こっちの方じゃないですか?
開いて頂きありがとうございます。
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「メルヴィナ様、この方は?」
「ビュリ家の令息よ」
そういうと、宰相は私の顔を訝しげに見ていた。
「ビュリ家は養子をお取りになったのですか?」
「実子です……」
「確かに、その顔……面影、いや雰囲気……そのガッシリした身体が……キーン殿とそっくりですね」
言いたい事は解ってる。顔だろ……。
父様にも母様にも似ていないけど、養子と言われるとさすがに傷つくぞ……。
家族全員が西洋顔なのに私だけ日本人顔だしね……。
何故か付いてきていたイースラーを見て、宰相は微笑みかけた。
さすが王子の婚約者だ。
「失礼ですが、王子殿下の婚約者殿とどちらが年上ですか?」
「私が上ですけど……」
「そうですか、貴方が長男のノートン殿ですか」
そう言って、宰相は納得したように頷いた。
どうしよう、何だか撤回しづらい事になってしまった。
「じゃあ、叔父様。後はよろしくね!」
「ん……ふむ、改めてキーン殿の所へ行って相談せねばな」
部屋を出たメルヴィナは私の手を引っ張り、次の部屋へと向かう。
「メルヴィナ様、次はどこへ……?」
「兄様のお部屋よ!」
リスカ王子の部屋へと向かうらしい。
「あ、メルヴィナ様にセシル様」
「リスカ兄様に伝える事があるの、取り次いでくれる?」
そういうと侍女はリスカの部屋に入り、こちらへと入るよう促す。
まず、入るのはイースラー。
私もドアの中をこっそり伺ってみる。リスカ王子はイースラーとはタイプの違う美形だった。
「嬉しいよ、僕に会いに来てくれたんだね……」
そう言って嬉しそうにぎゅっとイースラーを抱きしめる王子。
美形ばっかりだな、この世界……。
うちの家といい、メルヴィナやリスカといい。
宰相もイケメンだったし。
普通な人も居るんだが、王家とビュリ家の面々が華やかすぎる。
次に、メルヴィナがリスカ王子の部屋に入る。
「おや、メルヴィナか、どうしたんだい?」
「お兄様、私も婚約したい人ができましたの……協力してくれませんか?」
「……協力って事は、あまり良い家じゃないのか?」
「いえ、家格は問題ありません。ただ、お兄様の婚約者と同じビュリ家の方です」
「……そうか。あそこの家は、セシリアの兄と弟が居たんだったな」
王家が一つの家に二人嫁がせる、という事は基本的に無い。
メルヴィナと私が婚約すれば国内のバランスが悪くなってしまうから。
具体的には王家の一員として二人も王家と関係を結ぶのだ。良く思わない人も居るだろう。
メルヴィナが私の容姿をけなしつつ強引に婚約を進めた理由が何となく見えてきた。
これで私との婚約を認めさせ、リスカからイースラーを引き離すつもりなのか。
「いいんじゃない?メルヴィナは降嫁だし僕は第三王子だし、この国はこういう婚姻に緩い上に、みんなメルヴィには甘いからね」
あれ、予想とは違った方向に進んだ。
これにはメルヴィナも苦い顔を……してない。
「ですわよね!」
あれ、なんで嬉しそうなの?
「どんな人なんだい?セシリアの時に家族構成は調べたけど、キーン殿には二人のご子息がいたよね」
「お兄様の相手より年上ですわ」
「それなら、ノートンか。キーン殿に似て、美形で逞しい男性と聞いた事があるね」
「美形……?え、ええ。たしかに身体は太くてガッシリしてて逞しいですわね」
美形?と疑問符を浮かべるメルヴィナ。その気持ちは解らない事も無い。
「それで、メルヴィの事だから、ノートンを連れて来てたりするんだろう?挨拶してもいいかな?」
そしてリスカ王子は笑顔を浮かべる。
「兄として、可愛いメルヴィに相応しい男か確認してあげるよ」
その言い方がすごくシスコンっぽい……。
私みたいなのが相手と知ったらいきなり切りつけられるんじゃないだろうか。
そしてメルヴィナは、そんな王子の事を無視して、私に入ってこいと手招きする。
「どうも、はじめまして……」
私が中に入るとリスカ王子は固まった。
ごめんなさい、こんな美形で……。
そして、王子は私とイースラーを交互に見比べて……叫んだ。
「兄ちゃん!?え、こっちが兄ちゃんじゃん!?」
何を当たり前の事を、という顔のメルヴィナ様に、
一応女なんだけど、と複雑な顔をする私。
ぽかんとしているイースラーと、イースラーと私を見比べて狼狽する王子。
暫くの間、四人は無言でお互いを観察しあった。
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読んで頂きありがとうございました。
リアルが忙しくなってきたので久々の更新。モチべを保ちつつのんびりと更新していきます。
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