表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンに住む(なんで?)魔女に加護を貰った俺、TSしてなぜか配信者になる。いや、パーカーちゃんって安直じゃない?  作者: 九十九一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/15

待ち人探して数時間。見つからないなら気分転換ゲリラ配信!(by姫)

 さてさて、場所は変わり、櫻野姫こと、雨夜瑠空はと言えば。


「やっぱり、いない、かぁ……」


 現在瑠空はサングラスに帽子を身に着け、なるべく地味に映るように髪の毛を結んで外出をしていた。

 目的は自分を助けてくれた例のパーカーちゃんを探してお礼を言う事。

 そのため、瑠空は《魔女の焔》に来たのだが……結果は空振り。

 一応職員に訊いてみた物の、パーカーを着た人物は出てこなかったらしい。


「うーん、どこにいるんだろう、パーカーちゃん……それにしても、人が多いなぁ……」


 そもそも、顔がわからない以上、どうしようもないような気もしているが、それでも会って話してお礼を言ってドロップアイテムなどを渡してあわよくば友達を超えたその先にッ……とか思っているが、気にしてはいけない。

 今の瑠空の心には、パーカーちゃんしかいないのである。


「けど、ソロで《魔女の焔》にいたってことは、この近辺、だよね……?」


 とはいえ、ソロで活動する以上、間違いなく近辺に住んでいるだろうと当たりをつけた瑠空は、この辺りを散策する。

 が、それにしては人が多い。


「ん、んー? ほんとになんでこんなに人が……」


 よく見れば、スマホを片手に何かを探しているような人もいれば、探索者らしき人たちもいるのがわかる。

 中には、かなり上等な装備を身に纏った、いかにも強そうな者もいる。


「……あ、もしかして例のパーカーちゃんを探してる!?」


 きょろきょろと周囲を見回していく内に、瑠空はその理由が自分を助けてくれたあの可愛い声の美少女(妄想)なパーカーちゃんを探しているのでは!?

 と、当たりをつける。


「ううん、絶対にそうだよっ! むむむぅ~~~~! こ、このままじゃ、パーカーちゃんの貞操がっ……! パーカーちゃんはわたしが大切に保護しなきゃ!」


 なんかおかしいことを言っている上に、その目はちょっと血走っている。


 とはいえ、瑠空はパーカーちゃんを探しているであろう周囲にいる人たちを詳しく見て見ると、強豪ギルドの紋章を付けた服や武器を身に付けている者や、一般人にしか見えない人、魔道具作成に強いギルドに入っているであろう者や、中にはスーツを着た間違いなく配信者系の事務所のスカウトマンらしき者もいる。


「うぅ~、こ、このままでは、あのパーカーちゃんが悪い大人に捕まっちゃうっ……! な、なんとかして先に捕獲――じゃなかった、保護しないと! うん!」


 ふんすっ! と拳を握ってやる気を見せる瑠空は、パーカーちゃん探しに戻る。

 とはいえ、いる場所など皆目見当がつくわけもなく……。


「はぁ~~~~~~……みつからないよぉ~~~~~~~………………」


 瑠空は公園のベンチでぐでぇ~~~~っとしていた。

 脚を伸ばし、背もたれに寄りかかって空を見上げる。

 その様は、まるで仕事に疲れた休日のお父さんのよう。


「うぅ、見つからないよぉ……パーカーちゃんどこ……どこにいるの……?」


 ちょっと泣きそうな声で呟く瑠空の頭の中には、昨日助けてもらった瞬間が何度もフラッシュバックし、パーカーちゃんの姿でいっぱいである。


「もし見つかったら…………まずはお礼を言って、あの時のドロップアイテムとかを渡して……それからそれから……!」


 などなど、色々と妄想する瑠空の表情は、次第にだらしない物になっていく。

 頬が緩み、口からはちょっと……いやかなりの涎が出ていた。

 かなりの美少女ではあるのだが、これはかなりアレな姿である。

 がしかし、妄想ばかりでは気分が落ちると言うか、むしろやる気もどこか削がれてしまう物。

 結果として、瑠空のモチベーションが下がってきてしまったのである。


「……うんっ! こういう時はアレ! ダンジョンで気晴らし! 簡易的な機材は持ち歩いてるし、こういう時はゲリラ配信に限る! 場所は~……うん、今日は美味しい物を食べたいし、あそこかな!」


