↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コスモスが揺れる秋の日に  作者: 白羽 海菜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/5

ペールピンク

「ホットのカフェモカを2つで。」

「秋也もカフェモカ?珍しいね。」

普段はブラックコーヒーしか飲まないくせに。


「たまには同じものを頼んでみようと思ったんだよ。」

「らしくないね〜。」

「うるせえ。」


本当に、らしくない。

らしくない理由は解っている。


時計の針の音がうるさい。

いっそ止まればいいのにと、叶いもしない願いを心でつぶやく。


「あのさ、」

「んー?」

「.....次のデートはどこがいい?冬になったら近くでクリスマスマーケットもあるらしいけど。」

「そうだねえ~、どうせならイルミネーションも見に行きたいな。あそこの結構凄いらしいし。」


おー、いいじゃん、と秋也の空返事が耳に残る。


私たちは、今日だけ付き合うという約束も守らずに先のデートの話をしていた。


次なんてないことを、きっとお互いわかっていたから。それでも今は未来の約束をすることでしか私たちを繋ぎ止める術はない。

傍から見たらなんて馬鹿みたいな悪あがきなんだろう。

悲しくなって思わず口を噤んでしまった。


「桜さ、あの時のこと覚えている?」

「あの時って?」

「俺が桜の手を取った3年前の話。」


もちろん覚えている。私はあの時のことを忘れなかった日も、後悔しなかった日もない。


「え〜、何それ。そんなことあったっけ。」

「おい、忘れてんじゃねえよ。どんだけ俺が、」


そこまで言って秋也は口を閉ざした。


「いや、なんでもない。」

「1番気になるやつじゃん、ずるいよ秋也。」

ずるいのはお前だと言わんばかりの顔で秋也が私を見つめる。


「私ねー、夢があるんだ。」

耐えきれず話をすり替えた。

「急になんだよ。」

秋也が少し寂しそうな顔で悪態をついた。

「綺麗なペールピンクのウェディングドレスを着ること!」

「白じゃなくて?」

「うん。ペールピンクのウェディングドレスってね、豊かな愛情と幸福を意味してるんだって。めちゃくちゃ素敵じゃない?」

少し間を置いて、秋也が言った。

「そんなのいくらでも叶えてあげるよ。」

目の前には今にも泣きそうな顔の秋也がいた。


時刻は17:52。

私の頬もまた、冷たく濡れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。