どこの誰とも知らないネット上の変態よりも、すぐ身近にいる変態の方が危険度は高いのは当然だと思います。まあ、ネット上の変態も自重してほしいとは思うけどね!(byパーカーちゃん)
それから先へ進み、次なる階層。
「ふぅむ、やはり弱いのう」
「だなー」
イルは魔法で、柚希は雷の刀で迫りくるオーガなどを倒しながら、どこか気の抜けるような緊張感のかけらもない声でそう話す。
【弱い……弱い?】
【今し方倒したの、オーガルークじゃね……?】
【あれだろ? 通常のオーガよりも、ガッチガチに硬いオーガ。あいつの体鋼鉄でできてんじゃね? ってくらい硬い】
【あの、すっぱり切られてるし、炎で一瞬で灰になってたんですが】
【既に俺たちのダンジョンへの価値観はおかしくなっている!】
「ま、レベルⅤならこんなもんじゃないか? 俺的にはレベルⅥ以上でもよかったんだけどさ、最初からそれは飛ばし過ぎだー、なんて霧火さんに言われたし」
「うむぅ、何故ダメだったんじゃろうな?」
「「うぅむ」」
霧火に最初からⅥ以上のダンジョンは控えてほしいと言われた二人は、その意味が理解できておらず、二人仲良く首を傾げる。
【そりゃそうだろww】
【どこの世界に、デビュー配信でレベルⅥ以上のダンジョンから配信するやつがいるんだよww】
【しかも何が酷いって、特に大変とか思ってなさそうな所よw】
【しつもーん! 二人にとって、レベルⅥとⅦのダンジョンってどんな印象?】
「お、質問だな」
「じゃな。まあ、雑魚戦ばかりで飽きとるじゃろうし、ここいらで雑魚狩りしつつ、質問に答えていくかのう」
「おう」
ひらりとオーガの攻撃を避けつつ、流れるように雷の刀で斬り返し、胴体をスパっと切断。
断末魔と共に消えるオーガを特に見ずに背後から金棒を振り下ろすオーガの腕を切断。
そのまま心臓を一突きで処す。
イルの方は、小さな火の玉をオーガに当て、そこから瞬間的な爆発を起こし、それでオーガたちを倒している。
二人に対しての脅威になっておらず、しかも歯牙にもかけない様子の二人に、視聴者たちはちょっとドン引きだった。
【あっれー?】
【雑魚戦……雑魚戦?】
【オーガルークとか、オーガナイト相手を雑魚戦……?】
【あの、オーガってそんなにヤバいんですか?】
【創作物じゃよく見かけるけど……】
【力クソ強い、無駄に速い、筋肉硬い、デカイ、これだけでヤバさがわかるだろ】
【たしかにww】
【っていうか、会話しながら殺されるオーガさんが可哀そうに思えて来た……】
【わかる。普段はクソ敵だと思ってるんだけど、さすがにこんな光景を見せられると……哀れだよ……】
【見ろよ、奥のオーガとか、二人にビビって攻撃を躊躇ってんぞ】
【そんなことある???】
「んで、質問だったなー。そうだなぁ……レベルⅥか……俺、高校生の時には既にレベルⅥダンジョンに潜ってたしな……」
【ちょっと待て】
【高校生? え、高校生!?】
【まって、パーカーちゃんいくつだよ!?】
【まさかとは思うけど、そのなりで大人!?】
【いやいやまさかぁww】
【いくらファンタジーな世の中になったとはいえ、見た目ロリの中身大人がいるわけ……いやいるなぁ……】
【海外には、御年60歳の幼女がいるんだぜ】
【合法ロリか】
【なんか、めっちゃ可愛いらしいよね】
【ゴスロリらしい】
【60歳のゴスロリ……】
【字面がひでぇ】
パーカーちゃんの高校生の時発言により、コメント欄はそれはもうざわついた。
実際、パーカーちゃんの外見年齢は、どう見ても小学生程度でしかない。
話し方は……まあ、なんか妙に男っぽいのだが、小生意気な女の子と言う感じで、ギャップがいいという理由から、特に気にしている者はいない。
「俺の年齢? ん~、別に言ってもいいんだが……なぁこれ、配信者的に年齢ってありなん?」
【年齢は特には】
【まあ、女性配信者はあんまり言ってるイメージはないな】
【魔力の影響で、実年齢=外見年齢じゃなくなってるしなー。見た目二十歳なのに、実年齢が五十なんてのもざらだし】
【VTuberとかは年齢は伏せてる感がある】
