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第27話 昼休みに突破口を見つけた

 今は高校の昼休みだ。


 いつものように授業を受けて、いつものように弁当を食う。


 だが頭の中は、全然いつも通りじゃなかった。


 昨日はまさか、店舗そのものが利用できないとは思わなかった。


 犯罪者にはなってない。

 なってないはずだ。


 でも、捕まっていないだけで扱いとしてはもう犯罪者寄りなんじゃないか、あれ。少なくとも店側の対応はそんな感じだった。狂人様とは取引できません、で会話終了はひどすぎる。


「はぁ……」


 弁当を食いながら、思わず息が漏れる。


 良質な餌は手に入らない。

 金も稼げない。

 素材も売れない。


 詰みだ。


 いや、完全に詰んだと決めつけるのはまだ早いか。


 犯罪者扱いなら、闇ルートみたいなものがある可能性もある。正規の店舗が駄目なら、裏の取引でどうにかなるとか。そういうのはゲームでは割とある。


 となると、ガルディーノ経由か?


 いや、でもあいつだってあの世界の住人だ。取引してくれるとは限らない。そもそも、あの感じだと用が済んだら帰れで終わる相手だしな。誤解が解けたからって、急に便利屋扱いできるほど距離は近くない。


「だからって店舗を襲うわけにもいかねぇし……」


 そこまで考えて、すぐに首を振る。


 駄目だろ、それは。


 というか、流石にそこまでやったらさらに悪化する。今ですら狂人呼ばわりなのに、本当に悪党ルートへ突っ込んでどうする。


 昨日は解決しないままログアウトした。


 だから、どうしたってゲームのことを考えてしまう。


 昼休みも授業も早く終わらねぇかな、と思いながら、ぼんやり箸を動かしていた、その時だった。


「玲奈ー! 起きてー! お昼だよー!」


 やたら元気な声が教室の外から聞こえた。


 見ると、別クラスの高峰志乃が、いつものようにどたどたとやって来るところだった。


 相手は福来玲奈。


 学校に来ても寝てることが多い、あいつだ。


 容姿だけ見れば文句なし。

 頭はいいはずなのに、普段の言動はどこかふわふわしている。

 運動は壊滅的。


 周りからは容姿端麗、頭脳迷走、スポーツ音痴な容姿だけ星人とか、好き勝手言われている。


 ただ、あの見た目と間延びした口調に温和な性格のせいか、裏ではラッキードールとも呼ばれていた。


 ラッキー。


 その単語だけで、俺にとっては十分敵だ。


 何しろ、俺とは真逆の人間だからな。


 前にテスト中、たまたまちらっと視界に入ったことがある。選択問題で、あいつは鉛筆を転がして答えを決めていた。


 見間違いじゃない。


 あれは絶対に転がしていた。


 それで点が取れているんだから、世界は不平等だと叫びたくもなる。


 何なら俺は勝手に敵だと思っている。


 高峰は、福来の友達なのか親友なのかは知らないが、昼になると大体こうして起こしに来る。そして弁当の準備までして、一緒に食べている。


 何があいつをそこまでさせるのか、俺にはわからない。


 一方的な搾取にしか見えないが、当人は嬉しそうにやっているのだから、本人視点では違うんだろう。


「友達か……そんなもん、俺には必要な――」


 そこまで考えて、俺は弁当を持つ手を止めた。


「……あっ」


 いた。


 ゲーム内にいた。


 ミルトだ。


 初めての同行者で、初めてのフレンド。


 素材を売ってもらって、餌を買ってもらえばいいじゃないか。


「それだ!」


 思わず小さく声が出た。


 正規の店舗が俺を拒否するなら、利用できるやつに頼めばいい。単純な話だ。なんで昨日の時点で気づかなかったんだ。


 流石にタダでやってもらうのは迷惑をかけすぎだろう。


 でも、売った金の一割くらい渡せば、十分お互いに得になるはずだ。俺は素材を金にできるし、ミルトも手間賃が入る。WIN-WINってやつだ。


 何なら、ミルトが欲しい素材を集めに行くのもありだろう。


 ……レア素材以外は。


 そこは俺が絡むと事故るから駄目だ。


「よし……」


 だいぶ気分が軽くなった。


 解決の糸口が見えただけで、頭の中のもやもやがかなり晴れる。


 これで午後の授業には集中できそうだった。


 授業は授業で、ちゃんと受けとかないと駄目だからな。


 ゲームを取り上げられたら、本当に終わる。


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