第106話 闇雲に探すより図書館か
図書館に入ろうとすると、また1000モルを要求された。
「またかよ……」
どうやら、一度出ると再度金が必要になるらしい。
少しもったいない気もしたが、研究所の件では知りたいことは知れた。あれを踏まえれば、トータルではプラスだろう。
そう自分に言い聞かせて、俺はもう一度図書館に入った。
今回は最初からダンジョンの棚へ向かう。
「さて、どこまで書いてあるかな」
ダンジョンの情報といっても、どれだけ細かく本に載っているのかはわからない。
まずは、この前行った月影湖の小島のダンジョン本を手に取ってみた。
中を軽く開いていく。
「……地図はないのか」
どうやら、ダンジョンの地図みたいなものまでは書かれていないらしい。
だが、その代わりに、出てくるモンスターや注意すべき点、ボスの情報なんかは載っていた。
このダンジョンはヌルヌルして滑りやすいので注意、とか。
ボスは亀型で、手に入る素材がどうとか。
「攻略本ってほど詳細じゃないが、割と記載されてるな……」
思っていたより実用的だった。
ただ、俺が倒したヌルヌルスライムのことは書かれていない。
「やっぱそういう情報は隠されてるみたいだな」
あれは、あくまでシークレット扱いなのだろう。
だが、軽く目を通した感じでも、この棚の本はかなり有用そうだった。
今度また必要なものができたら、ここへ調べに来よう。
そうして一通り、どんな情報が書かれているのかを把握したところで、今度は戦ったことがなさそうなダンジョンを探すことにした。
「だったら一覧の方が早いか」
探して手に取ったのは、ダンジョンの一覧が書かれている本だった。
この街を中心として、どこにどんなダンジョンがあるかが簡単に書かれている、地図みたいなものだ。
今いる街から近そうなダンジョンを探そうとしたが、どうやら街の中にあるダンジョンもあるらしい。
「へえ……」
あったのは、地下水道、廃屋、墓場のダンジョン。
この中だと、名前だけ見れば、墓場が一番今まで戦ったことがなさそうなモンスターが多そうだ。
「よし、これだな」
俺はそのまま、街の中の墓場ダンジョンの本を探して開いた。
予想通り、出てくるモンスターは骸骨やゾンビ、幽霊系らしい。
ボスは徘徊型で、死霊系のボス。
「悪くない」
実体がなくて物理無効っぽいやつも出てくるみたいだし、作ってもらった属性角の効果を試すにはちょうどよさそうだ。
ちなみに、ミルトに作ってもらった属性角は、水属性の耐久重視の太めな角である。
……とはいえ、つける箇所を考えると、角というより蜂とかの針に見えるんだが。
そこはあまり考えないことにする。
「なあ、バル」
俺は本から顔を上げて声をかけた。
「このダンジョンなら近いし、今日はここに行くか?」
さっきまで本を読んでいたので、また寝てるのかと思った。
だが、そうではなかったらしい。
どうやら単に、俺が本を読む邪魔をしていなかっただけのようだ。
やる気は十分らしく、大きく頷いている。
「よし、じゃあ行くか」
俺は本を戻し、そのまま図書館を後にした。
次の目的地は墓地にあるダンジョン。
心なしか、バルの歩みも少し早くなっているように見えた。




