変化
「はは……これが隠し玉ってか?ありえないだろ……神話でその存在が語られる事はあるが、本当に実在してたなんて……」
「そんな嘘みたいな事が実際に起こっている、そう言いたいのでしょう?」
「ああ、そうさ……こんな理不尽があって良いのかよ……後一歩ってところで、こんな大物だされるとは思わないだろうが……」
ありえない。
認めたくない。
この現実が幻影であって欲しい。
たちの悪い夢を見てるだけだど。
だが、これは現実だ。
冷静な俺が事実を口にする。
ああ、分かってる。分かっている……これが事実だって。
あの大蛇から感じられる力は本物だ。
いくら否定したところで、それは変わらない。
「ふふ。顔が青白いけど、怯えたのかしら?」
「ッ!!」
あの余裕ぶった態度はイラッとするが、そのお陰で多少の落ち着きは取り戻せた。
「ふん!それを言うならお前の方もだろうが!神話の生物召喚したって言うのに、一向に攻撃してこないって事は、俺の攻撃を恐れているんだろう?」
「ええ、そうね。私は貴方の攻撃を恐れているわ」
「…………」
なぜ、急に素直になった?
おかしい。先程までの奴なら素直に認めるなんてあり得ない!
「何を考えている?」
「ふふ、そんなに硬くならなくても大丈夫よ」
楽しげに笑むマルナに、恐怖を感じる。
「本当に何を考えている?」
「そんなに気になるかしら?」
「ああ、今のお前からは嫌な予感しかしない」
「そう……」
フッと笑みを消したマルナは、頭上に座す存在を見上げる。
「そろそろ良いかしら?」
「なんだ?」
その言葉の真意が読めず、眉間を顰める。
だが、その真意はすぐに分かった。
今まで炎で型どられていた大蛇が、白、黄、青、の淡色で染め上げられて行く。
形も変わって行き、マルナに纏わりつくように防具と槍へと変じた。
「なんだそれは……」
見たこともない現象に俺は驚愕の表情を浮かべる。
「ふふ……素晴らしい。素晴らしいわ!!これが神を纏う事なのね!!ああ!溢れ出る力が身体を満たして行く!!」
アハハハハハハ!と狂ったように笑うマルナに、俺は嫌な汗をかく。
もし、その言葉が事実ならとても不味い!




