61話目 「アーサー王と円卓の騎士」
どーも、作者です。
前回の宣言通り、今回はエリスVSパロット回です。
また戦闘が雑だな!と怒られそうな内容ですはい。
では、どーぞ。
「さて、待たせたな。そろそろお前の望んだ人物と戦わせてやるよ。」
悠斗は空に浮いている光の玉に右手をかざし、地面へと下ろす。
地面に降りた光の玉は一瞬のまばゆい閃光とともに弾ける。
「うおっ」
目がくらむほどの閃光に目を手で覆って隠すアルス。
「さぁ、お披露目…ってのはおかしいが一時的に新生エリスの登場だ!」
説明口調で悠斗は部屋に響くほどの声で叫ぶ。
「そして後悔しろパロット!お前は俺を対戦相手に選ぶべきだったと!」
そして、部屋は光に包まれ、その光が消えた時部屋の真ん中に一人の人物が立っていた。
白と青を貴重とした鎧に身を包み、スタイリッシュな上の鎧に反して下は広がったスカート状の服装だった。
武器は持っておらず、ただ単にその場に立ち尽くしているだけだったが、それでもものすごい気迫が伝わってきた。
その人物は目を開けると、部屋を少し見渡した後悠斗のほうへ向き直る。
「悠斗、剣を」
「はいはい、ちょっと待ちな」
悠斗は固有能力を開放して、地面に手を当てる。
そして、そのまま手を地面の中に沈め地面から一振りの大きな剣を引っ張りだす。
そして、その剣を地面に叩きつけ、粉々にする。粉々になった剣の塵は地面に落ちること無く宙に浮き続ける。
悠斗は右手を前に翳し粉々になった剣の塵を目の前に集め新たな剣を再構築する。
「『カリブルヌス』から、『エクスカリバー』へと剣は進化を遂げる。よくはしらんけどな…」
剣が完全に再構築された時、剣は輝きを取り戻し剣として形を作り出す。
「エリス、できたぞ」
悠斗は剣をエリスの方へ投げる。
エリスは、剣の柄の部分をうまくキャッチして少しだけ剣を振り回す。
ヒュンヒュンと風を切る音を立てながら踊るように剣を振り回すエリス。
「いい感じの剣になっている、助かる悠斗」
エリスは止まり、剣を斜めに構える。
「さぁ、来るが良いパロット。貴様が馬鹿にしていたエリスはここにいるぞ。」
エリスはパロットを挑発するような態度をとる。
「無能なマスターが、見かけで強くなったと勘違いしてるんじゃない!」
パロットは剣を握りエリスへ向かって走りだす。
「おっと、それにしちゃこの瓦礫は邪魔だな」
悠斗は思い出したかのように固有能力を発動し、瓦礫へ魔力を込める。
そして、魔法を詠唱すると瓦礫は宙へ浮き、天井へと浮かんでいく。
そして、瓦礫は天井の形を創りだし、まるでパズルを組み上げているかのように綺麗な形ではまる。
「わざわざパロットを有利にする理由もないが、決闘なら綺麗な場所でやらないとな。」
悠斗はやれやれと地面に座り込む。
「アルスも座れよ。そんなずっと立ってたって疲れるだけだぜ?」
「いや、私はいい。エリスに万が一のことがあったら助けに行かなければならないからな。」
「そりゃそーだよな、たった一人の妹だもんな…ふわぁ~あ」
悠斗は余裕なのか、あくびをしていた。
「(流石にあの状態のエリスが負ける姿が想像できないもんな。)」
悠斗は、エリスをあの姿にするときに少しあることを混ぜていた。
『未来を切り拓く道標』を発動するにあたって、詠唱者は2個の事を頭に入れて置かなければならない。
一つは肉体と魂を形成し直すということは、一度消滅するということである。
それに耐えられるような意志を持っていないものはその段階で消えてしまう。
詠唱者が対象者に対して明確な強い意志があることを確認することが前提になっている。
そしてもう一つは『何かを混ぜるときは最大限の注意を払う事』である。
肉体と魂を再構築する際に、何か一つ『混ぜる』ことができる。
