揺れる、想い
土曜日。
目が開けられないほどの晴天。
「お待たせ。相変わらず集合時間が早いな。」
眠たそうな秋也が私の肩を叩いた。
「どうせ生きているなら早く起きた方が得じゃない?」
そう言いながら少し寂しくなった。
「.....まあ、そうだな。」
「あれ、今日はやけに素直じゃん。」
うるせえよ、と秋也はそっぽを向いてしまった。
少しいつもより目が腫れているように見えるが、眩しい日差しのせいだろうか。
「桜ー、こっち見て。」
シャッター音がすごい。
「秋也、今日撮りすぎじゃない?」
「こんな綺麗なコスモス、写真撮らなきゃ勿体ないだろ。」
コスモスと言うより私ばっかり撮っていないか。
「なあ、桜。」
「今日だけ付き合ってくれない?」
「え、それはどういう...」
「お願い。今日だけでいいから。」
「.....いいよ、今日だけね。」
そう言うと、秋也は今までに見たことないくらいの優しい笑顔で私を見つめた。
どうして、とは聞けなかった。
風に揺れる秋桜は私の恋心のようだ。
────
「今日だけ付き合ってくれない?」
言ってしまった。
満面に広がるコスモスよりも綺麗で儚い桜を見ていると、どうにも歯止めが効かなかった。
「.....いいよ、今日だけね。」
そう言う桜は今にも消えてしまいそうで、儚げで、やはり本心は掴めないままだった。
「じゃあせっかくだし2人でも写真を撮ろうよ!」
空気を読んで明るく振る舞うのは、桜の癖だった。
俺だけが気付いていた桜の優しさに今日は救われてしまっている。
フォトスポットも出店もある程度制覇してしまった。時刻は16時27分。
「秋也ー、帰る前にさ、いつものカフェに行かない?」
「またかよ、別にいいけど。」
そのまたも今日で終わりだ。




