59話目 「ラスト」
どーも、作者です。
今思うんですけど、シャドウスピリットって直訳すると『精神の影』
になるんですよね。どっちかというと精神の影という存在ではなく、
影になっていたところが表になった精神って感じなんですよね。
まぁどっちにしろ意味は変わらないんですけどね!
では、どーぞ。
ギィィという音を立てながら大人悠斗は7層のドアを開く。
「もういきなりの攻撃は無いと思うがな…」
念のため、後ろで大人千代が臨戦態勢に入っていた。
少し開いた後、大人悠斗は思いっきりドアを蹴り開ける。
バンという大きな音を立てながらドアは勢い良く開く。
「おいおい、随分と手荒いドアの開け方だな。せっかく部屋の真ん中で待っていた私に失礼じゃないか?」
部屋の真ん中には黒いローブを纏った人物が立っていた。声色は女性だった。
「やっぱりお前か、ラスト。」
大人悠斗は分かってたかのようにその人物へ言う。右手に握られた剣には、光が集まっていく。
「君たちのおかげで随分と興味深い実験ができてるんだ、ありがとう。感謝するよ。」
「お前に感謝される筋合いは無い。それに今回のこの件は俺のミスだ。俺がけじめを付けなきゃな。」
大人悠斗は剣を構え、横一線に剣を振りぬく。
剣からは光の斬撃が形を作り飛んで行く。
ローブを纏った人物は右手を前に翳し、そこから闇の玉を作り出す。
「あれは…私、の」
サキュルが後ろから声を漏らす。
「『ダークネス・ブラスト』…」
大人悠斗はサキュルのその言葉が聞こえた瞬間、剣を投げ捨てる。
そして、突然魔力を開放する。それは、固有能力を使う時と同じ開放の仕方だった。
「『すべてを守る白銀の盾』!」
大人悠斗は蒼汰が使っていた固有能力を開放し、結界を張る。
大人悠斗が創りだした結界は悠斗達を包み込む。
「吹き飛べぇっ!」
ローブを纏った人物の右手から放たれた闇の球は、大人悠斗が放った光の斬撃にぶつかると同時に、その斬撃を包み込み破裂する。
だが、その破裂の威力がサキュルが使った時の威力とは桁違いに強く、フロア全体を破壊していく。
「まずいな…」
大人悠斗は蒼汰の固有能力を展開したまま、さらに重ねて固有能力を発動する。
「『大いなる光の翼』!」
大人悠斗の背中にメタトロンの大きな翼が作られ、その翼が悠斗たちを包み込む。
「悠斗、そんなに固有能力を重ねて使ったら!」
「これ以外に今方法がない!それに、今お前らが魔力を使ったらこの先の戦いはどうする!」
大人悠斗は、2つの固有能力を発動した状態で更に発動する。
「昔の俺、悪いが後は頼んだ。俺はこいつを別のフロアに飛ばす。どこのフロアに飛ばせるかはわからないが、とりあえずなんとかなるだろ!」
大人悠斗から出ている魔力はすでにキャラとしての許容量を超えているだろう。だが、それでも更にこれ以上の魔力を放出しようとする。
「頼んだぞ!」
大人悠斗は詠唱する。
「『神に愛された戦乙女』!」
大人悠斗の翼の下からマントが創りだされ、風圧でひらめく。
「ぐっ…きっついな…だが、まだだ!」
ここから更に詠唱するというのか。
大人悠斗は魔力を更に開放する。
「『永久なる無限の概念』!」
大人悠斗が固有能力を開放すると同時に、フロア全体が修復されていく。
「流石悠斗だ!僕が見込んだだけはあるなぁ!」
「黙ってろラストォ!お前は俺が止めてやるよ!」
大人悠斗はローブの人物へ向かって走りだす。
「君の転移魔法にあたってあげるほど僕も優しくないでねっ」
ローブの人物は後ろへ下がろうとする。だが、その人物の後ろにはいつの間にか壁が作られており、その後ろの壁にぶつかる。
「っ、いつの間に!」
「俺の詠唱聞いといてそれはないだろ、ラスト!」
大人悠斗はローブの人物へ触り、詠唱する。
「昔の俺、いや悠斗!後は頼んだ!」
その言葉を最後に、ローブの人物と大人悠斗はフロアから消える。
ローブの人物と大人悠斗が消えたフロアは静寂に包まれる。
「…」
放心状態の大人千代。目の前で未来の悠斗が消えたからだろうか。
「あれほどの方が苦戦するとは…一体何者なんですの…?」
メアリーはぺたんと地面に座り込む。
さっきの攻防を見て腰が抜けているようだった。
「(ラスト…?)」
悠斗は先程ローブの人物に向かって大人悠斗が叫んでいた名前が気になった。
「(ラストって…)」
その名前に悠斗は何か懐かしい感覚を感じていた。
すると、後ろの扉から誰かが入ってくる。
「悠斗!」
その声に反応して後ろを振り向くと、そこには息を切らしていたアルスが立っていた。
「アルス!大丈夫か!」
慌ててアルスへ駆け寄る。
「私は大丈夫だ。それよりも、未来の悠斗が見当たらないが…」
「それが、さっきな…」
悠斗はそれ以上言うのはやめた。大人千代に悪いと思ったからだ。
「だが、その様子だと死んではいないようだな。なら、信じろ。未来の悠斗が簡単に負けるはずが無い。」
アルスは、悠斗だけではなくこの場にいる全員に聞こえるように言った。
「それもそうだな。だが、少し休憩を入れよう。お前が追いついたとはいえ、流石にすぐ出発するのは…」
「『狙い澄ます外套の騎士』」
突然、地面から長い剣が悠斗めがけて生えるように伸びてくる。
「なっ!?」
悠斗は体を後ろにそらし、間一髪で避けようとする。
「悠斗、駄目だ!」
アルスが悠斗が避けようとした剣を自分の大剣で弾く。
弾かれた剣は悠斗の右頬をかすめる。悠斗はとっさに後ろに飛ぶ。
「『ダンシング・ブレーブ』」
次の瞬間、地面がたくさん貫かれていく。そして、地面は形を保つことができず、崩れていく。
「あ、これもしかしなくてもさ」
そして、地面は崩れ去り、悠斗達は落下する。
「だよなぁぁぁぁぁぁぁ!」
それぞれが落ちていく中、ただ一人、悠斗だけが悲鳴を上げて下のフロアへと落ちていった。
次回更新は10月7日です。