 そんな瑠空は、下がったモチベーションをどうにかするべく、ゲリラ配信だ! と思い立つと、すぐに行きたいダンジョンを決めて、さっさと向かって行った。



【《ゆるだん》突発ゲリラはいしーん!】

 櫻野姫/Sakurano Hime

 チャンネル登録者31万人

 20,841人が視聴中

 #ゲリラ #ゆるだん #ダンジョン


「はーい! みんなこんにちは! 中堅探索者の、櫻野姫でーすっ!」


【おっ! 姫ちゃんこんちゃ!】

¥3,000

【ゲリラ配信だ嬉しー!】

【昨日の今日でダンジョンにいるやん!】

【死にかけたのによーやるわ】

¥6,000

【本当に無事でよかったぁ……】

【ほんそれ……】

【推しが死ななくてよかった……本当に……】

【昨日とか、死亡説が流れるくらいヤバかったって聞いたよ? 大丈夫? 怪我とかは?】


「ううん、大丈夫! 見ての通り、ぴんぴんだよ! 幸い、おっきな傷もなかったからね!」


 いざ配信を始めると、すぐにコメ欄は賑わいを見せた。

 始まると同時に、元気いっぱいに挨拶をする姿を見せると、視聴者たちは嬉しそうにする者や、無事を知って安堵する者などさまざまである。


「というわけで! 今日は色々あってゲリラ配信! 今日潜っていくダンジョンは……こちらっ! 《美食の迷宮》でーすっ! わー!」


【《美食の迷宮》か! 何々? 美味しい物でも食べたいの?】

【どこそれ?】

【当方ダンジョンには詳しくなく、是非とも有識者の方々から知識をご教授いただきたく……】

【《美食の迷宮》……一言でまとめると、美味い食材が手に入るダンジョン。レベルはⅣ。初心者という期間を抜け出した探索者たちが、真っ先に行くと言われている、ある意味中級者たちの誰もが通る登竜門のようなダンジョン。実は深い場所にいる魔物の食材は、高級レストランにも卸されるほどの美味。かなり高額で取引されるので、レストランと専属契約して生計を立てる探索者もいる。というか、肉か野菜が手に入るので、ここで食料を手に入れて生活費を浮かせている探索者も少なくない】

【解説助かる】

【こういうのがスッと出て来るのはマジですげぇよな】

【そうか、強ければ食費を浮かせられるのか……羨ましい……】


「解説ありがとう! そうそう、その通り! レベルⅠ~Ⅲのダンジョンを危なげなくクリアできるようになった探索者の人たちが最初に行くダンジョンで、わたしも過去に行きました! 階層ごとに出現する食材が違ってて、見てても楽しい場所です!」


 解説してくれた視聴者にお礼を言いつつ、改めて簡易的な説明を行いながら、姫はダンジョン内を進む。


【※注意 ダンジョンなので普通に死にます。見てても楽しいですが、それはパーティーなどに余裕がある時にしましょう】

【草】

【まあ、ダンジョンは常に死と隣り合わせだからね~】

【配信者の人たちは、数字稼ぎにのめり込むあまり、死亡事故につながった、みたいな事例もあるからなぁ……】


「そうだね……でも! わたしが所属する『ゆるだん』は、数字よりも命! がモットーだから、大丈夫でーす!」


【などと言っていますが、この美少女、昨日死にかけております】

【草。いや、笑えねぇけど……】

【そういや昨日、このチャンネルめっちゃバズってたじゃん】

【気が付けば30万になってて草生えた】


「そうそれそれ! わたしも朝見たらびっくり! 十万人も増えてるんだもん!」


 と、姫は驚きつつもどこか嬉しそうにコメントに反応する。

 そう、昨日のあの一件がきっかけで、姫のチャンネルは十万人弱も増えたのである。

 そのせいか、今回の配信はゲリラだと言うのにもかかわらず、二万人以上もの視聴者がおり、今現在も増加中である。


【あれはなぁw】

【パーカーちゃんだっけ? すごかったよな……】

【あぁ、良き太腿だった……!】

【おいww】

【わかる、あの程よく引き締まった太腿。決して細すぎることなく、適度に肉付きのいいあれは、パーフェクトと言えるだろう……是非とも、うつ伏せで膝枕をされたい】

【変態で草】

【太腿フェチの変態か……】


「もー、そう言うことは言っちゃだめだよー! もしかしたら、例のパーカーちゃんが見てるかもだもんっ! わたし、もう一度会いたいんだから!」


【そういや、お礼を言う前にいなくなったんだっけ】

【つーか、結局パーカーちゃんのあれは魔法なの? 魔道具なの?】

【専用スレが立ってるくらいには議論が交わされてる。現状だと、あの革手袋が魔道具なんじゃないか? ってのが有力かな】

【ちなみに、姫ちゃんは見ててどうだった? 何か気付いた?】


「ん~~……正直、パーカーちゃんがカッコ良すぎて、それ以外見てなかったです! てへ☆」


 リスナーからの質問に、姫はこつんと握りこぶしを頭に当てて、ぺろっと舌を出しながらお茶目な笑顔を浮かべて、そう返した。


【草】

【草】

【可愛いなオイw】

【あれを間近で見せられたらそうなるかww】

【そういや、その件のパーカーちゃん、いろんな奴らが勧誘しようと躍起になってるみたいだぜ】


「あ、やっぱりそうなんだっ……! わたし、お礼を言おうと思って探してたんだけど、すっごいんだよっ? 強豪ギルドの人とか、魔道具作成系のギルドとか、あとは配信者事務所の人とか! 色んな人が《魔女の焔》近辺をうろうろしてたの!」