混ぜるものは詠唱者が用意しなければならないが、用意さえできればどんなものでも混ぜることができる。
例えば不死鳥、いわゆるフェニックスと呼ばれる幻獣を混ぜれば翼を生やすこともできる、不死身の体を持つ不死鳥と人間のハーフが出来上がる。
例えば、元の魂に伝説上の人物、アーサー王と呼ばれた人物の魂を混ぜれば、
アーサー王の人格・技能を持った人物が出来上がる。
再構築する際の精神年齢と肉体の年齢は詠唱者の方で決めることができる。
ただし混ぜた者と不相応の年齢にしてしまうと、かえって本領を発揮することができなくなってしまう。
そして、今回エリスには2つ混ぜた。
一つは魂にアーサー王の魂を。もう一つは、エリスの記憶にある記憶を。
一人の人間に2つ混ぜるということと、記憶を混ぜるということは前例がなく、成功するかどうかはわからなかった。だが、悠斗はエリスの潜在的な能力に賭け、成功した。
それが成功するエリスの体には天性の何かがあると悠斗は思っていた。
エリスなら、この先負けることはないだろうと。
ただ、このやり方は禁忌に触れるようなものであった。そのため、エリスの体を再構築することには成功したが元のエリスに戻すことはできないだろう。
ただ、この事実をアルスに言うと多分というか確実に消されかねないので黙っておくことにしている。
「(さて、エリスに混ぜたアーサー王とあの記憶はエリスにどんな影響を与え、強くしてくれるだろうか…実験体みたいに扱いたくはないけどエリスのためでもあるしな)」
悠斗は最低限の警戒だけをしながらついには横に寝っ転がる。
それでもアルスは座ろうとはせず、エリスを見守っていた。
一方その頃アーサー王の魂が混ざったエリスと円卓の騎士の一人パロットの戦闘が始まっていた。
「どうした、マスター!さっきから防戦一方だぞ!」
パロットが繰り出す剣技をエクスカリバーでいなしながらすべてきっちりとかわしていくエリス。
当たるギリギリまでガラティーンを引きつけ、それをエクスカリバーで流すように当たる位置からずらしていく。
両手で持たなければならないような大剣にもかかわらず軽々と片手剣のパロットの攻撃をいなす。
「そらぁっ!」
パロットはエリスの足を狙って足払いを繰り出す。
エリスはそれに引っかかってバランスを崩し仰向けに倒れる。
「貰った!」
パロットは倒れたエリスの顔めがけてガラティーンを突き立てる。
エリスは首を少し動かし剣を紙一重で避けると倒れたままパロットの腹めがけてエクスカリバーを振りぬく。
「うおっ!」
パロットはとっさにガラティーンを放し後ろへ回避行動をとるが、ギリギリエクスカリバーの剣先がパロットの腹をかする。
少しかすっただけなのにもかかわらず、パロットの鎧の腹の部分が切り裂け、パロットの体をも切っていた。
「パロット、その程度だったか?」
エリスは立ち上がり、地面からガラティーンを引き抜きパロットの方へ投げ捨てる。
パロットはガラティーンを持ち上げ、再び構える。
「次は私から行くぞ?」
エリスはエクスカリバーを握り直し、地面を蹴って走る。だが、それは走るというよりも瞬間移動すると言ったほうが正しい速度だった。
「(速い!)」
パロットは回避するというよりも、直感でその場から移動する、という動作をとった。
「遅いッ!」
エリスのエクスカリバーがパロットを捉え、パロットの左腕を切り飛ばす。
「ぐうぅっ」
パロットは切り飛ばされた左腕の痛みに耐えながら右手に持っているガラティーンでエリスの頭を狙う。
エリスはそれを体をそらして避け、エクスカリバーで右腕を狙う。
光速にも近い速度で振りぬかれるエクスカリバーはパロットの右腕をとら…えずに甲高い音を立ててガラティーンを打ちぬく。
「弾かれたか」
