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第135話 全員勧誘できました

 まずは、ラザロとラザロファミリーについて説明した。


 俺とミルトがラザロファミリーを襲い、結果としてラザロファミリーとこの拠点を手に入れたところまでだ。


 れいにゃとレグルスの反応は微妙だった。


 ただ、グレイヴはこちら寄りの反応をしている。まあ、グレイヴは元々ああいう雰囲気の場所に抵抗が少なそうだし、ラザロファミリーの経緯を聞いてもそこまで引いてはいないようだった。


「それで今、ラザロファミリーの資金繰りが問題になっている。だから、このクランに入って改善策を一緒に考えてほしい」


 俺はそう伝えた。


 もちろん、ただ問題を押しつけるだけでは勧誘にならない。


「この拠点には闇鍛冶場がある。普通の鍛冶場では難しい、規格外のモンスターに合わせた武具もミルトが作ってくれる。そこはかなり大きいはずだ」


 アピールポイントとしては、やはりこれだろう。


 レグルスとグレイヴは、自分のモンスター用の武具という点で、結構乗り気になってくれているように見えた。


 だが、れいにゃは少し考えるように首を傾げる。


「私にメリットあるのぉ? 装備は特に困ってないしぃ、そのお金があるならうちの子達に使いたいんだけどぉ」


 そういえば、れいにゃは可愛いモンスターを愛でたくてこのゲームをやっているのだった。


 ランキングの上の方にいたから、少し立ち位置を見誤っていた。俺たちとはゲームをする目的が違う。


「この拠点って、設備を増設できるらしいんだ。すぐは難しいのかもしれないけど、れいにゃが欲しい設備を作るっていうのはどうだ?」


「例えばどんな設備があるのぉ?」


 知らん。


 そもそも調べていないのだから、知るはずがない。


「ラザロ、モンスターを愛でたい人用の設備ってあるのか?」


「少々お待ちください」


 ラザロはそう言うと、部屋から出ていった。


 しばらくして戻ってきたラザロは、一冊の本のようなものを持っている。表紙には『増設設備集』と書かれていた。


 まんまじゃねぇか。


 ラザロはその本を開き、いくつかの項目を確認する。


「モンスターの餌を自分で作る調理場、モンスターがリラックスして休むことができる寝床、モンスターを着飾ることができるドレスアップルーム辺りはどうでしょうか? 他ですと、設備とは少し違いますが、空いている部屋を個人ルームとして使うこともできます」


「調理場はいいかも! この子たちにご飯を作ってあげてみたくはあったんだよねぇ。あと、個人ルームは少し興味あります。可愛い置物やお手入れ道具がやられてなくなったらショックだし、置いておける場所があるなら欲しい」


 まだ作るとは言っていない。


 だが、れいにゃはかなり乗り気になったようだ。


 すると、今度はグレイヴが口を開いた。


「……クランに入ったら、個人的に拠点の庭でいいから墓を設置してもいいか?」


「墓? そんなもの何に使うんだ?」


「いいだろ別に。そんなスペースは取らないと思うし」


 気になる。


 墓なんて言い出すということは、何かあるのだろう。


 いや、まあ、入ってくれるならそれくらい別にいいか。


「わかった。別に墓ぐらいいいよ」


「なら私は入ってもいいよ」


 よし。


 一人目ゲットだ。


「れいにゃとレグルスはどうだ?」


「そうだねぇ。今すぐとは言わなくても、絶対に調理場を作ってくれるというなら私も入ってあげてもいいよぉ。もちろん、個人ルームを一部屋くれることが条件だけどぉ」


「ラザロ、調理場ってこの本には書いてあるけど、作れるものなのか?」


「はい。資材とモルを用意して発注すれば作ってもらえます」


「えっ? モルだけじゃなくて資材も集める必要があるのか?」


「そうですね。設備ごとに特殊な資材が必要だったりするので、その在庫は抱えていないそうです」


 特殊な資材。


 嫌な響きだ。


 それがレア素材だったら、俺には無理かもしれない。


「……できるだけ頑張るということでどうにかならないか?」


「んー、保留でぇ。とりあえず、忘れてやるつもりもなかったとかにならなければ、様子見で入ってあげてもいいよぉ」


「わかった。よろしく頼む」


 これで二人目だ。


 あとはレグルスだけ。


「じゃあ、レグルスはどうする?」


 ここまであまり会話に入ってこなかったレグルスを見る。


 レグルスは少し考えてから、静かに口を開いた。


「俺も入るのは構わない。実際、装備を作ってくれるのはありがたいし、クランがイベントに関わってくるのはあるだろうし、そこはいい」


 ん?


 それなら入ればいいのでは?


「でも、俺が入ることで、れいにゃの居心地が悪くならないかと心配で」


 えっ。


 こいつ、そんなことを考えていたのか。


 れいにゃを見ると、れいにゃも少し目を見開いていた。


「れいにゃ、答えてやったらどうだ?」


 少しだけ沈黙が続いた。


 それから、れいにゃはいつもの調子に戻すように口を開く。


「過去のことはもういいよぉ。一応謝ってもらったしぃ、今後はそこまで気にしなくていいよぉ」


「本当か? ありがとう! ……だったら俺もこのクランに入る」


 おお。


 一人か二人入ってくれれば御の字かと思っていたが、全員入ってくれるとは最高の結果だ。


「でもさぁ、入るのはいいけどぉ」


 えっ。


 ここにきて、まだれいにゃは要求するのか。


 割とがめつい奴だな。


「ラザロファミリーってクラン名は変えない? どっかのマフィアみたいな感じで好きじゃないんだけど」


 ……確かに。


 この場にいるラザロ以外の全員が頷いた。


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