「VTuber……あー、あれだろ? なんかアニメのキャラみたいなのでやる配信者。あれってすっげぇ昔からあるって話なのに、未だに残ってるんだからすげぇよなー」
【たしかに】
【100年以上前からあるはずなのにな】
【伝説的存在のVTuberがいたらしいって噂があるけど、ほんとかどうか知らんし】
【一時はパタリと消えたけど、ある時から再燃したよな】
「へ~、俺、基本的に動画とか見ないからさーよくわからないんだよなー」
「儂も知らん」
「お前はダンジョンに住んでたからな」
「まあの」
基本的に動画は見ずに、ほとんどダンジョン探索をしているパーカーちゃんと、今までずっとダンジョンで暮らしていた魔女は、あまり流行を知らなかった。
まあ、そもそも興味がないのだが。
【何度聞いても、ダンジョンに住んでた、がおかしいんだよなぁww】
【《美食の迷宮》にたまにそう言うバカがいるけど、魔女さんの出身って《魔女の焔》っぽいし】
【っぽいっていうか、本人が言ってるぞ】
「んで、俺の年齢だっけ? 何? 知りたいの? ってか、俺の年齢知って嬉しいのか? それ」
【嬉しい】
【メッチャ知りたい】
【気になり過ぎて夜しか眠れなくなるから教えてくだせぇ】
【ついでに、魔女さんの年齢も教えてほしい】
【馬鹿野郎! 魔女さんは、年齢不詳の方がいいだろ!? ミステリアスで!】
「だってさ、ミステリアス(笑)」
「おぬし、帰ったら水触手の刑な」
「すんませんした」
パーカーちゃんが魔女をからかうようなことを言うと、魔女はにっこりとした笑みで水触手の刑と言って来たので、パーカーちゃんは速攻で謝罪した。
パーカーちゃん的に、あれは二度とされたくないとのこと。
「わかればよろしい」
【水触手ってなんだ……?】
【触手プレイ……?】
【パーカーちゃんは触手プレイをされたことがあるってことか……!?】
【エッチだァ……!】
【しかも、やってるのが魔女さんっぽいな】
【つまり……おねロリかッ……!】
【ブラボー!】
「なんか変態が湧いたんだが、どう思う? ロリコン魔女」
「ふむ。儂はロリコンではない。おぬしが好みなだけじゃ」
「……あの、魔女さん? おぬしの後に「の様な」が抜けてるせいで、告白されたみたいになってるんですが?」
「む? 間違いではないぞ? 儂、普通におぬしのこと好きじゃし」
「へぁ!?」
割と真面目な表情でドストレートな告白をされ、パーカーちゃんは赤面した!
【唐突な百合告白は草】
【デビュー配信で何してんねんこいつらww】
【ってか、驚いたパーカーちゃんが可愛いww】
【大胆な告白は女の子の特権】
【女の子……女の子?】
【馬鹿野郎! 魔女さんだって女の子に決まってるだルルォ!?】
唐突な百合成分がお出しされたことで、コメント欄はお祭りになった!
ダンジョン配信と言う、血生臭いコンテンツで、まさかの百合!
前代未聞である!
まあ、過去には、このダンジョン探索が終わったら結婚しよう、とかいう死亡フラグを建てて、それをへし折った後に本当に結婚した者もいたりするが、あれは男女だったので。
「ま、マジ?」
「マジじゃが? この十日間。おぬしと一緒に過ごしたが、まあ、楽しいこと楽しいこと。おぬしの飯は美味いし」
「お前が作れって言って来るんじゃねぇか」
「無駄に優しいし」
「無駄は余計だろ」
「それに、儂の抱き枕になってくれるじゃろ?」
「身体強化魔法で俺以上の膂力で無理矢理だけどな」
「その上、可愛い。儂好み」
「お前のせいでこんな姿だけどな」
「あとは、ほれ。おぬし、儂の魔法の授業では、積極的に訊いてくれるじゃろ? やはり、先生としては、とても嬉しいものでな。教え甲斐がある。故に、儂はおぬしが好きじゃ」
「本音は?」
「おぬしのような面白い生態をしている者とか研究資料として最高じゃん?」
「殴っていい?」
「儂、Sじゃからなぁ……」
「くっ、口で勝てる気がしねぇ……!」
【どういう会話してるんだよww】
【漫才みてえw】
【あの……会話は面白いんだけど、普通に襲われてるんですがそれは】
【言うな。裏で魔法の爆音とか、パーカーちゃんが軽やかな動きでオーガを切り殺しまくってるとか、魔女さんが指を振るだけでなぜか細切れになるオーガさんとか見えるけど、気にしたら負けだ……負け、なんだっ……!】
