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転生したら巨人でした。  作者: 新米オッさん兵士


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第23話 最終決戦② ケンタの覚醒

虚空の巨神の核に、光の剣が深く突き刺さった瞬間——

世界が、静止したかのように感じた。

「ぐあああああぁぁぁ!!」

巨神の咆哮が大陸を震わせ、紫の霧が爆発的に膨れ上がる。

四本の腕が激しく暴れ、俺の体を掴もうと迫ってくる。

俺は剣を両手で押し込みながら、歯を食いしばった。

「まだ……終われない……!」

仲間たちの声が、次々と響く。

ヴォルガルドが翼を広げ、炎を全力で浴びせながら叫ぶ。

「ケンタ! 我の炎をすべて受け取れ!」

シルヴァリアの根が俺の足元から伸び、癒しの光を注ぎ込む。

「森の命を、あなたに……!」

バルドガンとグラムが鋼の巨体で巨神の腕を押さえつけ、ハンマーと斧を振り下ろす。

「鋼の誇りで、足止めするぞ!」

ガルヴァンとルカが神獣の速度で巨神の脚に飛びつき、爪と牙で核への道を切り開く。

「今だ、ケンタ兄貴!」

リナが俺の肩の上で、必死に声を振り絞る。

「ケンタ! みんなの力が、あなたに繋がってる!

信じて……! 私も、ずっと信じてるよ!!」

その言葉が、俺の胸の奥に突き刺さった。

前世の記憶がフラッシュバックする。

平凡なサラリーマンだった日々。

誰も守れず、何も変えられなかった自分。

トラックに轢かれた瞬間の虚無。

でも今は違う。

ここにいる仲間たちが、俺に力をくれている。

リナが、最初から俺を信じてくれた。

ヴォルガルド、シルヴァリア、バルドガン、ガルヴァン、ルカ、エルウィン……

みんなが、巨大であることを恐れず、戦ってくれている。

巨人族の真実が、俺の中で完全に目覚めた。

「俺は……ただの転生者じゃない。

世界を守るために生まれた、最後の巨人だ……!」

体が熱い。

胸の奥から、純粋な金色の光が爆発的に溢れ出した。

これまでとは比べ物にならないほどの、圧倒的な力。

俺の体が、さらに巨大化を始めた。

60メートル、80メートル、100メートル……

ついに120メートルを超え、虚空の巨神とほぼ同等の大きさになった。

皮膚が金色に輝き、光の剣が太陽のような輝きを放つ。

仲間たちの力が、すべて俺に流れ込んでいる。

「これが……本当の巨人族の力……!」

虚空の巨神が、初めて明確な驚愕の反応を示した。

虚空の核が激しく回転し、紫の霧を最大出力で噴き出す。

「………………排除………………」

巨神の四本の腕が一斉に俺を叩き潰そうと迫る。

俺は光の剣を大きく振り上げ、叫んだ。

「みんなの想いを……この剣に!!」

金色の光の奔流が、巨神の胸の核に向かって一直線に放たれた。

今度は、巨神の虚空の力でも完全に飲み込めないほどの、純粋で強大な光だった。

核に直撃。

紫黒い核に、大きな亀裂が走る。

「ぐおおおおおおおっ!!」

巨神の体が激しくのけぞり、四本の腕が乱れ狂う。

紫の霧が一時的に薄れ、大陸に朝の光が差し込み始めた。

しかし、核はまだ完全に砕けていない。

俺は剣を振り上げ、再び突進した。

「もう一度……!」

巨神の反撃が来る。

紫の波動が俺の体を抉り、痛みが全身を駆け巡る。

それでも、俺は止まらなかった。

リナの声が、俺の耳に届く。

「ケンタ! 頑張って!

私も……一緒に戦ってるよ!」

仲間たちの想いが、さらに力を与えてくれる。

ヴォルガルドの炎、シルヴァリアの癒し、鋼のドワーフの強靭さ、神獣の牙と爪——

すべてが俺の光の剣に宿る。

俺は最大の跳躍をし、巨神の胸に剣を突き立てた。

「世界を守る責任を……ここに!!」

光の剣が、虚空の核の中心を貫いた。

瞬間——

核が、激しく明滅し、紫の光と金色の光が激突した。

爆発的な衝撃波が大陸全体を揺るがし、紫の霧が一気に吹き飛ばされる。

「ぐああああああぁぁぁぁ!!」

虚空の巨神の咆哮が、初めて「苦痛」そのものとなった。

核に、決定的な亀裂が入る。

俺は剣を最後まで押し込み、全ての力を解放した。

「消えろ……!!」

金色の光が爆発し、虚空の核を完全に粉砕した。

巨神の巨大な体が、ゆっくりと崩れ落ち始める。

四本の腕が力なく垂れ下がり、紫の霧が急速に薄れていく。

「………………実験……失敗………………」

最後の言葉を残し、虚空の巨神の体が黒い粒子となって風に散っていった。

大陸に、朝の光が戻ってきた。

紫の霧が一気に晴れ、枯れていた森が再び緑を取り戻し始める。

俺は巨大化したまま、膝をついた。

体中の力が抜け、剣が地面に落ちる。

「やった……のか……?」

リナが俺の肩から飛び降り、駆け寄ってくる。

「ケンタ! ケンタ!!

勝ったよ……勝った!!」

仲間たちが次々と集まってくる。

ヴォルガルドが翼を休めながら、低く笑う。

「やったな……最後の巨人よ」

シルヴァリアの花が一斉に咲き乱れる。

「森が……喜んでいます」

バルドガンが豪快に笑い、俺の肩を叩く。

「盟主! お前は本物の巨人じゃった!」

ガルヴァンとルカが俺の周りを回りながら喜ぶ。

「勝った……本当に勝ったぞ!」

俺はゆっくりと人間サイズに戻り、地面に座り込んだ。

体が震え、涙が溢れて止まらなかった。

「みんな……ありがとう。

お前たちがいなければ、俺はここまで来られなかった……」

リナが俺に抱きつき、泣きながら笑う。

「ケンタ……お疲れ様。

本当に、お疲れ様……」

要塞から、遠くの人間の国々からも、歓声が上がっているのが風に乗って聞こえてきた。

世界が、再び動き始めた。

虚空の巨神は倒れた。

しかし、これは終わりではなく、新しい始まりだった。

俺は仲間たちに囲まれながら、静かに空を見上げた。

「これで……守れたよな」

巨大であることの責任を、全うした瞬間だった。

(続く……最終話へ)

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