知らね
「ノギャォオオオオオオ!!!」
理性を無くしたかのように変な奇声を上げながら、転げ回る元癒し系のイケメン……
「はぁ……なんでこんな事になったのかしら?」
全ての原因は分かっていても、私は認めたく無いわ。手違いとは言え、私お手製の素晴らしい本を読ませただけで、こんなに狂ってしまうなんて……
「でも、狂ってしまいたくなる程、私の本が素晴らしかったのね」
まったく、そこが可愛いんだから……
「ぐがかが!!あれはB〇本ではないぃぃいい!!!あんな悍ましい本を僕は知らないぃぃいい!!!」
「そんな勘違いしてしまう程に、とっても素晴らしかった、と言う事ね」
私はなんて表現力豊かで、天才で、優しいのかしら……思わず惚れてしまうわ。
「あぁああああああーー!!!誰かこの人を止めてくれぇえええ!!!!」
「はぁはぁ❤私はこの才能と言う魅力を活かして遍くイケメン達を虜にして、籠絡して、私に逆らいたいと思う存在は居ない素晴らしい女王になるの!!」
そう考えただけで、私は……私はもう!!!
「そこまでだ!!!」
「っ!?!?」
「に、兄さ、ん……」
いきなり誰よ!って言いたかったけど、驚きすぎて声が……?
「兄さん?」
今、彼の口からその言葉が出たわよね?……彼のお兄さんなら癒し系の可能性が……
「癒し系では無いのね……」
ガッシリと体格と、凛々しい顔付きはとっても素晴らしいのだけど、癒し系を期待していた私からしたら期待外れとしか言えないわ。
「貴様!!よくも俺の妹に酷い事をしてくれたな!!!!」
「い、妹!?」
嘘でしょ!?女の子っぽい顔付きはしていたけど、一人称が僕の女の子なんて見たこと……あったわね。そ、それはともかく、男の子だと思っていた彼が妹で、その妹を助けに来た男が凛々しいイケメンで……ゲットするチャンス!!
「兄さん……逃げて、この人から邪な気配を感じる」
「何を言っている!!俺はハナサを救いに来たのだ!!ハナサを見捨てて俺が逃げる訳がない!!」
「で、でも、この人は「とっても素晴らしい兄妹愛……私、思わず 見入ってしまいましたわ」……」
こんなに素敵な兄妹なら、二人とも私の下僕に加えてしまうのも悪くないわ。えっ?残虐非道な悪役みたい?そんな事はありません。私は単に、美しい兄妹愛を守る手助けをして上げたいだけ……だから、決して兄妹の恋愛を見てみたいとかではありますわ。
「ふぅ~~~~……貴様から、とんでもない気配を感じるな。名前はなんて言う?」
「ふふふ、そうね……マルミスタと名乗らせていただくわ。それで、貴方のお名前は?」
「俺か?俺はシャクダナル王国所属の単なる騎士だ。名前を名乗る程でも無い」
「あら?ここは名前を名乗る場面の筈よ?」
でも、名前を名乗らなくても困らない……私の物にしてしまえば良いのだからね。
「ハハハ!!貴様は俺の名前など、興味が無いと伝わって来るからな!」
「そうなの?でも、そうかも知れないわ。倒した後でいくらでも名前を聞く機会なんて沢山あるんですもの」
ええ、本当に……今知るのも状況と合っていて良いのだけど、やっぱり無理矢理聞き出すのが良い。
「兄さん。負けないで!!」
「おうよ!兄ちゃんが必ずハナサを救い出してみせるからな!」
「ふふふ。そろそろ初めてもよろしいかしら?」
こんなに仲の良い兄妹は中々居ないけど、とっても良いものね。それを下僕として手に入れて眺める……それはとっても微笑ましい光景ね。その為にも、私は必ず勝ってみせる!!
「ああ!始めようか!!」
負けフラグ建築士。この言葉を見た人は誰でも分かるでしょうが、悲しい展開にはならないと思うぜ!多分な!!