【やっぱか】

【ってか、配信者事務所ww】

【まあ、あんなに強くて、動画映えしそうな人材だもんな! しかも、推定女性! そりゃ、配信者事務所からすりゃ欲しいわ】

【けどさ、レベルⅥのダンジョンで、一人無双が出来るくらいに強けりゃ、強豪ギルドもほっとかないよねぇ】

【しかも、少女ってだけででかいよなー。探索者の男女比率って、たしか7:3くらいじゃなかった?】


 視聴者たちも、例のパーカーちゃん情報を追っている者がいたようで、知っている情報をコメントして行き、それに対する反応も見せる。


「うん、大体それくらいだね~。あ、でも、最近ちょっと増えたらしくて、ギリギリ6:4かも? ってお話だよ~」


 今しがた話題に出たが、現在の日本のダンジョン探索者の男女比は、ギリギリで6:4である。


 ダンジョンが出来たばかりの頃は9:1ですらなかったレベルで女性の探索者が少なかったのだが、ダンジョン配信をする者が増えてからは、女性の探索者も増えるようになったのだ。


【それでもやっぱ男の方が多いか】

【そりゃ危険な仕事だし、返り血とかもヤバいし、下手すりゃ一生残る傷もつくしで、女性的には嫌だろ】

【男にとっての傷は勲章だが、女はそうじゃないからなぁ……】

【傷がついた女性とか最高じゃねぇか!? カッコいいし可愛いだろ!?】

【おいww】


「さて! お話もそこそこに! そろそろ先へ進んで行きまーす!」


 雑談を適当なところで切り上げて、早速《美食の迷宮》の探索を開始。

 道中、豚型の魔物とか、牛型、他にも鶏をデカくしたような魔物など、どこか地上でも飼育されているような生物のような外見に近い魔物が多い。

 だが、それなりに強いので油断は禁物である。


 ちなみに、このダンジョンでは、魔物を倒すと肉や卵をドロップし、肉に至っては部位がランダムで落ちるので、運要素もある。


「あっ、タンだ! 牛型だから、結構いいお値段の奴! 今日はタンステーキかな!」


【運良いなぁw】

【羨ましい……】

【タンとか、三番目くらいに確率低いんだよなぁ……美味いけど、泥率が悪くて、めちゃくちゃ高かった記憶】

【くぅっ! たべてぇ!】

【やはり、探索者になるか……?】

【やりたいけど、怖いし……】


「まあ、そうだねー。ダンジョン探索は危険が多いから、怖いと思うならやめた方がいいかな。それでもやりたいなら自己責任! だけどね!」


【そりゃそうだw】

【ってか、前回がアレだっただけで、姫ちゃんも普通に強いんだよなぁ】

【中堅クラスはあるしな】

【トラップさえなければ、浅瀬でもソロ探索が出来るくらいだし、《魔女の焔》で】


「あはは、まあ、鍛えてるからね! あー、それにしても、パーカーちゃん、どこにいるのかなあ……会いたいよぉ……会いたいよぉ!」


【どんだけ会いたいんだよw】

【命の恩人だし、そりゃあ、ね?】

【でもなんか、明らかにお礼を言いたいだけの雰囲気じゃない気がするんですがそれは】

【ガチ恋?】

【ガチ恋……百合か】

【え、ありじゃん】

【百合なら許せるっ……!】


 などなど、コメント欄ではどこかくだらないコメントが流れていく。

 それを見ている姫も苦笑するが、あながち間違いじゃないかも、とか思っているのでノーコメントである。


「っと、そろそろ中層かなー……って、ん?」


【どした?】

【何かあったか?】

【なぁ、なんか聴こえね?】

【たしかに】


「なんだろ……声……?」


 ふと、先の方から声らしきものが聞こえて来て、それらは姫や視聴者たちにも聞こえていた。

 この先に何かいるのかも、と好奇心と何か起こる予感がした姫は、興味本位でその先へと足を進ませる。


「気になるから、行ってみます!」


【行くの!?】

【いやいや止めた方が良いって!】

【ダンジョン内じゃ、イレギュラーが起こったら大変なんだから!】

【それで昨日は死にかけたんだよ!? 自重してぇ!】


「大丈夫! 遠目で確認したらすぐ引き返すから!」


【言ったね? 絶対逃げてよ? 約束だよ!?】

【マジで昨日みたいなことは勘弁。心臓がいくつあっても足りないよ……】

【死なないでね!】


「もちろん! じゃあ、行くね!」


 視聴者たちに無茶をしないと約束をして、いつでも逃げられるように、そしていつでも攻撃及び防御ができるように武器は構えつつ、先へとゆっくり、慎重に進んで行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