76話目 「休息の一コマ『パロット&アナザー』」
どーも、作者です。
デート…作者には縁がない言葉です。
おしゃれな店も縁がないです。
では、どーぞ。
さて、こちらのペアはパロットとアナザーのペア。
堅物と堅物、こんなペアでデートが成立するのか?という疑問があるかもしれないが、
とりあえず2人の様子を見守ろうではないか…
とある飲食店に来ていた2人。
レストランやファミレスなどの明るい感じではなく、
バーのような落ち着いた雰囲気のある店だった。
昼間、ということもあり客はあまりいなかったが、2人は全く気にしていなかった。
「ふむ…マスター、ジントニックを」
「承りました、少々お待ちを」
「では私はスクリュードライバーを。」
「承りました。」
2人の注文を受けたバーのマスターは、シェーカーを2個取り出しそれぞれに
ドライ・ジン、トニックウォーター。
ウォッカ、オレンジジュース。
2種類の飲み物を入れていき、蓋をする。
そして、蓋をしたシェーカーをマスターは振る。
カシャカシャとシェーカーを振る音が心地よいリズムで鳴る。
マスターがシェーカーを振る間も2人は何も喋らなかった。
だが、2人にとってはそれが心地よかった。
何も喋らなくても相手の考えている事がだいたい分かる。
それだけで居心地が良いような、そんな気がしていた。
「お待たせしました、ジントニックとスクリュードライバーです」
マスターはシェーカーからグラスへ中の液体を移していく。
そして、2人の前にそれぞれが注文したカクテルが置かれる。
「いただくとするか」
「そうですね」
2人はグラスをスッと持ち上げ、一口だけ口に含む。
口の中に味が広がる。
爽やかだが、少し癖のある味を持つジントニック。
口当たりが良く、ジュースの甘みも残っているスクリュードライバー。
こればかりは人によって感じ方が変わるかもしれないが、2人はそう感じていた。
ふぅ、と一息だけ漏らす。それはどんな気持ちを含んでのことなのだろうか。
「美味しいです、ここの店は当たりみたい」
「それは良かった。ところで、どうしたアナザー殿。しゃべり方を無理に変えなくてもいいぞ?」
「いえ、異性の方と2人きり、という事が今までなかったですから。少し緊張しているせいです。」
「そうか。だが無理して口調を変える必要はない、辛くなったらいつでも戻していいからな。俺とて、なかなかと口調を変えることができない。」
「いえいえ、パロットさんは素敵な男性だと思いますよ?」
「そうか?俺も今まで異性と触れ合う機会はなかったからな。マスターであるエリス嬢を守ることで精一杯だったからな。」
パロットは自分のしたことを少し思い出しながらそう言った。
シャドウスピリットにより操られていた時の記憶は鮮明に覚えていた。
いくら身体が思い通りに動かないとはいえアレは言いすぎだと自覚していた。
精神的に幼い人物への暴言の連続。心が折れても仕方がない。
だが、マスターであるエリスはそれを乗り越えた。
事件の後、何度も何度もエリスへ謝罪した。チームを抜ける覚悟だった。
だが、エリスは別に大丈夫だ、むしろ成長の糧となって助かったとほめてくれた。
「いつまでも後悔するべきことだな、あの事件は」
「どうしました?」
「いや、エターナルフロアでのことを思い出してしまってな…」
「…嫌な、事件でしたね」
「いや、いいんだ。全ては俺が悪い。心が弱かったのがいけなかったんだ・・・・」
グラスをまた持ち上げ、一口、口に含む。
やっぱり香りが口中に広がる。
「それでも、パロットさんは強いですね。そんな事件があってもチームを支えていこうと思ったんですよね?」
「エリス嬢にあそこまでやめないでくれって懇願されてしまったらな…これからも守っていくしか無い。それが、俺のエリス嬢に対する償いだと思うから。」
パロットはジントニックを飲み干し、席を立つ。
「こんなことしかできなくて申し訳なかった。この埋め合わせはまたいつか…」
そう言って店を去ろうとするパロットの腕をアナザーが掴む。
「いえ、十分に楽しかったですよ。でも、また誘ってくださいね?」
「…ふっ、このガラディーン卿、その約束必ず果たそう。」
パロットは跪き、アナザーの手をとって指先にくちづけをする。
「では、行きましょうか。ふふふっ」
「…あぁ」
少し重いドアを開き、店の外へと出る2人。
「ありがとうございました、次いらっしゃる時は特別な物をご用意いたしますよ。」
後ろから、マスターが一言声を掛け、ドアはバタン、としまった。
後にアナザーは、最高の1日だったと語っていた。
次回更新は1月24日です。




