事件発生
「いったい何が起こってるの」
領土外縁部の周辺で起こる、いくつもの行方不明事件。
反逆者どもを倒してすぐに、こんな事件が起こりマルナはそう疑問を漏らす。
(明らかに敵の狙いはこの国。敵対国の攻撃だと思いたい所だけれど、たった数日で広大な領土を往き来し行方不明者を出せるものかしら?)
マルナの領土は一般的な広さを有する国々の何倍も広大な領土があると自負できるほど広い。
そんな領土の外縁部周辺の全域に短い期間で被害が出せるものかとマルナは疑問に思う。
「出来たとすると、敵には転移系の魔法使いが居ると見て、間違いないわ。でも、そうなると一つの疑問が……」
敵の魔法使いはどうやって距離を把握し、転移に膨大な魔力をどう補ったのか。
口にはしないが、マルナでも難しい事を平然と行う者の存在が恐ろしく感じた。
「だけれど、それについても見解があるわ。一度隠れやすい場所に転移して、そこから行ける範囲の村や町から誘拐すれば数度の転移で済む。でも、なら、どうして敵は……」
なぜ、一つの村や町から行方不明者を数人しか出ていないの?
そんなマルナの疑問は報告書を通して、見えない犯人に向けて問い掛けてみるが、無論、答えが帰って来る事はない。
そもそも、膨大な魔力を持つのなら村人を丸々誘拐した方が効率的な筈だ。
だが、敵はそれをしなかった。
そこにマルナは不気味さを感じた。
「嫌な予感がするわ。私の知らない所で何かが動き出している気がするのよ……」
窓の外を眺めながら、これから起こる事に不安げな表情を浮かべるのだった。




