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エターナル・ストーリーズ  作者: 燐鏡 剣斗
Chapter6 「Shadow Spirit」
71/96

69話目 「逃げ道のない実体」

どーも、作者です。


申し訳ありません、最近少し忙しいので

またペースが落ちてしまいます。


では、どーぞ。

鎖は無慈悲に悠斗を貫く。

悠斗の腹を貫通し、壁に刺さる鎖。

「ゆー!」「ゆーくん!」

桜月は慌てて固有結界を展開し、回復しようとする。

「つっきー、最大限の魔力で行ける!?」

「任せて!ちーちゃん、サポートお願い!」

「分かった!」

桜月は回復魔法を悠斗を対象に発動する。智恵は魔道書を媒介に魔力を桜月へと流す。

「『生命が紡ぐ道(ライフ・オブ・ルート)』!」

桜月の杖から淡い緑色の光が放出され、悠斗へと流れこむ。

「あーあ…少しずれちゃったか…もう少し上だったら心臓を一突き、だったんだけどねぇ」

砂埃が晴れ、その中から無傷の千代がマントをたなびかせ立っていた。

千代の手からは鎖が伸びており、それは悠斗を貫いた鎖だということは一目で分かった。

千代の言うとおり、鎖は悠斗の心臓の少し下を貫いていた。それでも重症であることは違いなかった。

「この子たちに手を出させるつもりはないぞ、ラスト」

大人千代は固有能力を開放し、千代と智恵・桜月・悠斗の間に入る。

その声にいつもの感情はなく、ただ淡々と千代を睨みつける。

「今回ばかりは私も全力を出す。これ以上誰かを犠牲にするわけにはいかない。悠斗は、この子たちは私が守る。」

大人千代は槍を振り回し、ヒュンヒュンと音を立てる。そして、振り回したままの勢いで鎖を槍で叩き切る。

バキンという鈍い音共に鎖は切れ、地面に垂れ下がる。

「さぁ、来い。私が居る限り私より後ろに攻撃は通さない。」

槍を地面に突き立て、仁王立ちする大人千代。

「やれやれ、どうして君たちは面倒くさい人ばかり…私の手間が増えるじゃない」

千代は槍を大人千代と同じように地面に突き立て、仁王立ちをする。

「君なんて拳一つで十分よ」

千代は魔力をグローブに込める。

大人千代はそれを見て、槍を持ち構え直す。

「ラスト、貴様がいくらふざけようとも私は自分の意志は曲げないし、手加減する気もない。言い直すなら今のうちだよ?」

大人千代が握る槍の柄がミシミシと音を立てる。強く槍を握りこんでいるのが分かった。

「ふっ」

大人千代は息を静かに吐き、地面を思いっきり蹴って走りだす。

「はぁぁっ!」

槍を千代に向かって思いっきり突きをくり出す。だが、致命傷ではなく鎧をかする程度に突きを繰り出す。しかし、その甘さと油断が仇となる。

そんなギリギリを狙った攻撃など簡単に読まれてしまう。すれすれで槍をかわされ、槍を蹴り上げられる。

大人千代は槍を蹴り上げられた衝撃に耐えることができず、槍は弾き飛ばされる。

槍が蹴り上げられ、両手が上に挙がった状態の大人千代の隙だらけの腹目掛けて千代の蹴りが飛んでくる。

大人千代は足を振り上げ千代の足を弾くが片足でバランスをとるのは難しくそのまま後ろに倒れてしまう。

そして、仰向けに倒れこんだ大人千代の顔に向かって千代の握り拳が振り下ろされる。

それを首を少しかしげるように動かし間一髪でかわす。

だが、もう一方の握りこぶしが飛んで来る。

大人千代は足を曲げ、身体を下の方へとずざっとずらす。

先程まで大人千代の顔があった場所に拳が振り下ろされる。バキバキという音を立て地面が割れる。

もしほんの少しでも遅れていたらと思うとゾッとする。

