80話目 「休息の一コマ『大人蒼汰&アルス』」
どーも、作者です。
今回は前々回の予告の通り、大人蒼汰とアルスの一コマです。
今時…というのでしょうか?
とにかく、スイーツを作るお話です。
次回は桜月とサキュルの一コマの予定です。
では、どーぞ。
お次のペアは大人蒼汰とアルス。
現代の蒼汰と比べて随分とあけっぴろげな性格になった大人蒼汰。
そして、チームの副マスターでありながらもマスターとしての仕事をこなすアルス。
チーム内での立ち位置的には同じマスターの右腕、という立場の2人。
マスターの右腕といえば聞こえはいいが、中々の苦労人たちでもある。
立場的には右腕という名の副マスターなので、マスター代理として呼ばれることも多い。
特にチームに関係していることでマスターではなく代理が呼ばれることもしばしば。
さらに、ヴァイスリッターのマスターである悠斗はその実力ゆえに、色々な依頼をされギルドにいないことも多い。
ナイトオブラウンドテーブルのマスターであるエリスは実年齢の低さから右腕であるアルスが必ずと言っていいほど代理としてでなければならない。
そういった点から2人とも苦労しているのである。
さて、そんな苦労人2人組はどんな苦労を語るのだろうか…
「ほっ、よっ、はっと」
大人蒼汰はテキパキと黄色いスポンジみたいな土台に生クリームを塗っていく。
「ほっ、ほっ、ほいっ」
アルスは生クリームが塗られた土台にジュイチゴを乗せていく。
「そぉいっと」
そして店長がジュイチゴが乗せられたケーキの土台の上にさらにスポンジを乗せ、生クリームを塗ってジュイチゴを乗せ、生クリームを絞る。
そうして出来上がったジュイチゴケーキは店頭に並べられ、売り出される。
そう、なんと2人はケーキ屋で働いていた。
「いやー、助かったよちょうど人手が足りなくてね…」
休憩時間に店長が2人に話しかけてくる。
「いえいえ、僕たちもちょうど時間が空いていたもので」
「困っている人を見捨ててはおけぬからな…」
アルスは、少し前に悠斗に助けてもらったことを思い出していた。
あの時はまさかこんなにも親しくなるとは思っていなかった。
思えば、あの時悠斗に助けてもらった時から何となく感じていたのかもしれない。
悠斗達はいずれ自分たちギルドにとって大切なものになるかもしれない、と。
事実、エリスが自分で戦えるようになったのも悠斗のおかげだ。
周りと比べて少し強すぎるとは感じていたが、むしろオーバースペックのレベルだ。
だが、彼には何か人を引き付ける力がある。
単純な力だけでは人はついてこない。カリスマ性とでもいうのだろうか。
とにかく、人を引き付ける力があってこそのマスター。その人を引き付ける力を悠斗に会った時に感じた。
「おーい、アルス?」
大人悠斗はアルスに声をかける。
「…はっ」
アルスは我に返り、大人蒼汰のほうへ向きなおす。
「蒼汰殿。」
「お、おお、なんだい突然?」
「悠斗殿は…その、未来でも元気か?」
「あの未来の悠斗の姿を見て、どう思った?」
大人蒼汰は答えではなく、あえて質問で返した。
「どう…か。そうだな、心から仲間といることが楽しそうに見えたといえる。」
「なら、それが答えだよ。悠斗は正直な奴だ。人に感情を隠すような事はめったにない。泣くときは泣くし、喜ぶときは喜ぶ。それが悠斗さ。」
「そうか…」
「アルス、大丈夫だ。たぶん今の君は昔の悠斗のことを心配しているんだろ?もしかしたら、圧倒的な力で周りを怯えさせてしまい、だれも近づかなくなるような日が来てしまう。そんな日が来るかもしれないと。」
大人蒼汰の考えは当たっていた。いくら人を引き付ける力があっても、圧倒的な力の前には誰もが怯える。
そして、人が悠斗から離れて行ってしまうのではないか。薄々そう思うようになっていた。
「そんなので悠斗の周りから人が離れるようなら、僕たちはとっくに解散してるさ。悠斗のいいところはむしろその力があるからこそ、成り立つんだよ。彼は圧倒的な力を持っていても、それを敵を倒すために使うんじゃない。仲間を守るためだけに使うんだよ。だからこそ彼の周りに人は集まってくる。そして、集まってきた人たちを守るためにまた彼は力を使う。」
「…」
「難しかったかな…まぁとにかく心配しなくて大丈夫だよ。」
「おーい、悪いんだがまたお願いしたい!」
「あ、はい今行きます!」
「…余計なお世話だったか」
大人蒼汰とアルスは座っていた椅子から立ち上がり、キッチンへと向かった。
後にアルスは、ケーキを作る腕が上がった一日だったと語っていた。
次回更新は3月9日です。




