

「普通に使う分にはいい素材だよ。でも連続で射るときに弦の振動が大きくなるんだよね」

「そうなんだ。ちなみに連続で射るときってのは、どのくらいの速さのことをいうの?」

「そだねー、秒間一発を超えると、振動を抑えるのが大変になるかな?」

「……なるほど」


 凄腕の弓の使い手であるレジーナならではの視点だ。

 普通の弓使いは秒間一発も矢を射ない。

 だから、巨大蜘蛛の糸でも困ることは無いのかもしれない。

 だが、ロゼッタには、巨大蜘蛛の糸では不便になる領域を目指して欲しい。


 俺たちの話を聞いていたミルトが鞄から何かを取り出した。


「これはユニコーンの尻尾の毛なんだが、弓の弦の素材としてはどうなんだ?」

「武器屋で売っている高級な弓の弦とかはユニコーンの尻尾やたてがみが多いよな」


 そう言ってゼノビアは総長の机まで歩いて行って弓を持ってくる。

「この弓の弦がユニコーンの尻尾だったはずだ。店売りの中では最高級の部類だ」

「ちょっと持たせてもらっていい?」

「もちろん。ウィルの好きなようにしてくれ」

「ありがと」


 最高級品だけあって装飾も見事だ。精緻な飾りが彫られている。

 俺は実用性ばかり追い求めているので装飾には手が回らない。

 だからこそ、少し憧れはある。


「見事な職人の技だね。さすが最高級品」

 貴族が狩猟で使ったりすることを想定しているのならば装飾も必要だ。


「店売りの最高級品となると、どうしても無駄な装飾が増えて煩わしいんだ」

 弓の持ち主であるゼノビアは装飾はない方が好みらしい。


「弓は使ってなんぼだから。装飾なんて文字通り飾りだから」

 レジーナもそんなことを言う。

 貴族ではなく、冒険者が戦闘に使うのならば装飾はいらない。


「戦闘用ならいらないかもねー」

 装飾の分、わずかながら重くなる。冒険者には必要ない。


「さて、ユニコーンの尻尾の使い心地は……」

 肝心なのは弦としての性能だ。

 俺は弦を引いてみた。びくともしない。


「すごく固いね」

 さすがは剣聖ゼノビアのサブ武器の弓なだけはある。

 仮に貴族が購入しても狩猟では使えないだろう。

 飾るための弓なのかもしれない。


「強い弓だね」

「そのぐらい強い弓にも耐えられるぐらい丈夫な弦ってことだ」

「たしかに、それはレジーナの言う通りだね」


 俺は筋力を魔力で強化して、無理やり弦をいっぱいまで引いてみた。

 膂力さえ足りていれば、心地よい引き心地だった。


「なるほど、いい弓だね」

「おお、さすがはウィル。それを引くとは」

 レジーナが感心してくれた。


「魔法を使ってるけど……」

「それでもお見事」


 俺は自分の腕の長さで引けるまで弦を引いてから放つ。

「ボォッ」っという音が鳴り、空気が震えた。


 ウトウトしていた、フルフルとルーベウムがびくっとして起きた。

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