そのまま横に転がって千代の下から抜け出し、立って距離を取り体制を立て直す。

「危なかった…」

ハァハァと若干息を切らしながらも集中を切らさない大人千代。

それに対して千代は余裕そうな態度をとっていた。

「(力の差がありすぎる…私だけじゃ止めるので精一杯)」

大人千代は槍を魔力で引き寄せ、つかむ。

「(どうすれば…)」

「ゴホッゴボッ!」

突然の咳に慌てて後ろを振り向くと、そこには吐血する悠斗が居た。

「悠斗!」

大人千代は悠斗達の元へ駆け寄り、魔法陣を作り出す。すると、大人千代の周りに薄い膜のようなものが張られる。

「どうしたの悠斗!?ゲームの世界で吐血するなんて…」

そう、ここはゲームの世界。光の粒となって消えることはあっても、吐血する、なんてことはありえないのだ。

「こりゃ…きっついな…がはっ、ごほっげほっ…ハァ…ハァ…」

悠斗は右手で口を抑えて、左手で傷口を押さえていた。

「ゆー、喋っちゃダメ!傷口が開いちゃう!」

桜月は鎖が抜かれた後、悠斗が今押さえている傷口に魔力を入れ続けている。

「まずい、まずいよ…つっきーの固有能力があるから魔力が切れることはないけど、傷口が思ったように塞がらない…ここはゲームの世界だから包帯とかを使っても体力を回復することしかできないし…」

智恵は桜月の肩に手を当て、魔力のコントロールをしていた。膨大な回復のための魔力を桜月が悠斗に送り込むのを智恵がコントロールすることによって桜月への負担を減らしていた。

「俺は、大丈夫…だ…ぐぅっ」

悠斗は痛みに耐え切れず膝をついてしまう。よほどの痛みなのだろう。

「大丈夫じゃないよ!無理は良くない!」

大人千代が悠斗に手を貸してゆっくりと地面に寝かせる。

「ねぇ、まだ~?私飽きちゃったよ~」

千代が手持ち無沙汰に槍を振り回していた。

「余裕って感じだね…」

「くっ…私にもっと力があれば…!」

悔しがる大人千代。だが、その手を悠斗がつかむ。

「お前ら…逃げ、ろ」

その言葉に耳を疑う3人。深い傷を追った悠斗一人残して逃げる?そんなことできるわけがない。

「俺の事は、気に…すんな。大丈夫、俺なら…げほっ、リスポーン…できる」

「ゆー、それはできない相談だよ…ゆーがこんな傷を追ったのは初めてだし、このエターナル・オンラインで血が出るところなんて初めて見た…」

「ゆーくん一人だけ私達とは何かが違う、そんな気がする。だからこそここで置いて逃げることはできないよ。」

「でも、お前ら、逃げないと死ぬ…ぞ」

「悠斗、私達を誰だと思ってるの?チーム『ヴァイスリッター』だよ?そう簡単にやられるはずがないよ。」

大人千代は悠斗の手を強く握りそう言い放つ。


















「そうだな、俺たち『ヴァイスリッター』がそう簡単にやられちゃ、話にならないよな?」

次の瞬間、千代の槍が弾き飛ばされる。

そして、槍と同時に一本の剣が地面にカランカランと音を立て転がる。

「『飛龍延焼斬バルムンク・スレイバー』!なんてな」

千代の隣を何かが光速で通り抜けていく。そして、千代の鎧に横一閃、斬撃が入りその斬撃が入った場所から燃え上がる。

「ぐぅぅっ!」

千代は慌てて火を消す。

「待たせたな。といっても、ヒーローは遅れてやってくるのが相場と決まってるけどな?」

その人物は右手に炎をまとった大剣を握っていた。

「呼ばれて無くても、来たりしてな?」

ヒュンと音を立てて、剣を振る。

「貴様ぁ、悠斗ぉ!」

「来いよラスト、ここで決着を付けてやるよ!」

次回更新は11月30日です。

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