78 学院への帰還
前回のおはなし:みんなと合流して学院に戻ることになった。
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空に上がると、アルティが尋ねてくる。
「その子は?」
「ルーベウムと名付けた。恐らく神獣だと思う」
「そうでしたか。よろしくお願いしますね。ルーベウム」
俺に抱えられたままのルーベウムをアルティは撫でる。
「きゅるるる」
ルーベウムは機嫌よく鳴きながら、アルティの頬を舐めた。
「ルーベウム。その顔を舐めるというのはどういう意味があるの?」
「仲間」
「なるほど。竜族みんなそうなの?」
「うん。馬鹿じゃない限りそうだよ」
ある程度知能のある竜族にとっての親愛の情の表明と言うことなのだろう。
だからワイバーンも怯えるのをやめたのかもしれない。
「ルーベウムは、人族の言葉を話せるのですね」
「そうなんだ。やっぱり神獣だからかもしれない」
「神獣というのが、ルーベウムはわからないんだよ」
ルーベウムは首をかしげている。
「ルンルン、フルフル、シロも自覚なかったから、そう言うもんなんじゃない?」
「そっかー」
「まあ、あとでディオンに詳しく聞いてみよう」
「ディオンは優しいから好き」
どうやら、ディオンはルーベウムに優しく接していたらしい。
とても、ディオンらしい振る舞いだ。
「ところで、そっちの試練はどうだったの?」
「実は三人とも同じ場所に飛ばされました」
「そうなんだ。違う場所に飛ばされたのは俺だけだったのか」
やはり試練の難度調整のためだろう。
俺だけ名指しだった理由もわかるというものだ。
「試練は難しかった?」
「……かなり難しかったですね」
試練の内容も詳しく聞きたいところだが、それは後回しだ。
「ロゼッタは合格できそうかな?」
「レジーナさまは、明日発表とおっしゃってましたが……恐らく大丈夫ではないかと」
「それならよかった」
話している間に、学院に到着する。
全員がワイバーンから降りると、レジーナが言う。
「よし! 皆、お疲れさまだ。詳しいことは全て明日改めて話そうではないか」
「「はい」」
「めぇ!」
ロゼッタとティーナは一斉に返事を返す。
一緒にシロまで返事をしていた。
ロゼッタは少し残念なような、ほっとしたような表情を浮かべながら返事をする。
すぐに結果を聞きたい気持ちと、結果を聞くのが怖い気持ちがあるのだろう。
レジーナはうんうんと頷いた。
「皆、今日はゆっくり休むがよい」
「「はい」」
「解散!」
レジーナがそう言っても俺たち生徒側は動かない。
レジーナ、ディオン、ゼノビアが先に行くのを待っているのだ。
「別にそこまで気を使わなくてもよい。普通に帰ればよいのだ」
そんなことを言いながら、レジーナたちはワイバーンエリアから本館へと戻っていく。
ゼノビア、ディオンが本館の中に入ったあと、レジーナが本館に入る扉の前で足を止めた。
「あ、そうだ。ロゼッタ」
些細なことを思い出した。そんな調子で語り掛ける。
「はい」
「詳しいことは明日説明するが、とりあえず合格だ」
「……えっ?」
突然の合格発表に驚いて固まったロゼッタを放置して、レジーナは本館の中へと入った。
すぐにロゼッタが後を追う。
「……もういない」
レジーナも疲れていたのだろう。
だから説明するのが面倒だったに違いない。
だからこそ、言い逃げみたいな形で告げたのだ。
「ロゼッタ、おめでとう」
「流石ロゼッタね! わたくしも合格だと思っていましたわ!」
「おめでとうございます」
「あ、ありがとう。実感はないけど……」
「めええめええ!」
シロは、ロゼッタにお祝いの頭突きを繰り返す。
「ぴぎぴぎぃ」
フルフルもロゼッタの肩の上に登って、プルプルした。
それを見て、ルーベウムも何かいわないとと思ったのだろう。
「……わかんないけど、おめでと」
「しゃ、しゃべった!」
「すごいですわ」
俺の抱えるルーベウムにロゼッタとティーナが駆け寄る。
ルーベウムは急に近寄られて驚いたのか羽をバサバサとさせた。
「わー。小っちゃくてかわいいね!」
「ウィルさま、触ってもよろしいですか?」
「ルーベウム、どうなの?」
「いいよ」
「いいってさ」
「ありがとうございます」
ティーナは恐る恐ると言った感じで、ルーベウムの胸辺りを撫でる。
「……あったかいですわ」
「きゅるる」
ルーベウムは気持ちよさそうに鳴く。
「あたしも触っていいかい?」
「私も」
「いいよ」
許可をもらって、ロゼッタとアルティもルーベウムを撫で始めた。
俺はルーベウムをアルティに預けて、
「めめえめえ」
俺の足に頭突きを繰り返すシロの頭を撫でる。
フルフルは控えめに足元に近寄っていたので撫でておく。
「シロ、フルフル、待たせた。ルーベウムのことは後で紹介しよう」
「めえ」「ぴぎ」
俺は全員に向けて言う。
「とりあえず、場所を移してお話しする? 疲れているならいいけど……」
「そうですわね。お話ししたい気分ですわ」
「あたしも!」
そして、アルティは無言でうんうんと頷いている。
「じゃあ、とりあえず俺の部屋に行こっか」
「そうですわね!」
俺たちは移動を開始した。