パロットはエクスカリバーで右腕を狙ってくると予測して、エリスがエクスカリバーを振る直前にガラティーンを逆手に持ち替えていた。
「だが次の動作までが遅すぎる」
弾かれたにも関わらず速攻で次の動作に移るエリス。
体を低くしてその状態から左足を軸に思いっきり踏み込んでパロットを横に切ったエリス。
真っ二つに切り裂かれたパロットは地面に落ち、転がる。
「ふー。」
エリスは大きく息を吐き、深呼吸する。そして、剣をインベントリへしまう。
「くっそぉ…こんな無能マスターごときに…!」
上半身と下半身が真っ二つになりながらも喋るパロット。
真っ二つと言っても断面からは光の粒が漏れており、グロくはない。
「貴様の敗因はただ一つ、人を敬えなかったことだ」
エリスはその言葉を残してパロットへ背を向け悠斗達のほうへと歩いてくる。
「畜生…!絶対に許さねぇからなァァァ!」
その言葉を最後に、パロットは光の粒となって消えた。
そして、パロットが消えると同時にすぴーといびきをかきながら寝ていた悠斗が目を覚ます。
「んぁ、終わったか?」
よっこいしょと重そうに体を持ち上げ起き上がる。
「さて、次の階に行きたいところだが…なにか言いたいことあるか?」
悠斗はエリスに問いかける。その意味をアルスは分かっていなかったが、エリスは縦に首を振ってうなずく。
「そーか。それじゃあ俺は扉の外で待ってるから終わったら声かけてくれ。もう一眠りするわ…」
そう言うと悠斗はひらひらと手を振りながら5層へ続く階段の方へ向かっていった。
「エリス…強くなったな。」
アルスはエリスをしっかりと抱き寄せる。
「いくらエリスの願いでも戦わせるのは良くないと思ったが私が間違っていたみたいだ。流石、チームのマスターだな。だけど、これからも私がエリスを守る。それだけは、変わらない。」
しっかりと、包み込むように抱きしめる。
「お兄ちゃん…」
「えっ」
アルスは不意に聞こえたその言葉に素で驚いてしまった。
この場にはエリスとアルスしか居ない以上、自分が発していないその声は必然的にエリスの声である。
「エリス…今、なんて言ったのだ?」
恐る恐る聞いてみるアルス。エリスが自分のことをそう呼ぶはずがない。必ずアルスおにーちゃんと、そう呼んでいたはずなのだから。
だからこそ、アルスがパニックに陥っていた。
「うっ…ううっ」
「エ、エリス…?」
「うわぁぁぁぁぁぁぁん!」
突然大声を上げて泣き出すエリス。まるで子供のようだった。
「うわっ、どうしたというのだエリス!落ち着け!」
「怖かったよぉぉぉぉぉぉ!お兄ぁぁぁぁちゃん!」
「いや待て待ってくれ落ち着けエリス冷静になとりあえず落ち着くのは私だそうだこれは夢なんだろうな夢だと言ってくれ夢だろぉぉぉ!」
完全にパニックに陥り何を言っているかも理解できなくなっているアルス。
扉の裏からそれを見ていた悠斗は一人大爆笑していた。
「っはははははははは!ひっははっ、苦しいっ、ははははは!」
そう、悠斗がエリスに混ぜていたのは『過去の記憶』だった。
アルスは多くは語らなかったが、悠斗は自分の能力を使いアルスの記憶から昔のエリスの記憶を創りだし、それを混ぜたのである。
なので、記憶が戻ってないと思っているアルスと昔の記憶が戻り、今までの事も覚えていてアルスを兄だと思いだしたエリスが居る。
その2人なら、面白い反応が見られるだろうと思いやったのだが見事に成功した。
アルスのあの慌てっぷりを見て笑いが堪えられない悠斗だった。
「はははっ、はぁ。まぁ感動の再開とはいかないがこれでアルスも気苦労が減るな…エリスにトラウマを背負わせることになっちまったけど」
悠斗は横になり、そのまま眠ることにした。
次回更新は10月16日です。




