表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
94/133

第91話 もう一度来たいとは思わんぞここ

 雑魚敵は、バルが巨体になったおかげか、アンカーチャージ一発で済む。


 だから、戦闘そのものはそこまで困っていない。


 困っているのは別のところだ。


「……ヌルヌルになる以外はな」


 バルもヌルヌル。

 そして俺もヌルヌル。


 いや、俺がヌルヌルになる必要はなかっただろう。


 どう考えても八つ当たりだった。


 そんなことを思いながら進んでいたが、素材の方は一向に当たりが出ない。


 属性がついてそうなものは、まだドロップしていなかった。


「やっぱレアドロかな……」


 嫌な予感しかしない。


 しかも、進んでいくうちに周囲の様子もどんどん悪化していった。


「うわ……」


 当たり一面、ヌルヌルだ。


 床も壁も気持ち悪い。


 なんだここ。


 滑って、思った所に進めない。


「もしかして、ここに来て頭使う系のギミックか?」


 こういうのって普通、氷のステージとかでやるもんじゃないのか?


 なんでぬめりでやるんだよ。


 しかもこれ、見下ろし視点のゲームだったら、たぶんそこまで難しくないんだろうなと思う。


 上から見て、この床に乗ったらあっちへ滑る、この角度ならこっちへ流れる、って冷静に見られるなら、まだ考えようがある。


 でもこれは違う。


 実際にその場にいるせいで、滑った瞬間に視界も体も一緒に流される。


 あっちへ行ったと思ったら今度はこっちへ流れて、頭の中で考えていたルートと実際の動きがずれていく。


 見えているのに思った通りに進めない、っていうのが地味にきつい。


 しかも、ただ滑るだけじゃない。足を取られて転ぶ。


 転ぶたびに、さっきよりさらにヌルヌルになる。


「最悪だ……」


 体中ヌルヌルで気持ち悪い。


 他のプレイヤーを見かけないなとは思っていたけど、そりゃそうだ。一回来たら、もう一回来ようなんて普通思わんぞここ。


 しかも謎解きまであるらしい。


 次へ進む道自体は見えている。見えているのに、直接行けないのがきつい。


「うっ」


 滑った。


「ちょ、待っ――」


 そのまま、思っていたのと違う方向へ流される。


「あっ、まずい。このままいくと下に落ちる――!」


 そこで、ふと思い出した。


「あっ! そうだ、バルのアンカーがあるじゃん俺には」


 今さらだが、こういう時にこそ使うべきだった。


「バル! アンカーだ!」


 よし。


 一旦止まった。


 助かった。


 ……と思ったのだが、そううまくはいかない。


 俺はバルに触って止まろうとした。


 だが、バルもヌルヌルだった。


 つるん!


「ちょっ!?」


 方向は変わった。


 変わったが――


「こっちも下に落ちるルートじゃん!」


 何の解決にもなっていない。


 ここまで来て収穫なしかよ。


 そう思った次の瞬間、俺はそのまま落ちた。


 ドボン!


「がばっ、がぼっ……!」


 落ちた先は地面じゃなくて水だった。


 慌てて岸へ這い上がる。


「……なんだここは?」


 地面に落ちて死んだかと思ったが、そうではなかった。


 むしろ、こっちが正規ルートなのか?


 さっきの滑る床は、落ちて進むためのギミックだったのかもしれない。


「バルは……」


 上でアンカーが効いたまま残っているのか?


 少し考えたが、結構な距離を落ちた。


 だったら、もうちょっと移動すれば近くに出てくるはずだ。


 そう思って少し進む。


 すると、予想通り、バルも近くに出てきた。


「……よっ」


 思わず声が出る。


「バル、なんかいい感じのところに落ちたようだぞ」


 この流れで死んでないだけでも十分ありがたい。


 さらに進んでいくと、前方に厳つい扉が見えた。


「お」


 前に見たボス扉より、だいぶ豪華だ。


 場所とか敵の強さで、扉の見た目も変わるのか?


 たぶん、この先はボスだろう。


「バル、いくぜ!」


 ここまで来たんだ。


 そろそろ当たりを引きたい。


「水属性の素材きてくれ!」


 そう言って扉を開く。


 そして、次の瞬間――


 扉の向こうから、ヌメヌメがあふれ出してきた。


「うわ……」


 やる気がなくなった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