67話目 「2層」
どーも、作者です。
寒いですねぇ…
暖房必須の時期になってきました。
では、どーぞ。
「ハァ…ハァ…!」
悠斗は全力で走っていた。
「なんかよく分からねぇけどすごく嫌な予感がする…!」
数分前、突然背中にものすごい寒気を感じた悠斗。なぜ寒気が走ったのかはわからなかったが、直感的に嫌な気がしたのだ。
その直感にしたがって全力で走りだしていた。後方に仲間たちをおいて。
仲間たちは集団で動いているのでやられることはまず無いだろうと思った。
それに、眠っていたサキュルを起こすわけにもいかないので蒼汰に預けてきた。
「くそ、待ってろよ千代!」
息を切らしながらも全力で走り、一刻も早く千代の元へと向かう。
その最中、悠斗はある違和感に気がつく。
むしろ、なぜ今まで気が付かなかったのかと思うほどだった。
なぜ今自分は息を切らして走っている?正確には、なぜ呼吸が苦しくなっている?
肉体に強化魔法を掛けているはずなのに息が苦しい。それは、現実世界で走った時と同様の苦しさだ。
ここはゲームの世界。息が苦しくなるなどキャラクターに実装されているとは思えない。実際、いくらゲーム内で戦闘を行ってもキャラクターが息切れを起こすことはなかった。
「(くそっ、そんなこと考えてる場合かよっ!)」
そして悠斗は扉の前へとたどり着く。だが、足は震えており、扉を開けるのすら苦しいほど疲労していた。
それでも、悠斗は息苦しさを我慢して扉をおもいっきり開く。
そこには、倒れている大人千代を起こそうとしている千代と、壁際に倒れている
桜月、智恵が居た。
その光景に悠斗は安堵と心配の感情を覚えた。とりあえず千代達が無事でよかったと思い、千代の方へと近づく。
「千代、大丈夫か?」
悠斗は大人千代を起こそうとしている千代の方へと近づいていく。
だが、次の瞬間頭の中に声が響いた。
『駄目だ、千代に近づくな!』
その声に一瞬怯み、一歩後ろに下がる。
「(誰だ…?)」
悠斗はあたりを見渡す。だが、4人以外に人のような姿は見えない。
「(今、確かに頭の中で声がしたと思ったんだけどな)」
もう一歩、確かめるように後ろへと下がる。
だが、その後ろに出した足は何者かの足を踏む。突然誰かの足を踏んでしまい、驚いて前に飛び出し振り向きながら銃を手に握る。
「誰だ!」
だが、悠斗が振り向いた方向には誰も居なかった。
「…何なんだ?」
悠斗は手を降ろし、ふぅと深呼吸する。
「疲れてるのかもしれないな」
その時、悠斗はいきなり誰かに肩を叩かれる。
「うわっ」
悠斗はまた驚き、バッと前に飛び出して振り向く。
「悠斗、どうかしたの?」
そこには千代が立っていた。よく考えて見れば確かに後ろに千代は居た。
「いや、なんでもない。ちょっと疲れてるだけだよ、多分」
悠斗はそう言いながらも千代と少し距離をとっていた。それは千代に迷惑を掛けたくないという気持ちからではなく、頭の中の声が気になったからだ。
いつもは疲れているだとか気のせいで済ませるようなことだが、響いた声には妙に緊迫感があった。それこそ、悠斗に警告をしているかのように。
悠斗はそれが引っかかり、千代から距離をとっている。
「ならいいけど、その怪我…」
千代は悠斗の右腕を指差す。
「怪我?治ってるはず…えっ」
悠斗の右腕にはいつの間にか刃物で切ったような切り傷ができていた。いつ切ったのかはわからない。だが、なぜこの切れ方で痛みを感じない?
「…!」
悠斗は後ろにバックステップして千代から距離を取る。
「ど、どうしたの悠斗?」
「近づくな。それ以上近づけば」
悠斗はインベントリからインフィニティスレイヤーを取り出す。
「撃つ。ちなみに一発目を外す、なんて警告はしない。動けばその瞬間撃ちぬく。」
悠斗はインフィニティスレイヤーをしっかりと握りしめ、千代に銃口を向ける。
悠斗の両手に握られたインフィニティスレイヤーは込められた魔力の影響で青白い光で淡く発光していた。
「ゆ、悠斗?なんかおかしいよ?どうしたの、私だって!」
「お前は千代じゃ、ない。俺の直感がそう言ってる。自分が千代だというなら証明してみせろ。その証明ができないならお前は敵だ。」
悠斗は固有能力を開放する。
「『神に愛された戦乙女』」
悠斗の背中にマントがひらめく。
「悠斗…」
「どうした?」
「それ、私の固有能力だよね。どうやってやってるの?」
「今のお前に教える気はない。俺が不利になるかもしれないからな。」
「でも、悠斗」
「黙れ。お前と今これ以上会話する気はない。早く証明しろ。」
悠斗は銃に魔力を込める。淡く光っていた銃の輝きが強くなる。
「証明って、どうすればいいの?」
「固有能力を開放…すれば証明になるな」
「なんだ、簡単だね。」
そういうと、千代は即座に固有能力を開放する。
「『神に愛された戦乙女』!」
次回更新は11月16日です。