【経験者なんだけど……あれ? このダンジョンって、こんな風に片手間で攻略できるような場所だったかなぁ……?】
【苦戦して苦戦して、苦労しまくってクリアした俺たちがバカみたいだよ……】
【なんかさ、こういう風にやたら強い探索者を見ちゃうと、こう……劣等感が、凄まじいよね……まあ、パーカーちゃんたちは可愛いしエロいからむしろもっと見せてくれ……! ってなるけど】
【↑わかりみが深い】
【トップ層は軒並み人間辞めてそうな奴らばっかだしなぁ……】
テンポのいい漫才の様な会話を繰り広げる二人だったが、コメント欄での指摘の通り、現在進行形で数多くのオーガたちに襲われているところである。
だが、二人は特にそれを意識することはなく、斬って、刺して、燃やして、灰にしていく。
気が付けばオーガたちも二人を警戒してか、遠巻きに見るだけになっていた。
「ん? なんだ、オーガたちが攻撃を止めたぞ?」
「なんじゃ、奴らは軟弱じゃな。弱い者に対しては嬉々として棍棒を振るうわりには、自身より圧倒的なまでの強者が出現するなり、ビビり散らしたように離れおって。鬼のくせして、中身はチキンじゃのう」
「これじゃ、動画映えしなくなっちまうぜ」
「うぅむ、これは困ったのう」
【いや動画映えしてますが?】
【平凡な会話をしながらオーガを倒すと言う絵面だけで動画映えしてますが?】
【ってか、パーカーちゃんの魔法もそうだけど、魔女さんの魔法も派手だからかなり映えるんですが】
ビビってるオーガたちを見て、パーカーちゃんたちは情けない者を見るような目を向けた。
魔女の方はつまらなさそうであり、パーカーちゃんの方はデビュー配信であるにもかかわらず、動画映えを気にしていた。
一丁前に配信者気取りである。
まあ、配信者なのだが。
「しゃーない。次の階層にでも行くか? それともいっそのこと、この階層のオーガを全部狩るまで帰れない、とかでもやるか?」
「うぅむ、それはも面白そうじゃが……さすがに飽きられんか?」
「うん、俺も多分飽きると思う。じゃあ、これはダメだな」
【飽きないよ!? むしろ、超みたいけど?!】
【やっぱ頭おかしいぞこいつら!】
【普通はレベルⅤダンジョンの中層の魔物を狩りつくそう、とか思わないんだよなぁ……!】
【結局、パーカーちゃんはいくつなんだ……】
「のう、パーカーちゃんよ」
「ん、なんだー」
「おぬしの年齢は結局いくつなんだ、とコメントに書かれとるが?」
「あ、すっかり忘れてた。あー、なんかもう面倒だし、俺二十三歳。こいつは年齢不詳。ってか、マジで年齢不明。ハイ以上! 俺の年齢なんて知っても面白くないだろうに」
さらっと流すように自分の年齢を言って、何がいいんだかと肩をすくめると、コメント欄は一気に騒がしくなった。
【うん!!!???】
【二十三……二十三ンンンンンンンンンンン!?】
【思った以上に年齢行ってたぁ!?】
【うっそだろおい!?】
【この見た目で大人!? 二十歳越えてんの!? ってか、え、合法ロリ!?】
「まぁ、魔力がある以上、人の外見年齢など、わからんもんじゃからな」
「お前とかそうだもんな。ババア魔女」
「パーカーちゃんよ、なんか儂、帰ったらおぬしを食べたいなぁと思っとるんじゃが、どう思う?」
「本日もお綺麗ですねお姉様ッ!」
「うむ、わかればよろしい。褒美に、帰ったら儂が食べてやろう」
「お世辞を言った意味は!? ってか、結局食うんかい!」
「据え膳食わぬは男の恥、じゃろ?」
「お前女だよ!?」
「細かいことは気にするな。魔法でどうとでもなる」
「なんか不穏なセリフが聞こえたんだけど、気のせい?」
「現実じゃな」
「誰かぁぁぁぁ! 警察! 警察呼んでぇぇぇぇ! 変態が俺の傍にぃぃぃぃ!」
【草】
【草】
【草】
【これは酷い】
【無駄にエロい表情した魔女さんに興奮してしまった……】
【やはり、パーカーちゃんは受け、か……】
【おねロリは至高】
「変態しかいねぇ……!!」
パーカーちゃんは変態だらけのコメント欄に頭を抱えるのであった。




