86話目 「理想郷」
どーも、作者です。
どちらかを選ぶ、ということはどちらかを捨てている、ということです。
では、どーぞ。
「あなたが持っているその剣、『アヴァロン』。それは終わりを告げる剣なのです。」
夜刀は悠斗が手に持つ剣を指さし、そう言い放つ。
「『アヴァロン』…たしかアーサー王物語に出てくる伝説上の島の名前だったか?」
「そうです。そして、アーサー王が最後を迎えた場所として言い伝えられています。」
「へぇ、この剣にそんな大層な名前を付けてるってことは、それなりの効果が付いてるってことか?」
「いえ、その剣自体には効果は付いていません。その剣の存在が終わりを告げているのです。」
「存在自体が終わりを告げる?随分と大層な代物だな」
「ええ。その剣がここにある、ということはあなたはその剣を抜いたということですよね?」
「あぁ、まぁな。っても抜いた直後に床がなくなっちまったから抜いたというより
取れたのほうが正しいかもな。」
「どちらにせよ、その剣がエターナル・フロアの最奥から抜かれてしまった、という事実が大切なのです。」
「はっ、まさかこの剣を抜いたからこの世界が崩壊しだしたとかそんなばかみたいな話じゃねぇよな?」
「いや、そのまさかだ」
突然大人悠斗が横から割り込む。
「お前がその剣を手に入れたことにより、エターナル・フロアが崩壊。
それによりゲームのシステムにエラーか起こり始めた…そんな所か?」
「はい。本来ならばエターナル・フロアが消失する、という事自体がありえないのですが、
悠斗さんの精神がこちらの世界にある、というイレギュラーにより事態があらぬ方向へと…」
「俺の精神が…こっちの世界に?」
「はい。あなたは何度か経験しているはずです、自分の体が思い通りに動かないことや、
他のキャラと違いダメージを受けた時に流血するという事を。」
確かに、この世界に来た時は身体が思っていたようには動かなかった。
あまり気にはしていなかったが今よくよく考えてみるとだいぶ不自然だった。
「まぁ、とりあえず事情はだいたいわかった。で、俺にどうしてほしんだ?」
「それはですね…」
なぜか言い渋る夜刀。
「まぁ、女の子の口から言わせるのもアレだろうし、俺から言うとするか」
大人悠斗が悠斗の後ろから前に出て、悠斗の方へ振り向く。
「昔の俺…いや、悠斗。お前にはこれから2つの選択肢をやる。時間は少ないがよく考えて選べ。」
「2つの選択肢?」
「ああ。どちらもお前とこの世界に関わる選択だ」
「そんな大事な選択を俺に決めろっていうのか…」
「まぁな。それくらい出来ねぇとマスターとしてやっていけねぇぜ?」
そう言うと、大人悠斗は2本の剣を創りだし、地面に突き刺す。
「お前が選択した方の剣を抜け。じゃ、説明するぞ。まずは青い剣だ。」
大人悠斗は青い剣に手をかざす。
「まずこっちの選択肢だが、こっちはシンプルだ。人を切るだけ。」
「人を切るだけ…?」
「あぁ。人を切るだけ。次にこっちだ。」
大人悠斗は赤い剣に手をかざす。
「こっちもシンプル。人を切るだけ。」
「おいおい、両方人を切るだけじゃねぇか…どこが違うんだよ」
「切る人間が違う。いよっと」
大人悠斗は両方の剣を引き抜くと、それを空高く放り投げた。
そして、空から剣が降ってくると同時に、その剣を握って誰かが降りてくる。
2人はすたっ、と悠斗の前に降り立つ。しかし、その2人は悠斗にとってかけがえのない2人だった。
「あ…あぁ…」
「さぁ、選べ。お前がくいの残らない方をな。」
悠斗の目の前にいたのは、
『赤い剣を持つ、千代』と
『青い剣を持つ、蒼汰』だった。
次回更新は9月18日です。




