危険な存在
ガシャ!ガシャ!ガシャ!ガシャ!ガシャ!ガシャ!ガシャ!
と、万にも及ぶ甲冑姿の異形が地を踏みしめる音から生み出される地揺れにマルナはバランスを崩しそうになった。
「っ!ついに現れたのね」
ダン!と強く地を踏みしめる事でバランスを保ったマルナは、笑みを浮かべながら近づいてくる異形を見た。
「あら?あれは何の生物かしら?兜で中を覗けないから分からないわ」
とても楽しげに呟くマルナは手を伸ばし、目の前に強大な魔方陣を生み出した。
「私の下僕よ。あの生物達を捕らえなさい」
その命令に応じるように魔方陣は輝きを増し、中から干からびたミイラみたいな存在が数えきれないほど出現した。
ミイラの名は『渇望するミイラ』
かつては人であった存在。
禁忌の生け贄として、あるべき物が抜かれ、ミイラとなった者。
彼等が望むのはただ一つ、ありし日の人であった自分である。
その為であれば、彼等はなんぴとをも犠牲を厭わない狂気に狂わされた哀れな者達でる。
「私の前に連れてこられたら、そうね……生者に戻して上げようかしら?ああ、でも、一番頑張った子だけよ」
優しく微笑んで言う、マルナ。
彼女は悪魔だろう。
彼等を生み出していないとは言え、生者に戻る事を渇望する彼等にそんな火種を与えてしまうのだから。
その言葉に誘発されたミイラ達は我先にと、自身の望みを叶えるべく動き出した。
ある者は、仲間のミイラの前に割って入り、前へ進ませるのを阻害し
またある者は、種族として備わった力を使い仲間の浮遊能力を奪う
敵と合間見える前から彼等は争い、進む度に数を減らしていった。
「ふふ」
捕らえるのも難しいと思えるぐらい、不利な状況に向かっているのにマルナは笑みを浮かべる。
何か考えがあるのだと、思わせる笑みだった。
そしてついに、ミイラ達は敵の元に辿り着いた。




