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第105話 飯と巨大化を天秤にかける

 その後、ミレイアから「他の研究の邪魔だから」と研究所を追い出された。


「明日ここに来たら、入り口の横にある30番のボタンを押して私を呼び出しなさい」


 そう告げるだけ告げて、中へ戻っていった。


「……自分の用がなくなったら、すぐ外に放り出すのかよ」


 なかなか自分勝手なやつだ。


 だが、横には新たな進化についてやる気満々なバルがいる。


 こういう時は、何かやるなら今からやるのが一番いい気がする。


 とはいえ、ミレイアも忙しいらしい。


 だったら、とりあえずポピュラーな方法――色んな敵と戦う、ってやつを再開するか?


 そう考えて、ふと思う。


 色んな敵という意味では、前回のヌルヌルのダンジョンは悪くなかった気がする。


 いや、ダンジョン自体は最悪だ。


 あくまで、敵の種類という意味でだ。


 何かに特化したようなダンジョンなら、今まで戦ったことのない敵に出会えるんじゃないか?


「……そういえば」


 さっきまで図書館にいたな。


 モンスター図鑑しか見てなかったけど、ダンジョンとかもジャンルであったはずだ。


 闇雲に探すより、図書館でダンジョンの位置とか調べた方がいいんじゃないか?


「そっちの方が早いか」


 そう思って、俺は図書館の方へ足を向けた。


 歩きながら、ふと一つ疑問が浮かぶ。


「一応聞いておきたいんだが」


 俺はバルを見る。


「さらに巨大化する方の進化は、お前としてはどう思ってるんだ?」


 でかさは、強さでもある。


 それは事実だ。


「強いっていうのは、それだけでもかっこいい側面はあるんじゃないか?」


 もちろん、バルが今の見た目に納得していないのは知っている。


 だが、それでも一応は確認しておいた方がいい気がした。


「そっち方向の進化はどう思ってるんだ?」


 するとバルは、露骨に怒ったような表情で抗議してきた。


「だよな」


 俺も苦笑するしかない。


「いや、わかってるって。ただ一応、聞いておいた方がいいかと思ってな」


 となると、基本的には飯は今のように一日一食でいく、という方向でいいのか。


 そこでまた別の心配が浮かぶ。


「もしかしたら、ご飯を食べさせた回数で進化って可能性もなくはないよな……」


 最悪、飯抜きまで考えないといけないかもしれない。


 そこが少し気がかりだった。


 バルは、その発想自体まったく考えていなかったらしい。


 さっきまでの怒った顔が、今度は露骨に迷う顔へ変わる。


 どうやら、飯とさらなる巨大化を天秤にかけて悩んでいるようだ。


「まあ、量的にも今はバクバク食わせてるわけじゃないから、すぐに進化にはつながらないと思うけどな」


 そうは言っても、絶対とは言えない。


 もし、飯の回数で意図せず進化してしまったら、それまでの積み重ねが無駄になりかねない。


「そこらへんも、明日ミレイアに聞くか……」


 情報が足りない以上、確認するしかない。


 ……個人的には、バルの見た目を無視するなら、ジャイアントコケコ方向の進化もありなんだけどな。


 もちろん、それを言ったらまた怒られそうなので、口には出さなかった。


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