第65話 百ポイントを超えて一位になった
PVPのフィールドから、元の位置へ戻された。
ウィンドウには、育成タイプを倒したので一ポイント獲得、という表示が出ている。
そのまま合計ポイントも一ポイントになった。
「……すごい肩透かしだったな」
まあ、一ポイントと設定されているだけの強さではあった。
むしろ、あの程度の強さでどうやってモンスターをあれだけ仲間にしたんだ、という疑問すら残る弱さだった。
俺は改めて塔から離れようとした。
すると、今度は二体持ちの召喚マーク付きプレイヤーと出くわした。
相手の表示には、合計ポイント一ポイントと出ている。
「一ポイントってことは、こいつも育成タイプを倒したのか」
そう考えるのが自然だった。
ただ、相手のにやけ顔が妙にむかつく。
「育成同士で潰し合ったあとに俺に見つかるとか、運が悪いな」
そんなことを言ってきた。
たぶん、相手は表示を見て、俺の残り所持モンスター数が一体しかないのを確認したのだろう。育成同士で戦って生き残った最後の一体だと勘違いしているらしい。
戦っていたのはあっている。
だが、俺のモンスターは元から一体だ。
「勝手に納得してくれるなら楽でいいか」
そう思ったところで、すぐにPVPフィールドへ移行した。
同じようにカウントが始まり、戦闘開始。
ただし、今度は召喚タイプだ。
レグルスは強かった。だから召喚相手を舐めて様子見、という気にはならない。
「丸くなるからの、硬質化で突進だ! バル!」
開幕から全力。
バルが丸くなり、硬質化し、そのまま一直線に飛び出す。
一体目は、その一撃で倒せた。
「おお……」
思わず声が漏れる。
どうやら、今のバルの攻撃力は、そこらの相手じゃ相手にならないくらいには高まっているらしい。
「まぐれ当たりが!」
相手はそんなことを言いながら、もう一体を出してきた。
なんでそんな三下みたいな台詞を吐くんだろうな、と思う。
次のモンスターは、一回だけ攻撃を食らった。
だが、そのあと二回こちらの突進を当てて、普通に終わりだ。
「歯ごたえがねぇ……」
拍子抜けだった。
召喚タイプを倒したので三ポイント。さらに、相手の合計ポイント一ポイントの一割が切り上げで一ポイント加算される。結果として、今回の戦闘で四ポイント。
元の一ポイントと合わせて、合計五ポイントになった。
「まあ、最初の方だからだろうな」
流石に、まだ強い相手と当たっていないだけだ。
今のところはそう考えるしかない。
最悪、本当に手ごたえのあるやつがいなかったら、行くつもりはなかったが――
「ポイント報酬の百ポイントを超えたら、レグルスと戦いに塔まで行くか?」
あるいは、百ポイントと設定されているNPCに挑むか。
そこまで考えて、俺はすぐに首を振った。
「……いや、まだ始まったばかりだしな」
その考えは、もっと戦ったあとでいい。
そう考えつつ、当初の予定通り塔から離れて南東へ向かった。
道中でも、やたら狙われた。
やはり、育成マーク付きでモンスター一体というのが、かなり狙われやすいらしい。
相手も、今のところはレグルスと比べると大したことがないやつばかりだった。
もちろん、後に戦った連中の方が多少は強かった。中には、体当たりや普通の突進では沈まず、アンカーチャージじゃないと倒しきれない相手もいた。
だが、それでも危うげなく勝っている。
「どうやら俺たちは強くなりすぎたようだな、バル」
そう声をかけると、バルは小さく揺れた。
このままだと、切り札であるバル付きチェーンフレイルを使う機会もないかもしれない。
ただまあ、相手が侮ってきて、それを一撃で粉砕していくのは割と楽しかったのも否定できない。
「これが所謂、おれつぇーってやつか」
少しわかってしまった。
そうこうしているうちに、ポイントもみるみる溜まっていった。
そしてついに、ポイント報酬の上限である百ポイントを超える。
「……は?」
ついでにランキングも見てみたら、まさかの一位だった。
こっちから探しに行っているわけじゃない。
だが、狙われやすいという理由だけで、ひたすら向こうから戦いを仕掛けられていたら、そりゃポイントも増える。
「というか既に百ポイント近くあったんだから、育成一体だってだけで挑む前に考えろよ」
思わず突っ込んだ。
「これだけポイント溜まってるってことは、それだけ勝ってるってことなんだから!」
その直後だった。
百ポイントを超えたからか、ナビゲーターから通知が入る。
『百ポイントを超えたプレイヤーが現れました。マップには百ポイントを超えると、名前、召喚・契約・育成のマーク、残りのモンスター数、合計ポイントが表示されます』
「……これは」
俺は小さく息を吐いた。
「流れが変わったか?」




