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ダメな巫女娘に悪魔の加護を。  作者: 琴吹 風遠
飄々?
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141/458

141.話をまとめよう

「や」

「……」

「どうしたんだい? 僕が直々に来たって

 のにそんな顔はやめてな」


 部室には俺と義堂の二人がいる。ミコは今

クラスの集まりか何かで後で来るとのこと。

というか俺と同じクラスなんだから本来は

クラスで何が行われているか理解しておく

必要があるはずなのだが、まぁ別にクラス

全員(俺含み)で行わなくてはならない程

重要な案件ではなさそうだし、無視しても

いいだろう。


 そして俺と義堂がこたつでほくほくと

暖まりながらミコの登場を待っていたところ

まったく予想していなかった人物が現れた。


 といっても今回のメインキャストを理解

していれば予想はつくだろう。あの包丁を

持った狂人、須田 拓也だ。


「あ”? なんだてめぇ」

「いやいや!! 義堂ステンバーイ!!

 この人が例の俺たちが学校来るように

 説得した須田だって!!」

「あ”? こいつが?」


 須田の様子は俺たちを襲った時とは

打って変わり、一緒にお菓子を作っていた

ときに近い。


「あれれ? 僕って歓迎されていない?」

「違う違う!! そういう体質なのコイツ!」

「はははっ、やっぱり君たちは面白いや」


 からっからの笑いをもらってしまった。

家でも言っていたが俺たちってそんなに

面白いか?


「それで今日は何しに来たんだ?」


「休学届を出しに来たんよ」

「え!?」


「僕自身も学校ってもんに意味を出そうと

 ずっと学校にはいたんだけどねぇ、やっぱり

 僕には似合わないや」

「いやいやいやいやでも」

「だからちょっと長く旅に出ようかなって」

「旅?」

「そうそう、この街から出て東京、北海道、沖縄

 いけるんなら海外も行ってみようかなぁと。

 僕はやっぱ君たちみたいに面白くはないし、

 視野も狭い。だからそれを見直すという意味で

 長く旅をしようかなとね。かっこよく言えば

 自分探しかな?」


 須田は親に愛されていた。それが須田自身を

あの家に縛り付け、今年から学校にいけない

ようになっていた。無論、本人も学校には実際

行きたいなんて思っていなかったようだが、

それでも自由を”愛ゆえ”に失っていたんだ。


 その縛りが親の死という形で解放されたのだ。

なんとも皮肉めいたものさ。まったく世の中

世知辛いったらありゃしない。


「というかなんでここに来たんだ?」

「そりゃあもちろんお礼だよ。オレイ」

「お礼?」


 礼儀正しいことではあるが、直々に礼を

言われるほどのことはやっていないだろうに。

だが、こうやって俺が血と魔力を失い、誰かを

救い出し、こうやって礼を言われるのは無論

嬉しいのだが……


「僕はね、あの一か月……いや、もう二ヶ月近くに

 なる長い時間の記憶が定かじゃないんだ。それも

 何かから逃げ出したいなって、そういう甘い

 考えからなったものと言われたらそうだとしか

 言えないけれどね、ははっ。だから君たちに

 僕が一体何をしたのかもはっきりしていないし、

 ただ僕の中で「神前」と「ミコ」って単語だけが

 僕の救いになったと言ってもいい」

「記憶がないだと?」


 義堂が食いつく。そうだった、俺が口をつい

滑らせて、須田から刺された経緯を話していた

んだった。それを記憶がないからと言う理由で

片付けようとしたことに食らいついたのか。


「義堂、あれh」

「いいんだ。あれは僕の仕業だよ。さっき会長から

 君たちにした「仕打ち」についてみっちりと

 聞かされているし、僕の身に一体何が起こったの

 かも教えてもらった。


  でもあれは僕だ。紛れもない”僕”だよ。


  人と離れ、親を亡くし、家にこもってまるで

 悪い夢のような二か月を過ごした僕が全て

 悪い。ごめん、いつかこの謝罪はちゃんと形ある

 ものでさせてもらうよ」

「そんな、俺は」


「だったら学校に来いよ」


 頭を下げた須田に向かって義堂がそういった。


「てめぇがどんな奴かは口だけじゃ知らねぇ。

 だったらそいつを行動で示してみやがれってんだ。

 俺だってコイツに何回謝らなきゃならねぇか

 わかったもんじゃねぇし」


 えぇ、義堂そうだったの。こういうこと

考える人間じゃないと思っていただけあって

その発言には驚きを隠せない。


「……」

「あ”? ”こみゅしょう”かなんか知らねぇが

 んな下向いてねぇで前見て喋りやがれってんだ」


「……ふっ、あっはっ。君たちって本当に面白いなぁ。

 僕の人生をかけた決断すらも否定するなんてさぁ。

 けど、それには及ばないかな」

「はぁ”!?」


「僕にはそれに見合うだけの力がない。だから休学

 するんだ。もちろん生徒会のみんなからはダメ

 だと言われたよ。ただ、そんな否定のされ方を

 されちゃ何も言えないじゃないか。僕には誰かを

 幸せにする力はないって自分でよくわかってる。

 それを認めたうえで決めたんだ」

「ちっ、んなかってぇ頭しやがって」

「だからさ、神前君……いや、ココ」


 俺の事をそう呼ぶってことは、あの家での

出来事を全てが全て忘れたわけじゃないのか。


「君って副部長なんだってね」

「あぁ、そうだが」


「僕が復学したときは部活に入れてよ」

「「はー!?」」


 はー!? とは言ったが歓迎だ。大歓迎だ。

特に生徒会の裏で暗躍していた人物がこちら側の

陣営についてくれるのであればありがたい

っちゃありがたいが……


「わかった。待ってるよ」

「っていいのかよ……だって俺たちは屋上のかg」

「あ”--っと、それ忘れかけてたやつだから

 掘り起こさないでや!! はぁ、まぁ帰って

 来てから色々話そうぜ。お菓子のレシピでも

 聞きながらさ」


 俺は似合わない笑顔をにかッと見せた。須田から

それが笑顔だと思われたかはわからないが

笑顔で返してきた。


 そして、もう用事はないから帰るよと言い残し、

部室を去っていった。しかしこれはミッション達成

という見解でいいのか……


 実質的には須田を家の呪縛から放ち、学校に

来させることには成功したが、その本人が学校を

やめるとなれば、話が変わってくるし…… いいや、

仮に俺たちが関わっていなかろうが、須田はあの

家、そして学校を出て旅に出ていただろうな。

うん、そうだ。そうに違いない。


「しっかしあん野郎どっかで見た気がすんだよな」

「どこだよ」


 学校に来てすらいない義堂がさらに学校での

遭遇率が悪い須田を見れる機会があったとは

到底思えないが…… あるいは生徒会長がらみで

会っているとかか?


「あ”」

「どうした?」


「あいつあれだ。てめぇと夕霧足して割った感じだな」

「……」


 なるほど、一理あるな。


 っていうかあの日、須田が俺に言いかけた

あの言葉、聞けてないままじゃないか。これは

復学したときにでも聞いてみるか。まぁ、今日は

珍しい人物と会えたし、思い出したかのようにあの

台所で作ったガトーショコラを作りたくなった。

義堂は食べていないし今度作って持って来て

みるか。


 えっと確か板チョコとバターと……


 あれ? あとなんだっけ?


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