走ろう!走ろう!走ろう!
「なあ、本当に魔物なんているのか?」
森も中頃に達した頃だろうか、唐突に一番若い騎士がそう声を発した。
「分からない。だが、この状況は異様だ。まるで、獲物が罠にかかるのを待ってるようだ……」
不気味な程に何も起こらない状況に、得体のしれぬ恐怖が体に纏りつく。
今すぐにでも逃げた方が良いと警邏を鳴らす直感に従い、足を止める。
「騎士長?」
急に足を止めた騎士長を不審に思った騎士の一人が疑問の声を上げる。
「この森から出るぞ。なるべく早く」
「急に何を――」
言ってるんですか、そう言いたかった声は騎士長の怒声によって遮られる。
「逃げるんだ!!この森から!!早く!!」
普段上げるの事のない怒声に騎士達は戸惑いつつも、騎士長の指示に従い森を脱出すべく走り出す。
走り。走り。走り。走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り走り
走った。
行きよりは早く戻って来た筈なのに、代り映えしない森の景色の影響かとても長く感じる。
だが、それも終わり。
森の外まで後残り僅かだ。
重装備に身を包み重たい体をヘトヘトになるまで酷使した騎士達は目視できたゴールにホッと安堵の息を吐く。
後少しで終わる。
出たら休みたい。
騎士長に説明をして貰わなければ。
と、誰もが森を出た後の事を夢見て走る。
だが、後一歩と言うところで騎士達は直感で感じ取った。
((((((ああ、俺(私)はここで死ぬのか)))))))
そう思うと同時、彼等の首が宙を舞った。




